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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第七章 サキュバスとエロ漫画野郎と暁の魔法使い
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8-5 サキュバスとエロ漫画野郎と星海の邪神 宇宙レベルでヤベェ

「さて、この後が大変よ。次に備えないと」


 メイプルに言われ、気を引き締めなおす。

 それもその通りだと思いなおし、ティターニアをロールのところへ召還しようとして、


『おーっと、圧勝で終わったーって思ってるのかなー?』


 突然、脳内にクッタクァの声が響き渡り、反射でティターニアの拳にヴェスタ・フレイムを纏わせて、背後に向かって裏拳を放った。


『うわ危なっ?!』


 勢いに乗って振り返ると、いつものように靄を纏った姿のクッタクァが宙に浮かび、こちらから大きく距離を取って額をぬぐう素振りをしていた。

 態度こそふざけているが、恐ろしいほどのプレッシャーを放っている。

 大食いと同等か、それ以上だ。リアさんやこれまでの戦いの経験、そして俺の地球での経験がなければ、気圧されていたかもしれない。


 メイプルがマスケットを構えようとしたが、甲高い音と共に、メイプルが小さく声を漏らした。

 見れば、メイプルが右手を抑え、マスケットが街へと落ちていくところだった。急いでティターニアの体を通じて収納魔法を開き、つま先の辺りで回収することに成功したが、取り出す前に、クッタクァの発する言葉に動きを止められた。


『あーストップストップ! 私、今回は貴女たちと戦うために来たんじゃないって』

「じゃあ何で背後から声をかけたのかしら?」


 愛刀を取り出し、クッタクァへ切っ先を向けながらメイプルが問う。


『ほら、アレくらい反応できなかったら、これからの戦いに参加する資格なしかなって、試したって訳』

「なるほど。晴樹、ここで奴を始末するわよ」

「了解だ」


 タスラムを呼び出し、ヴェスタ・フレイムを纏わせ、俺自身にも纏わせるついでに、ティターニアの両手にもその安らぎの炎を呼び出す。


『いやちょぉい?! ちょ、待った! 本当に今回は戦いに来たわけじゃないわよ! 直接は戦わないから!』

「つまり、精神的に攻撃してくるってことでしょ?」

『違……わなくはないか。いやでも攻撃しない、ね? 話聞いてくれる? そうでないとせっかく端末を送れるようにしてくれたノディアーたちに悪いから、ね?』

「晴樹、マスケット」

「ん」

『だからやめんかい!』


 メイプルにマスケットを返しはしたが、俺もメイプルもクッタクァに武器や魔法を向けない。

 奴はふざけた雰囲気だが、まったく隙が見当たらないし、今の俺たちで奴に勝てるかと言われれば、多分無理だとわかっているので、奴の言う通りそれ以上の攻撃的な姿勢を取るのを止めた。

 するとクッタクァは、顎に落ちた汗をぬぐうような仕草をしてから、ふぅと息を吐いた。

 いちいち人間臭い反応と言うか、コミカルな仕草をする奴だ。そうやって、相手の油断を誘うつもりなんだろう。


「で、話って何?」

『あーそうそう。さっきの戦車、よくも壊してくれたわね』

「話を聞けと言っておいて、開口一番に喧嘩を売ってくるスタイル」

『っとごめんっ、口が滑ったわ!』

「もういいからさっさと話しなさい。お互いに消耗戦は避けたいし」

『いや、ウチは次から次へ……わかった、うん、マウントの取り合いはやめましょう』

(はよ)ぅ言え」

『ア、ハイ。えぇと、それで、そう! アナタたちに降伏してもらいたいのよ』


 単刀直入に来たな。

 だが、答えなんて決まっている。


「ノーに決まってるでしょ」

『いやまぁそりゃそうなんだろうけど、そこを何とか! ねっ! このままだとアンタたち、物量差で負け確よ?』

「負け確って……」


 前々から思っていたが、こいつ、邪神って言うか神様なのにノリが、地球日本の最近の若者そのものなんだよな……何て言うか、妹とかその友達とかみたいな年代。


「答えは変わらないわ」

『いやいや、本当にやめといた方がいいって! 今ならアンタたちの眷属化だけして、この街の人間とか魔族とかは見逃してあげるから!』

「却下! それに、私たちを眷属化して見逃されたとしても、この星を制圧し終えたら、結局皆眷属とかにされるんでしょ?」

『うげっ、まぁそうなんだけど……』

「そんなことがわかっていて、ノー以外の答えがあると思ってるの?」

『私だって結構ふざけてるとは思うけどさぁ! 本当にマジでこれで手打ちにしてって! でないと』

「でないと?」


 メイプルが聞き返した直後、街の周囲、絶対魔法の境界線すぐ近くに、さっきの多脚型戦車たちが、ずらりと円を描くように、突如として出現した。

 見回すと、全戦車に紅いランプが点灯しており、これから襲い掛からんとする巨大な鉄の昆虫のように見えた。


「予想通りね、晴樹。チョコバナナ三本、秋祭りの時におごってあげるわ」

「いやふざとる場合か?」


 これは、まずい。

 いくら何でも、これはまずい。

 邪神の造った兵器で、絶対魔法を打ち破られる可能性がある以上、この物量差はまずい。


「街の中には入れなかったのね」

『入れさせてもらえなかったのよ』


 よくわからないが、端末は入れても、戦車たちは入れることができなかったようだ。

 そしてそれを素直に認めてるということは、敵側はそれでも問題ないと言っているようなものだ。こういう、ヤバい手合い場合は。


『でも、ここからでも、私はエリスを陥落させられるし、何なら、そのゴーレムを破壊して、皆の前で徹底的に私たちの存在をアピールすることもできるわ』

「おぉ怖い怖い。で、それで?」

『それで、君たちには降伏して欲しいなって。言っておくけど、あの戦車の主砲ヤバいわよ? 四十六センチ砲って、別に私たちの間じゃなんとも……って代物だけど、この世界だとそうでもないでしょ? それに詰んでる遠距離兵器も凄いんだから! えぇと、さっき積んだのは確か……反陽子弾だったかな? 全機に搭載しておいたから!』


 おいこいつ、とんでもねぇもん搭載してるぞ。

 文明レベルとか異世界がどうとか以前の問題だ。

 むしろ宇宙レベルでヤベェぞおい!


「おい、そんなもん使ったら、この大陸っていうか惑星が終わるんだが?」

『威力調整してあるから大丈夫、大丈夫。それに、大陸一つで惑星が手に入るなら、安いものよね?』


 ダメだ、やっぱり邪悪な女神様だ。

 こいつは、絶対に倒さないといけない。


 だが、下手に動けば奴らがどうでるかわからない。

 なのにメイプルは、ふむ、とつぶやいて、


「もし」

『ん?』

「もし、隠していること、言いたいことがあるなら、今のうちに言っておきなさい」


 思わず、何言ってんだこいつと思ったが、メイプルの赤い瞳は、まっすぐにクッタクァを見ていた。

 まっすぐ、芯のある、大人の目だ。


 クッタクァは少し黙り込んだ後、ふっと笑った。


『一応、生物は人間も魔族も含めて、殺さないようにする、って付け加えておくわ』

「は?」


 何だそれは。


『破壊対象を選別するなんて私たちにとっては余裕だから~』

「いや、え、うん?」


 さっき、大陸一つ犠牲に、惑星を手に入れるって言ったのは自分だぞ?


『晴樹、君、私たちがただの侵略者だって思ってるでしょ? いやまぁ、そうなんだけどさ』

「じゃあ、何がただの侵略者と違うんってんだ?」

『そりゃもちろん、私たちが』

『話に耳を傾けてるんじゃないよ!』


 上空から聞き覚えのある怒声と共に、影が降って来て、クッタクァの端末を打ち据えた。


『なっ、アンタなんで?!』


 クッタクァが腕を上げて防御し、叫ぶ相手は、マントを頭からすっぽりとかぶった怪人だ。

 って言うか、見覚えのある奴だった。いや、顔は見えないが、登場の仕方とか声とか、後、手に、持ってる棍棒に激しく覚えがあった。


 俺たちに二度も突然の試練を与えて来た、大食いと呼ばれる巨神だ。今はリアさんの山で会った時と同じ背格好になっているが、間違いなく奴だ。


『ヴァーヴァリアスがまとめて相手してくれていてね! 本体に戻らなくて大丈夫かい?』

『あーもう! ザタークの奴何してんのよ!』

『だから、ヴァーヴァリアスがまとめて相手してくれてるって言ってんだろーが!』


 大食いのフルスイングを避けたクッタクァは、俺たちから距離を置いて、その姿を消していく。


『わかったわよもう……でも、晴樹、メイプル! このままで終わらないってことだけは宣言しておいてあげるから、精々気張ってなさいよー!』


 そう言って、クッタクァは姿を完全に消した。それに合わせて、大食いの姿も消えた。

 どうやら、援護に来てくれたようだったが、助かった。


「いや、まだ終わってないわよ」


 やべっ、戦車たち忘れてた。

 戦車たちは赤い光を発しながら、その胴体から砲身を露わにし、背中の装甲を開き始めた。

 やべっ、あれ反陽子兵器……!


 その時、エルフィから魔法通信が入った。


『二人とも、地下に敵が来てて、迎撃しとんねんけど、エルナちゃんと連絡、取れへん!』

「クッタクァの奴、時間稼ぎだったわね」


 メイプルがマスケットを構え、ティターニアにも魔力で構成・再現されたマスケットを持たせて同じように構えさせる。

 冷静に見えるが、その頬を一筋の汗が流れている。


「晴樹、こいつらをまず片付けるわよ!」

「了解……その前に、エルナ!」


 エルナに魔法通信を入れても、確かに、反応がなかった。


「大丈夫、まだ生きてるわ!」

「エルナたちの状態がわかるのか?」

「いいえ。わからないわ。でも、もしあの子が死んだら、わかるようにはしてある」

「なるほどな!」


 だが、危険な状態であることは予想できる。

 兎にも角にも、戦車たちは倒せるのは今のところ、マスケット装備のティターニアだけだ。

 エルナやジャンヌさんたちが無事な事を祈るしか、今はない!


 二度目の襲撃が俺たちの圧勝だったが、休む間もなくやってきた三度目の襲撃は、のっけからピンチだった。


お読みいただき、ありがとうございます。


最終話で、テーマソングを全員で歌ってからの展開ホンママジ泣かせてくるやん……(プリマ話

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