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27 二人旅

 第六魔導巨兵工房(ファクトリー)を囲む森型ダンジョンの攻略に、魔導巨兵(マシンドール)は参加していない。バーディガン王国軍は、人員の余裕が出来ても、人形遣い(ライダー)を廻すほど余裕はないのだろう。


 ダンジョンのことは、すべて三男のレアンに一任することになった。


 夕食の席でレアンは、僕らに向かってこう言った。


「あーそうだ、ダンジョンの難易度を上げたから、それとオーガ族の魔物も湧くようになったよ」


 と、初めて聞く話に驚く僕らを尻目に、レアンは淡々と話をする。

 森林都市アムズメリアの近郊にあるダンジョン攻略で手に入れた、オーガ族の心臓を使い、ダンジョンの強化と、魔物の追加を行ったそうだ。

 そんなことが出来るなんて、初めて聞いたんだけど……と言いたい気持ちを必死に抑える。

 カーネギー・アルダンから託された力については、例え兄弟であっても突っ込んだ質問はタブーである。

 それと、定期的にダンジョンの入り口と出口と道筋を入れ替える、ダンジョンリセットを使っていることも発表された。

 魔導巨兵(マシンドール)無の部隊編成では、バーディガン王国軍が、僕らのいる第六魔導巨兵工房(ファクトリー)に辿り着くことは難しい。そう、レアンは考えているようだ。


「本当は、もう少し強い魔物をダンジョンに追加したいんだけど、それをするには、遠出をしないといけないから」


 と、レアンは続ける。

 第四王女グレース・シルビルードは、約束通り、第六魔導巨兵工房(ファクトリー)近郊から、シルビルード軍を撤退させた。

 これにより僕ら兄弟は、第六魔導巨兵工房(ファクトリー)を拠点に、引き篭もることを決めたのだ。

 第六魔導巨兵工房(ファクトリー)要塞化計画(仮)である。


 

 新星暦一二八三年十月三日。

 僕とレアンは、二人だけで、シルビルードが制圧している要塞都市ワグナウアに向かうことになった。


 前回の取引の際、第四王女は、いつでも自分と連絡が取り合えるようにと、サキ姉に第四王女が持つモノと対になる通信用魔道具を渡していた。

 そんな僕ら兄弟の知らぬ間に行われていた会談が実り、今回の取引が決まったと……第四王女は、サキ姉が興味を持つような取引を提示したのだろう。

 僕は、大きなため息を漏らした。


 その取引場所が、要塞都市ワグナウアというわけだ。

 完成した三機の『鋼鉄の一角狼改修型(ホーンウルフリペア)』は、すべて引き渡す。

 僕とレアンは、二人で要塞都市ワグナウアに向かい、『鋼鉄の一角狼改修型(ホーンウルフリペア)』引き渡した後、代金として支払われる廃棄機体や素材を受け取って、第六魔導巨兵工房(ファクトリー)に戻ってくる。

 言葉にすると簡単だが、シルビルードとアムルシアン連合国の戦争は現在進行形であり、バーディガン王国の各地で戦闘が行われている。

 そんな戦地を横切り、目的地を往復するのは、なかなかに骨の折れる仕事だ。


 サキ姉から渡された、商品目録に目を通す。

 受け取り予定の廃棄機体は、『鋼鉄の一角狼(ホーンウルフ)』が十三機、そのうち五機は、既に修理後、シルビルード軍への引き渡しも決まっている。

 残りの機体の扱いについては、サキ姉と第四王女の間で後日相談。

 他に人型魔導巨兵(マシンドール)も十機前後受け取り予定。

 こちらは機体の種類について明記無、後は、前回同様森の隠者の巨大蟹(ハーミットクラブ)の甲羅と、魔物の素材がチラホラ、今回の取引にも巨人樹の変異種が含まれていた。

 サキ姉が嬉しそうなのは、変異種が含まれているからだろう。

 詳しいことは書かれていないが、変異種『ムカデ』のような大きなものではないとのこと。

 かなり大雑把な内容だが、サキ姉が納得しているのなら、僕とレアンにそれを拒否する選択肢はない。


「レアンは『黒小鬼(クロショウキ)』と『ガラカムトライ』、どっちで行くの」

「うーん、『ガラカムトライ』にするよ。『ハルキゲニア』が一緒じゃ、『黒小鬼(クロショウキ)』の隠密性は役に立たないし」

「なんか、ごめん……」

「いやいや、リュカを責めてるとかじゃなくて、これだけ長いと、すぐ見つかりそうじゃん!隠れても意味ないなってさ」


 そうは言いつつも、無駄な戦闘は出来る限り避けたい。

 そんな希望を抱きながら、僕たちは出発した。


 レアンが魔導巨兵(マシンドール)から降りて、こっそりとダンジョンの外へと顔を出す。

 問題が無かったのだろう、僕に外に出るようにと、レアンは手で合図する。

 博士とレアンだけが使える、最短ルートを使ったこともあり、出発からまだ一時間も経っていない。

 僕と『ハルキゲニア』が外に出ると、レアンは入り口に戻り、何やらブツブツと呟きはじめた。恐らく、特別な道を塞ぐための合言葉なんだろう。

 託された力に関する詮索は禁止だ。

 興味はあったが、僕は見て見ぬ振りをする。


 その後、僕たちは、予め決めてあった近くの森に身を潜めた。

 今回は極力、日中は身を隠し、移動は夜間に行うつもりだ。

 六十メートルも長さがある『ハルキゲニア』では、堂々と街道を進むしかなく、それなら日が暮れてから動くようにしたほうが良いよね!と兄弟会議で決まったのだ。


 移動ルートは、森林都市アムズメリアの職人連合(アルチザンギルド)の責任者である、リーゼッツさんが教えてくれた情報を元に決めているが、案内役のキキが、僕たちが進むルートを音魔法で確認、バーディガン王国軍の動きがあったなら、柔軟に別のルートを選ぶという計画になっている。


 レアンと交代で仮眠をとり、早めの夕食をとりながら、キキからの連絡を待つ。


「リュカ兄、レアン、聞こえる」

「うん」「おう」

「今日、使うルートには、特に怪しい動きはなかったわ。ただ油断は禁物よ!進む距離はあくまで計画通りに、余裕があっても目的の場所に着いたら止まるようにね、分かった」

「了解」「分かってるよ」


 こうして、僕とレアンの初めての二人旅がはじまった。

 

 

読んでいただいてありがとうございます。

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