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サキュバスとエロ漫画野郎と冒険者  作者: 胡桃リリス
第六章 サキュバスとエロ漫画野郎と熟練魔導師
203/451

EP サエぼと新米魔導士 誰かを守る力

長くなったので、2分割しています。

 戦いが終わった後、私はそのまま眠ってしまっていた。

 後でメイプルちゃんから聞いた話によると、魔力の大量消費やミレニアとの魔力同調など、色々な要因が課さりに重なって、疲労困憊状態になったため、らしい。


 目が覚めたら、見知らぬ天井が見えるベッドの上だった。

 傍にはメイプルちゃんと晴樹さん、ココロさんが座っていて、私が眠っている間に会った事を話してくれた。


 あの後、ロールさんを仕事場へ召還してから、ミレニアとリリィちゃんを連れて、オルバインの街へ帰還して、冒険者ギルドオルバイン支部長に事の次第を報告。

 それから、ミレニアたちと私の処遇についての話があった。


 ミレニアはメイプルちゃんたちの進言もあって、冒険者ギルドの研究施設で技術士として働いてもらうことになり、リリィちゃんはギルドマスターが面倒を見てくれることになった。

 ダンジョンマスターだったこともあり、普通の冒険者ギルド施設ではなく、ギルドマスター他、ギルドの偉い人たちが直轄している施設で働く方が良いだろう、という話しでそうなった。

 ちなみに、そこではロールさんも働いているらしく、ミレニアも知り合いがいるならと引き受けたらしい。


 とりあえず、衣食住と身の安全が保障されていると、メイプルちゃんがしっかりと言葉にして教えてくれたので、私は胸をホッと撫で下ろした。


 それから、私の処遇について、ミレニアと同じ職場で働くか、ギルドマスターの下で修業するか、メイプルちゃんたちと旅をするか、という三つが提示された。


 ミレニアと同じ職場で働くことについてはすぐに想像がついたし、彼女たちと一緒に居られたら、それは楽しいと思う。

 ギルドマスターの下で修業は……正直、冒険者とか興味はあっても、自分がそれになって活躍~……という気分にはなれなかったので、これはパスかな。


 そして三つ目、メイプルちゃんたちとの旅について。

 メイプルちゃんは、この旅には、パーティー各個人の目的はあれど、全員共通の大きな目的が一つあると言った。


「星海の邪神の討伐。それが、神々が晴樹と、仲間の私たちに託した依頼(クエスト)よ」


 星海の邪神って言うと、ノディアーとかクッタクァのこと、だよね。

 ミレニアとリリィちゃんを利用し、地球征服みたいなことをしようしていた、ラスボスみたいな奴。


「ラスボスで済んだらいいわね」


 メイプルちゃんが自分の膝に顎肘つけてため息をついた。その表情には、茶化す雰囲気は微塵もない。


「この世界のラスボスは……魔王とか、まぁ、ロキ(ちょっと意地悪な神様)だったりするんだけど……奴らは、そのラスボスとかそれより強い裏ボスを簡単に倒せちゃう神々と、八百年以上も戦い続けている訳のわからん超・超超高次元存在よ」

「ごめん、意味が分からない」

「私もわからないわよ。とりあえず言えるのは、チートとアンタが読んでた力が一切通じないくせに、逆に自分たちはチートを自由自在に扱えるヤベェ神様が敵、と言う事よ」

「え、それ勝てなくない?」

「えぇ。現状、奴らに対抗できるのは、神様以外だと、ウチの晴樹だけよ」

「え?」

「ミレニアとリリィを助けた炎、見たでしょ? アレと、もう一つタスラムっていう神器があるんだけど、この二つが星海の邪神に対抗できる力。そしてそれを持っているのが晴樹(この子)なの」


 そっか。

 クッタクァとか言う靄が、何故か晴樹さんを目の仇にしていた理由がわかった。

 この人、超極低使用魔力でメイプルちゃん以上の効果を持つ魔法を使うだけじゃなくて、邪神に対抗できる力を持っているからだったんだ。


 まるで、


「勇者みたい」

「勇者じゃないです」


 晴樹さんが間髪入れずに否定してきた。何故か敬語で。


「勇者はココロだから。俺は勇者じゃない。神様たちから力をお借りして、依頼されただけの一般人だから」

「って言ってるけど、本人以外は神様含めて皆、この子を勇者認定してるから」

「ちゃうんや……勇者って言うのはお前みたいな奴を()うんや……」


 本気で困惑し、拒否している様子の晴樹さんが首を横に振るけど、メイプルちゃんもココロさんも完全にスルーしていた。


「まぁこの子の戯言はいつも通りだからほっといて」

「うん……」

「話を戻すわね。星海の邪神の討伐依頼は、この子と、仲間になった者たちに託されることになってるの。つまり、私たちの仲間になれば、今日みたいな事がこれから何度もあると考えてもらっていいわ」


 今日みたいなことが、これからも……。

 皆で力を合わせてようやく勝てた。

 ギリギリの戦いだったのに、これからもあんなことがあるの?


「私はね……晴樹と会う前から、奴らの事は知ってた」


 メイプルちゃんがぽつりと零すように続けた。


「正直、この旅にアンタが着いて来る必要はないわ。ロールにも、星海の邪神の事は伏せてあるし、あの子も邪神について知識はないから、技術提供と適宜召喚して力を借りるだけにしてる。ミレニアとリリィについても、今後は知識方面で力を借りていくつもりよ。だからエルフィ、アンタも、冒険者ギルドで働いて、たまに知識を貸してくれるだけでもいいの。もしくは、全く別の道を進んで、私たちの戦いに一切関わらなくていい。もしも地球に帰る方法がわかったら、その時はちゃんと連絡するから」


 メイプルちゃんの言葉には、優しさと気遣いが感じられた。

 出会った時には、滅茶苦茶テンションの高い傲岸不遜な子だなって思ってたけど、今回の戦いを通じて、それだけじゃないってわかってる。

 この人は、我儘だけど誰かに寄り添える人だ。


「星海の邪神は、今この瞬間も、神々と戦っているわ。クッタクァが撤退したから、もうじき今回の戦いは終わるでしょうけど、またすぐに奴らが来る。私たちも、次、いつ奴らやその眷属と戦う事になるかもわからない。下手したら、死ぬことになる。それだけならまだいい。奴らの眷属になって、この世界や他の世界の侵略に利用されるかもしれない」

「そんな……」


 死ぬのは嫌だけど、そんな風に利用されるのも嫌。

 ミレニアはきっと、ううん、絶対にこれを知っていたに違いない。リリィちゃんを助けようとしていたあの気迫と覚悟はそうじゃないと説明できない。


「答えは今じゃなくてもいいわ。どうしても決められないなら、そうね、ミレニアと一緒に冒険者ギルドに行くこと。これが一番安全で、きっと楽しい道だから。生産職とか研究職もかなり魅力的よ?」


 それはきっとそうなんだろう。

 ミレニアやリリィちゃんと一緒にいられたら、きっとすっごく毎日が楽しいに違いない。

 でも、本当にそれでいいのかな?


「エルフィさん」


 迷っていると、ココロさんが声をかけてきた。

 相変わらず伊達正宗みたいな兜を被ってるし、声もどちらかというと冷徹で堅い感じがする。

 兜の奥から、目線がしっかりと私に向けられていることがわかる。


「直接、戦うことだけが全てではありません。後方支援も立派な戦いです」


 それはそうかもしれないけど……。


「一番問題なのは……自分で決めずに最前線で戦うことです。邪神、魔王との戦闘に関わらず、通常のダンジョン探索でも、個人、仲間の身を危険に晒します」


 キツい言葉だけど、その通りだと思う。

 私は答える事ができず、俯いてしまって、彼女たちの事を見ることができなかった。


「……少し話し過ぎたわね。今はゆっくり休みなさい。私たちは隣の客室にいるから、なにかあったら呼びなさい」


 そう言って、メイプルちゃんたちが立ち上がり、ドアを開けて、出ていく。

 一人だけになり、ため込んでいた息を大きく吐いた。


 今日一日で、本当に色々あって、色々な事を知った。

 ミレニアとリリィちゃんを助けられたことは本当に嬉しい。だけど……これから私はどうすればいいんだろ……。


 ミレニアたちと暮らしていくか。

 それとも、旅に出てみるか。


 今朝までなら、どっちも素敵だなって思えたのに。

 小説みたいな冒険も、街での暮らしも、憧れはあったのに。


 ベッドに寝転んで、天井を見上げる。


「……星海の邪神か」


 魔王ドリューシャが世界制覇を唱えて、大陸中を大混乱に陥れたのを、ココロさんが止めた。

 そのドリューシャと知り合いだったって言うミレニアが恐れる星海の邪神。ドリューシャも、奴らに利用されていた。

 奴らは一人だけじゃなくて、何人もいるらしい。

 支配された世界は、他の世界の侵略に利用される?


 ミレニアと、リリィちゃんの顔が思い浮かんだ。

 ミレニアはリリィちゃんを守ろうとしていた。

 ドリューシャの最後を知っているから、星海の邪神の目的を知っているから、自分たちがどうなるか知っていたから。

 必死になって、自分を犠牲にして、リリィちゃんを守っていた。


 リリィちゃんは、何も知らなかったみたいだけど、ミレニアの事をとても心配していたし、多分、何か隠されていること自体は気づいてたはず。あの子には、そう思わせる何かがある。頭、良い子だし。


 次に、ココロさんの事が浮かんできた。

 ココロさんがドリューシャの話をする時、殺気以外にも、悲しみのようなものを感じられていた。

 勇者だから魔王を倒すのは当たり前だと思っていたし、直接本人に聞いた訳じゃないけど、ココロさんも何か思うところがあったのかな。

 星海の邪神に利用されてたドリューシャは、どんな気持ちだったのかな。


 そして……メイプルちゃんたち。

 メイプルちゃん以外の人たちは、何か大きなことを口にしたりはしていなかったけど、全員が同じ決意、みたいなものを持っていたように思う。

 お互いがお互いを信頼して、役割を果たしていた。


 エルナちゃん、セイジュさん、ブロードちゃん。

 メイプルちゃんと晴樹さんも。


 破壊神様はのんびりしてたけど、きっと裏で邪神たちと戦っていたと、メイプルちゃんの話を聞いた今ならわかる。


 あの人たちなら、きっと星海の邪神を倒せる……と思う。

 私がいなくても、いい気がする。

 クッタクァとノディアーを思い出すだけで震えそうになる。

 滅茶苦茶怖い。


 でも……ノディアーの声が聞こえて来た時のミレニアとリリィちゃんの苦しそうな顔を思い出すと、すっごく、すっごく胸が締め付けられて、嫌な気分になった。

 私は、今朝までよりも、ずっと強い力がある。足りないなら、好きに鍛えられる力も手に入れた。

 晴樹さんのように邪神を追い払う力はなくても、誰かを守る力なら、ある。


エルフィ「思ったけど、私、一日でヤバい体験しまくってない?」

メイプル「大丈夫、晴樹もロールと出会った時は似たような感じだったわ」

ロール「いや、絶対に今回の方が大変だったわよね?」

エルナ「どっちもどっちかなぁ」

セイジュ「相手が今回を上回る不死身の巨人だったからな。試練でなければ危うかった」

ミレニア「アンタたち、一体何と戦ってきたのよ……」

ブロード「メイプルちゃんとお兄さんの事なので、たぶん、神様かなぁと」

ココロ「ヴァーヴァリアス様との試練も大変だったようですね」

リア「その時もセイジュの()言う不死身()の巨人()が追試とか言って乱入して来たぞ?」

ミレニア「だから何で破壊神と神と戦ってんのよアンタたちはぁ?!」

リリィ「(リリアちゃん、とっても活き活きしてるなぁ~」


お読みいただき、ありがとうございます。

次回、EP2です。

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