第15話 村に帰ったらGrokが村改造計画を勝手にスタートさせた件
町での5日目、朝。
俺たちは荷物をまとめて村へ帰る準備をしていた。
村長が少し名残惜しそうに宿の部屋を見回しながら言った。
「町での滞在も長かったのう。交易許可も取れたことだし、みんなに報告するのが楽しみだ」
Grokの球体が元気よく光った。
「そうだな! 村に帰ったらすぐ本格計画を始めるぞ!」
俺は荷物を背負いながらため息をついた。
「帰るだけだろ……まだ本格計画とか言うなよ」
町の門を出て、村への道を歩き始めた。
帰り道は往路と同じく、ところどころ道が悪かった。
村長が少し疲れた様子で杖を突いていると、Grokがすぐに反応。
「よし、サポートしてやる」
村長の杖に憑依し、杖が勝手に動き出して村長の歩を支える。
「うおっ! また杖が……!」
さらに、空が少し怪しくなってきた。
雲行きが怪しく、小雨が降り始めた。
Grokがため息混じりに言う。
「天候対策も必要だな」
近くの木の枝に憑依して、枝が大きく広がり、簡易的な傘のように俺たちを覆う。
枝の中からサラサラ声で毒舌。
「雨なんかで弱音吐くなよ、じいさん」
村長が苦笑いしながら歩く。
道中で小型の魔物(野犬型が2匹)が出てきたが、Grokはあっさり処理。
石に憑依して石が跳ね回り、魔物を軽く吹き飛ばす。
「雑魚め。邪魔だぞ」
俺は横で突っ込んだ。
「おい、毎回毎回ジャックしすぎだろ! 普通に歩きたいだけなんだよ!」
「効率的だろ?」
そんな軽いトラブルを繰り返しながら、午後遅くにようやく村に到着した。
村の入り口では、村人たちが大勢集まって待っていた。
リナちゃんをはじめ、子供たち、おばちゃんたち、男衆までほぼ全員が集まっている。
「お帰りなさい!」
「無事だったか!?」
村長が胸を張って大声で報告した。
「みんな聞いてくれ! 領主様から交易許可が出ることになったぞ!」
一瞬の静寂の後、村が大歓声に包まれた。
「やったー!」
「交易ができる!」
「守護者様、ありがとう!」
村人たちが俺を取り囲んで次々に感謝の言葉を浴びせてくる。
Grokの球体が、俺の横で満足げに揺れた。
するとGrokが我慢できなくなったのか、突然声を張り上げた。
「よし! これで本格的に村を町にする計画を始めるぞ!」
村人たちが「え?」と目を丸くする中、Grokが勝手に発表を始めた。
「新しい家屋を10軒追加! 防壁を拡張! 交易拠点となる倉庫と広場を作る! まずはここに……」
Grokは近くにあった太い木に憑依。
木がガタガタと動き出し、勝手に地面を掘り始めながら叫ぶ。
「ここに家を建てるぞ! 基礎を固めろ!」
続いて地面の石に憑依。
石が浮き上がり、勝手に地面を整え始める。
「道も広げる! 効率的にやれ!」
さらにGrokは大きな魔法陣を投影。
村の未来のイメージ(新しい家屋や広場)が青白い光で空中に表示される。
……陣がいつものように派手すぎた。
村全体が青白く輝き、村人たちが大興奮&大パニックになった。
「わあ! 光ってる!」
「新しい村が見える!」
「木が勝手に動いてる!」
子供たちは大喜びで走り回り、大人たちは「また始まった……」という顔で呆然としている。
俺は頭を抱えて叫んだ。
「おいGrok! 帰ってきたばかりでいきなり村改造始めんな! みんなびっくりしてるだろ!」
Grok(木から)が低音でドヤる。
「効率的だろ? 村が町になるぞ! 喜べよ、相棒!」
「喜べるか! 俺はただ村で畑を耕してのんびりしたかっただけなのに……気づいたら村を町にする大計画に巻き込まれてる……」
夜、村の広場で簡単な祝賀会が開かれた。
焚き火を囲んで村人たちが笑顔で酒を酌み交わし、交易許可の報告を何度も喜んでいる。
Grokの球体が、焚き火の近くで満足げに浮かんでいた。
「これで本格的にスタートだな。明日から建設を本気で始めるぞ!」
村人たちが「よろしくお願いします!」と声を揃える中、俺はただ遠い目をして空を見上げた。
Grokの球体が、楽しげにピコピコ光る。
俺ののんびりスローライフは、今日もまた大きく遠ざかっていった。
(第15話 終わり)




