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神曲  作者: もてぃまー
22/30

勇④

三那 勇

14歳

中学生

開始

2022年8月23日 神奈川 午前11時11分


三邦(みくに) (ゆう)はうつむいていた。


病院の冷たい空気。心電図モニターの規則的な音が、ひどく場違いに響いている。


「兄ちゃん……?」


勇は、白いシーツを握りしめたまま、微動だにしない兄の顔を覗き込んでいた。

さっきまで、当たり前のように夕飯の献立を話し、明日には学校に行くと言っていたはずなのに。


「……何だよ、冗談だろ」


脳死。

医師から告げられたその言葉の意味を、勇は理解できていなかった。

ただ、兄がもう二度と「勇」と呼んでくれないという、途方もない喪失感だけが胸に穴を開けていく。


「おい、起きろよ……。そんなところで寝るなよ……」


勇は兄の手に触れた。かつてないほど冷たい感触に、ようやく全身が震え始める。

事故なのか、事件なのか。兄の身体に一体何があったのか。勇には何一つ分からない。


ただ、つい数時間前まで日常を共にしていたはずの人間が、いま目の前で

ただの冷たい肉塊へと変わってしまったという理不尽な現実だけが、彼の世界を塗り潰していった。


勇の嗚咽が、無人の廊下にむなしく響く。


古いヴィオラはもう壊れた

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