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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第七章 サキュバスとエロ漫画野郎と暁の魔法使い
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8-4 サキュバスとエロ漫画野郎 敵へ与える精神ダメージ

 終わってみれば、あっけなかった。

 あっけなさ過ぎて、でも、逆に、これでなければ、どうなっていたのかわからない。


 ティターニアの肩に乗って、数百メートル先で鉄塊と化した多脚型戦車らしき奴らを目の当たりにしながら、肩で息をするメイプルに回復魔法をかける。


「お疲れ様」

「サンキュー……ふぅ、上手く行ってくれて助かったわ」


 マスケットを右肩に背負い、座り込むメイプル。

 その顔には疲労感と一緒に、達成感が浮かんでいた。


「あれ、壊れてからわかったけど、多脚型戦車みたいね」

「見た目通りだな」

「しかも、内部に四十六センチ砲台と、ミサイルっぽいの詰んでたわ」

「うげっ、よく爆発しなかったな」

「ミサイルっぽいってだけで、未知の兵器よ。発射されなければ、驚異的なものじゃないって感じ。まぁ、邪神の兵器だから、こっちの理屈は通じないでしょ」

「それもそうか」


 とにかく、邪神たちの攻撃を防げてよかった。

 ブロードに魔法通信を送ろうとしたところで、城壁外の戦車たちに異変が起こった。


 俺たちの見ている前で、風にさらわれる塵のように、その残骸が光の粒となって消えて行ったのだ。


「何も残さないか。こりゃ、飛び散った破片を仮に回収していたとしても、全部消えてるわね」

「何かわかったのか?」

「ううん。見てもなーんにもわかんないってことがわかったわ。あの戦車と同じ。邪神たちにしかわからない力ってこと」


 何じゃそりゃ。

 まぁ後片付けとか考えなくてよかった感じだが。


「ココロたちに魔法通信を送るわ。その間、警戒よろしく」

「了解」


 ポーションを一気飲みしてから、メイプルはココロに通信を始めた。

 さて、今回はどうにかなった……が、これで終わりなはずがない。


 あの、どうしようもない、恐ろしい感覚が今でもある。

 そして、収納魔法の中で、タスラムが警戒するように明滅を繰り返している。


 つまり、今回のこれもまた……。


「威力偵察と見て間違いないわね」


 メイプルが立ち上がりながらそう言った。通信は終わったようで、俺をしっかりと見上げて来ていた。


「ティターニアと、このマスケットの存在も、これまでは無視されていたんでしょうけど、これからはそうはいかないわね」

「それも心配だが、あの戦車どもだ。あんな兵器があるなら、何で奴らは今まで使わなかったんだ? あれ使ったら、奴らが端末を送って来なくても、地上の制圧はもっと簡単にできたはずだろ」

「奴らが欲しいのは、この惑星とそこにいる生物たち。下手に動かしたら、犠牲者が大勢出るから、使わなかったって言うだけでしょ」


 なるほど、奴らの目的のために、これまでは使われなかったという事か。

 それが投入されたということは、このエリスをそれだけの脅威として認識していたのだろう。


「このエリスは、世界でも有数の防御力を持ってるし、人々の希望の砦でもあるから、そこを完膚なきまでに破壊できれば、人類側には圧倒的な精神ダメージを与えられるでしょうね」

「えげつないな」


 しかし、効果は抜群に違いない。

 希望や誇り、未来の象徴をたやすく破壊されること程、敵へ与える精神ダメージは大きい。

 邪神もいやらしい事をしてくる。流石は邪神。


「次は、どう来るか……あの戦車たちの大部隊を送り込んでくるってのに秋祭りのチョコバナナ三本」

「秋祭りにチョコバナナあるかどーかわかんないでしょ。でも、そうね、普通に考えてあの戦車の大部隊を送り込んでくるっていうのは、ありなのよね」

「ティターニア対策してくるよな?」

「してくるでしょうね。よし、ロールには徹夜確定で改造してもらいましょうか」

「ロールに何て言おうかな……」

「あら、さっきの戦車との戦闘はあの子も見てるんでしょ?」

「あぁ、そうだろうな」


 ティターニアの活躍を見たいっていうのと、研究とかのために、オルバインの時みたく見るって聞いている。


「なら、あの子も喜んでやってくれるわよ」

「だといいんだが……」


 それよりも、ティターニアの出所を邪神たちが探ってきて、ロールに被害があったりしたら嫌なんだが。


「それよりも、あの子のところに邪神が手を伸ばしてこないかって?」

「心を読んでくるんじゃない」

「顔に書いてあるのよお人よし。ロールの勤務している場所は、エルフが直接管理してるところだから、邪神たちも手出ししづらいでしょうし、大丈夫でしょ」

「どういうことだ?」

「この世界が、八百年もの間、邪神たちに侵略されなかったのは、神様たちの活躍が大きいけれど、地上でもそれなりに邪神そのものに抵抗した奴らがいたってこと。そのうちの一種族がエルフで、滅茶苦茶功績は大きいわよ」

「そうだったのか」

「えぇ。冒険者ギルドの設立と運営はそうだし、実害もあるけれど勇者召喚システムなんかも、世界を守るために大きく貢献しているわね」

「複雑だな」

「そうね。後は、ロール自身も魔神の血を引いてるから、一応神様に片足突っ込んでるような子なのよ。だから、いざとなれば、奴らの端末くらいなら追い払えるんじゃないかしら? ミレニアとリリィもいるし」

「そうだな」


 心配だが、俺たちが今守るのはこのエリスだ。ロールたちを信じて、今はやれることをやろう。

 そうして、二度目の襲撃は、こちらの圧勝で終わったのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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