さめた、あと
目を、覚ましてしまった、と一番初めに意識を取り戻した時に、思ってしまった。
目を、また開けてしまったのだと。
あの子がもう、どこにも居ない世界に、舞い戻ってきてしまったと、次に思ったのはそんな言葉だった。
「……あ」
見覚えのない天井は清潔で、でもそこそこの年数が経っていそうな建造物のものだった。
嗅覚が、あまり頻繁に嗅ぐ事のない、色々な薬草や薬の匂いが混ざったものを認識した。
鈍い痛みを訴えてくる頭を動かすと、やはり、見慣れた場所ではない。
そして、数人が同じように、同じような敷布などで包まれた寝台に横になっていた。
たくさんの薬草や薬の匂い。清潔な空間。統一された寝具。寝ている人達の、少し弱ったような気配。
そこから導き出されたのは。
「医療院……」
お世話になった事がない、しかし知識としては知っている空間だった。
リアスは絶対に自分の元を離れないし、離れる事になったら大暴れをして、何をするかわからないから、ついぞ入れる事を選べなかった施設だ。
「うう……」
頭が鈍く痛み続ける。うめきつつ起き上がると、起き上がるだけでも息が切れそうだった。かなり、疲れているようだ。
「あ!! アイーダさん!! 目が覚めたんですね!」
治療院に勤務するのであろう、女性が扉を開けて入ってきたのはちょうどその時で、こちらを見た後に、目を大きく開いて近付いてくる。
「わかりますか? どこか、具合が悪い場所はありませんか? ああ、よかった。本当に良かった!」
「え、あ」
アイーダ。それは、そうだ、僕? 私? そうだ、自分が与えられた名前……
混乱する頭のせいで、奇妙な表情を取ってしまったのだろう。何かしらの具合が悪い事を女性に伝えてしまったのか、女性が額に手を当てて脈を測り、まぶたを開かせて、とあれこれを確認し始める。
されるがままにそれを受け入れると、さしあたっての問題を女性は見つけなかったようで、ほっと安堵の息をついた。
「大きな症状は、簡単に見ただけですがなさそうです。あなたのお母様も安心しますよ」
母など居ない。いや、……いる? どちらだっただろう。頭の中身がうまく判断を下してくれない。やはりどこか具合が、悪い。
しかしそれを、今ここで口に出すと厄介な気がしたので、黙った。
そうだ、まずは状況を整理できなければ何も進展しない。
ゆっくりを息をして、女性に問いかけた。
「あの、私……どうして、ここに? 住んでいた、港町の景色じゃ、ないみたいで」
窓から見える景色は、見慣れた港町の屋根瓦なども、あのリアスを眠らせた青い海も見せてくれていない。
港町ではないだろう。すっかり違和感を覚えなくなった、あの潮の匂いもない。
もっと、都会的な建造物が並んでいる窓の外に、いよいよ理由がわからなくなったのだ。
自分の疑問はもっともな事だったのだろう。女性が教えてくれた。
「混乱してしまうのももっともですよね。あなたは運の悪い事故に巻き込まれてしまったんですよ」
「運の悪い、事故?」
家の中に居た。ずっと。寝転んでいた。そのはずだ。建物に何か大きなものでも、突っ込んできたのだろうか。
それか、ボヤ騒ぎか?
それくらいしか事故という言葉に該当しそうな物に思い至らなかったのだが、女性が、混乱させすぎないようにという配慮なのか、寝台の横にあった椅子に腰掛けて、詳細を話し始めてくれた。
とても簡単に言うと、薬の材料に不備があり、処方してもらった薬の効果がおかしくなったのだという。
「そこの診療所に薬草を卸していた人の家で、乾燥処理をしている間に」
ある日強風が吹いた。乾いた軽い薬草は、舞い上がってしまって、乾くと特徴がよく似ている二種類の薬草の、ほんの一部が混ざってしまった。
その人は最新の注意を払って、その二種類を分けて乾燥させていた。
だが、ほんの一瞬。
近所の悪ガキが、扉を開けるいたずらをして、乾燥室の扉を開け、そうなった。
その人はすぐさま扉を閉めて、選別をし直した。悪ガキは徹底的に叱り飛ばされて、反省し、二度と同じいたずらはしないと誓った。
だが、本当にほんの少しだけ。二種類の薬草は、混ざったまま、診療所に卸されてしまった。
信頼をしていたし、一本一本の薬草をまじまじとは検分しない事もあって、気付かれないまま薬の材料になった。
それが判明したのは、ある日、薬を調合しようとしたお医者様が、その混ざった薬草に生えていたカビに違和感を覚えたからだという。
乾燥させていた二種類の薬草のうちの、片方は、カビが生えやすく、そして、そのカビも薬の材料だった。
もう片方は、きちんと乾かせば、簡単にカビが生えない特徴を持っていた。
そのため、管理する場所も、徹底的に区別されていた薬草だった。
ゆえに、気付いた時、大騒ぎになって、診療所は潰れても構わない、患者の命を、とその材料を使った薬を処方した人全てを洗い出し、薬を回収し、異常があるかもしれない人を、治療した。
殆どの人は、無事だった。無事だったし、薬を買った時の治療費は全て返金された。
しかし。
「あなたの薬は、運悪く、混ざってしまっていたの」
診療所の人が手分けして患者の家を訪ね歩いていて、自分の家に来たのは最後だった。
母を名乗る貴族女性が、家の扉を叩いていた。関係者か、と思ったが、扉をいくら叩いても返事がない。
近所の人に聞くと、しばらく物音も聞いていない気がすると答えた。
嫌な、予感がした。とても嫌な予感がして、大家に頼み、合鍵で鍵を開けてもらい、中に入った。
自分は寝台で横になっていた。母を名乗る女性が声をかけた。
起きない。
いくら、揺さぶっても、声をかけても、頬を叩いたりしてみても、起きない。
薬入れに入れられた薬は、一回分、服用されている。
結構な騒ぎになった。
港町の診療所や、医療院では対応できなかった。そのためすぐさま、特急で王都まで運ばれて、ずっと治療を受けていたのだそうだ。
驚いたが、好奇心も湧いた。
「その混ざってしまった薬を飲むと、どうなってしまうんですか」
「混ざっていた比率にもよるけれども、眠ったら、そう簡単に目を覚ませなくなるほど、眠いままなの。立ち上がれないくらいに」
「自分はどれくらい、眠っていたんですか」
「もう、二週間も。手遅れになるかもしれないと、先生達が難しい顔をしていたわ。お母様も泣きそうになっていらっしゃった」
ならばそのまま、永遠の眠りについてしまいたかったとは、流石にここでは言えない。言ったらとんでもない事になる。
それくらいの分別はあったので、ただ、頷いた。
「目を覚ましてくれたなら、お医者様に診察してもらいましょう。起き続けられますか?」
「はい」
眠気は、なかったので頷いた。女性がお医者様を呼ぶために立ち去る。
寝ている人達の呼吸の音ばかりの部屋に、戻る。
「……」
状況はわかった。何が起きていたのかも理解できた。
しかし一番肝心の、自分が誰なのか、がうまく飲み込めない。
僕は、私は、どちらだ? この意識はどちらのものだ? 何故こうも判断がつかない?
決定的な部分に目を向ける事が、恐ろしくてならない。そちらを向いてはいけないと、言われているような。目を向けてはいけないと、自分の中の何かが警告してきているような。
「リアス」
こういう不安な時に、お前がそこに居て、笑って、手を握ってくれたなら。
きっと、どちらでも、心を落ち着かせられるのに。
お前はもうどこにも、いないのだ。
「……今更お前を頼ろうなんて。なんて、身勝手で」
ひどい人間なのだろう。
自分の最期の願いが、どれだけお前にとって残酷か、あの頃思い至れなかったんだ。
お前は、ああいう風に自分が願えば、叶えてくれると知っていた。
自分に生きていてほしいと切望していたお前に、命を絶ってくれと願うそれの、あまりにもひどい中身の事を、世間から外れた生活ばかりだった自分は、本当に思い至れなかった。
「お前に。僕は」
生きて、幸せになってほしかったんだ。
「そこに、僕が」
居なくなっていたとしたって。あの頃もう自分が長く生きる事は諦めていたんだ。
信じ続けた神に対しての蛮行の結果、神から目を背けられた時から、長く生きる事を諦めたんだ。
その代わりに、お前に、あの女と、あの女の子供と、笑い合ったり時に喧嘩したり、色々な感情をぶつけ合って、それでも並んで歩いてほしかったんだ。
うそじゃない。
うそじゃない。
うそなわけがない。
この思いが、うそであるわけが、ない。
「なのに」
お前にあれほどの後悔を与えてしまった。いらぬものをどれだけ背負わせただろう。
お前が繭になる事なんてなかった。きっとなかった。
神はそのお考えをこちらが測る事など出来ようもないけれども、あの村すら天罰が下ったと聞かなかった。
自分が受け入れていれば、お前が案じた妻や子供への天罰はくだらなかったんだ。
神はあまねく世界を見渡せる御方で、たとえその力を穢してしまったのだとしても、リアス、お前がその責任を被る事はなかった。
自分が望んで望んで、お前はそれを苦しみながらも叶えてくれたのだ。
「お前に、幸せな人生を送らせてやれなかった」
胸が痛み始めた。涙はもう出てきてはくれない。
そこまで考えて、ふっと疑問が頭をよぎった。
「あれは、夢だ」
自分の妄想のはずなのだ。そうでなければおかしいのだ。だってこの体はイッサのそれとはすべてが違う。
何故自分は、夢で見た事を全て事実であったように思い、こんなに苦しいと思うのだろう。
「……」
母親を名乗る女性が、案じているというならば。
「試す、事は一つだけしてみよう」
それで心の整理がつくならば簡単で、そしてリアスの最期を正確には知れない母親は、こちらの言い分を信じる他ない。
「アイーダ!! 本当に、本当に! 目が覚めてくれてよかったわ!」
お医者様に連れられて入ってきたのは、夢で見た姿よりも少し歳を重ねて、歳を重ねた分艶やかさを増した銀髪の美女だった。
「リリーブランカ」
彼女を見て、呟くように、夢で呼びかけたあだ名を呼ぶと、彼女は貴族女性らしからぬ動揺を見せた。
動揺を見せて立ち止まった後に、深呼吸をし、微笑みかける。
「お父さんから、そのお名前を聞いたの? お兄さんのフリをするために、そういう呼び方をしてきたの? もう、お母さんと呼んでくれていいのですよ。本当に、頑張りましたね」
それにはうつむいて何も答えないようにした。心臓が、早鐘を打っている。
リアスはついぞ、息を引き取るまでの一年間、このあだ名を口にした事はなかった。
推測が、確信に至ってしまった。あの夢は、夢は。
本物の、リアスの兄の、水神の御子イッサの、記憶だ、と。
どうして自分にその記憶が宿ったのかはわからない。どうしてそれを見てしまったのかはもっとわからない。
だが、あの夢は、イッサの側からの真実だったのだ。
たった一つの言葉だけで、と思う人間も無論いるだろう。だが、一度も聞いた事のない名前を知っている理由が、他に見つけれられなかった。
そしてうつむいた事で、ある事実に気がついた。
「あの、その。薬指にはめていた白い石の指輪を知りませんか」
「指輪?」
「港町で寝る前まで、はめていたはずなんです」
それがない事にかなり動揺してしまっていて、消えた指輪をはめていた左手の薬指を凝視していて、銀の女性の方を向いていなかった。
そのため、彼女の表情や身ごなしなどはわからない。ただ。
彼女は不思議そうにこう告げてきたのだ。
「指輪……? 見ていないですよ。あなたは寝台の上で目を覚まさなくて、あの時かなり誰もが混乱していましたから、治療の途中で外れてしまって、どこかに転がっていったのではないかしら」
嘘の匂いが、そこで感じ取れてしまった。女性は、何か、どれくらいかの判断はつかないが、嘘を吐いている。
嘘を見抜いた事を、今は、気付かれてはならない。
うつむいたまま言う。
「そう、なんですか」
心臓が痛いほど速い。どうか気付いてくれるな。
「見つからないのは、残念です」
さみしい調子でそれだけを呟くように、口に出した。
しかし。
「大丈夫ですよ」
母親は、慈愛に溢れた優しい響きだと、誰もが思うであろう声で、こう言ってきたのだ。
「あなたは、金の帝国の皇帝に、噂だけで求められているのですから。ただの白い石で出来ている安物よりも、ずっと素晴らしい、あなたの好みの指輪を、皇帝は贈ってくださいますとも」
……は?
唖然とした。顔が持ち上がる。母を名乗る絶世の美女は、おかしな事など何も口に出していないという風に告げてくる。
「早く回復して、お家に帰りましょうね。あなたのお輿入れの物を、色々選ばなければなりませんから。母親なのに、わたくしはあなたの好みの色も知らないのです。遠くにお嫁に行く娘に、母から色々贈りたい物があるのに、何もわからなくて、さみしくて」
「きんのていこくの、皇帝」
理解しがたい単語だ。自分が何者かと婚姻を結ぶなど到底理解しがたい。
頭が痛くなってきた。家に帰りたい、と思った。
この女性のいうお家は、彼女の邸宅であろう。だが自分の家は。
「家に早く、帰りたい……」
リアスと過ごした、あの、港町の小さな小さな、あの部屋にどうしても、帰りたいと思ったのだ。
そうですね、と女性がそっと手に触れてきた。
それをするりと抜いた。
触れられたくないと、思ってしまったので。
「指輪ですか? 白い石? ああ」
その後、困った顔で、看護をしてくれる女性達に片っ端から聞くと、やはり銀の女性は、嘘を吐いていた事が明らかになった。
これが一人だけの言葉なら、少し疑いがあったのだが、流石に十五人にも聞いたのだ。確実と言えそうだった。
女性達は、主観が色々混じった事を話してくれたが、統一されていた情報もある。
それが。
「指輪を見たお母様が、ものすごく怒った顔をして、お医者様に指輪を抜くように指示をして、どこかに持ち去っていってしまった」
というものだった。
それに関して、感想は様々だった。
「娘に知らない恋人がいるのが、衝撃だったんでしょうね」
母親に同情的な声もあった。
「きちんと話して取り上げればよかったのに」
そう言う人も居た。
「結婚前の娘が、結婚した印にもなる左手の薬指に、どういう経緯でも指輪をはめていたなんて、皇帝に知られたら怖いから、かもね」
割と冷静な人も居た。
だが統一されていた情報は、あの女性が指輪を持ち去ったという、それは間違いがなさそうだった。
取り返さなければ。あれはあの子が最期に遺した約束を示すもの。
リアスとの、最後のつながりだ。
「手間を掛けさせおって」
ある日の事だった。母方の祖父が見舞いに来たというので起きていると、そう吐き捨てられた。
自分が見つかるに至るまでのあれやこれやを、多少は知る身の上になったので、そういう言葉は、少し、理解はした。
理由はわからないが、相当な数の人が雷に打たれて死んだのだという。
そのまま諦めればよかったのにとも思うが、人をどれだけ死なせてもいいから、皇帝へ嫁がせたいのだという意思は、そこから判断できる事だった。
「……」
「わびの一言も言えないのか! 何人の人間を殺したと思っている!」
「どうやって手を下すんでしょう」
「なっ……!!」
「お答えいただけませんか。魔力もほとんどない、術の欠片も知らない、誰かに頼むようなお金も、たぶらかす美貌もないこの身の上が、いかようにして手を下すと教えていただけるのでしょうか」
怒らせれば、口を滑らせる気がしたのだ。だから煽った。
まさか小娘風情にそういう切り返しをされるとは思わなかったのだろう。
祖父であろう男性は、孫娘の経歴から、ろくな学も教養も持っていないと思っていたのだろうから。
「私を誰だと思っている!! そんな事もわからない頭だから、あんなおぞましい物を身につけられるのだ! 汚らわしい!! 父親と揃いの指輪など! それも婚姻を示す指に!!」
来た。少し興奮した気持ちがありながらも、言葉だけは冷静に問いかけた。
「その指輪をどこにやりましたか」
激昂した祖父は、彼の認識の中では、おぞましく狂った倫理の証明であろう指輪の行方を、怒鳴った。
「あんなもの!! 娘が見つけて持ってきて、相談してきた時点で、砕いて灰も残らない高温の炎で、浄化してくれたわ!!」
呼吸が止まった気がした。いっそ心臓の動きも止まってくれればいいのにと、思う自分が居た。
体中の血という血が、全て沸騰したような気持ちが前に出てきて、そして。
「……かえせ」
「は?」
「かえせ!!!!」
病室にはまるで似つかわしくない、咆哮のような声が喉からほとばしった。そう言えば、自分は大声の出し方を習っていたから、相当な大声が出せたのだと、ここで思い出した。
思い出しても、声の制御など出来るわけもない。
激情が全ての理性を壊していた。
「かえせ!! かえせ!! あれはリアスの最期だ!! リアスが最期に遺したものだ!! たった一つの、たった一つしか残っていない、リアスが選んだ約束だ!! かえせ!! かえせ!!! かえすんだ!!!!」
「なっ……」
がちゃがちゃと、けたたましく、手にはめられている枷が激しく動く。
足につけられた枷もまた同じ。
体中につけられてしまった枷という拘束具を引きちぎらん勢いで、自分は祖父に掴みかかろうとした。だが、枷の長さが足りず、寝台で暴れる長さにしかならない。
吼えて吼えて吼えた。ただかえせと吼えた。大声があまりにも大声だったから、看護する人達が複数駆けつけてきて、こちらの体を抑え込み、祖父に言う。
「患者を興奮させないでください!! ただでさえ精神が弱っていて、何をするかわからないんですよ!!」
「そうなんですよ!! 薬は手近にあればありったけ飲み干すし、動ければ窓の外に飛び出そうとするし、本当に落ち着かせなくちゃいけないんです!!」
祖父を叱る人達の声がする。どれも事実だった。
自分の最期を見た後から、何も夢を見なくなった。リアスの声をもう一度聞きたくて、薬を飲めば一度でも、と思ってしまって、頓服の薬をありったけ飲み干して、死にかけた事があった。
薬は手元に用意されなくなった。毎回、適量だけ手渡される。
強引に意思など無視して結婚させられると知ったから、動ける日は窓から脱走し、途中で何度も見つかって連れ戻されて、それでも逃げるものだから、最終的には治療のためにと、手にも足にも枷がつけられた。
看護をする人達は、港町で何があったのだと少し調べて、誰かから葬式の際に起きた悲劇を聞いたらしく、興奮させたら何をするかわからない患者、と認識したらしかった。
ここで死なれたら、金の帝国の皇帝が、どういう怒りを向けてくるかわからない、という事だったのかもしれない。
医療院にいる患者達を守るために、彼等彼女らは、自分にそういう処置をせざるを得なかったのだ。
「かえせ!! 返して!! リアス、リアス!!」
「いけない、危ない。誰か鎮静の術を強めにかけろ!!」
「はい!!」
鎮静の術が、一気に自分の意識を鎮めにかかる。
意識が遠のく中で見えたのは、祖父が怒りで顔を真赤にした姿だった。




