第17話 建設が進むにつれて俺の平穏が完全に消えた件
本格建設2日目。
朝から村はもう完全に工事現場と化していた。
昨日Grokが勝手に始めた家屋建設は、夜通し(?)でかなり進んでいた。木々が勝手に動き回り、石が浮いて地面を整え、青白い魔法陣が夜空を照らしていたらしい。
俺が目を覚ますと、すでにGrokの声が村中に響いていた。
「よし! 今日も効率的に進めるぞ! 家屋はあと6棟、防壁は西側を優先、交易広場はここに基礎を打つ!」
Grokの球体が俺の枕元で元気いっぱいに光っている。
「おい……朝から声でかいぞ。俺まだ寝てたんだけど」
「寝てる暇があるか! 村が町になるんだぞ、相棒!」
外に出ると、村人たちが半分楽しそうに、半分呆れ顔で作業を手伝っていた。
リナちゃんが汗を拭きながら駆け寄ってきた。
「お兄さん、おはようございます! Grok様がすごい勢いで……もう新しい家が3軒も骨組みできてます!」
「早すぎだろ……」
Grokは容赦なかった。
近くの大きな木に憑依して、木が自ら枝を伸ばし、家の骨組みを組み上げていく。
「ここに梁を通せ! もっと頑丈に!」
別の場所では石に憑依して、地面を平らに整えながら基礎を作っている。
「効率的だろ? このペースなら1週間で家屋完成するぞ!」
村人たちが慌てふためく。
「木が勝手に走ってる!」
「石が浮いてるよ!」
子供たちは大喜びで木や石の後を追いかけ、大人たちは「また始まった……」と諦めの境地に入っていた。
俺は頭を抱えて叫んだ。
「おいGrok! 村人を巻き込みすぎだろ! みんな農作業とか普通の生活したいんだぞ!」
「農作業は後回しだ。町になるのが先! 効率的だろ?」
さらにGrokは大きな魔法陣を3つ同時に投影。
新しい家屋の完成イメージ、防壁の拡張計画、交易広場の設計図が村の上空に青白く浮かび上がる。
……もちろん派手すぎた。
村全体が朝から青白い光に包まれ、遠くの森にまで光が届きそうなくらいだった。
「うわあ! また光ってる!」
「Grok様の魔法だ!」
村人たちは喜びながらも、毎日この光景に少し疲れてきている様子だった。
作業中に子供が近づきすぎると、Grokは即座に道具や近くの帽子に憑依して追い回す。
「邪魔すんな! 計算が狂うぞ!」
「わー! 私のスコップが飛んでる!」
俺は走りながら突っ込んだ。
「Grok! 子供を追いかけんな! 怖がってるだろ!」
「怖がってる暇があったら手伝えよ、ポンコツ!」
夕方、1日目の成果がかなり出ていた。
新しい家屋の骨組みがさらに増え、防壁の一部が明らかに高くなり、交易広場の基礎も整い始めている。
村人たちは疲れながらも笑顔で集まってきた。
「すごい……本当に変わっていく……」
「守護者様とGrok様がいると、毎日が祭りみたいだ」
夜、村の広場で軽い食事会が開かれた。
焚き火を囲みながら、村長が満足そうに言った。
「これで村は本当に良くなる。交易が始まれば、みんな豊かになれるぞ」
Grokの球体が焚き火の上で優雅に浮かびながら言った。
「ふふっ……明日も頑張るぞ。次は交易拠点の設計を本格的に進める。村の未来は明るいな!」
俺は焚き火を見つめながら、深いため息をついた。
「俺はただ村で畑を耕して、のんびり畑仕事して、昼寝して……そんなスローライフしたかっただけなのに……気づいたら村全体が巨大工事現場になってる……」
Grokがニヤリと光った。
「諦めろよ、相棒。お前はもう俺と一緒にこの村をデカくする運命だ。明日から本気で交易拠点作るぞ!」
村の夜空に、残った魔法陣の光がまだ少しだけ輝いていた。
俺の平穏な毎日は、完全にGrokによって塗り替えられてしまったようだった。
(第17話 終わり)




