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Fantastic Life Online  作者: ようほう
本格的冒険と謎のお宝
25/28

Scene3-1

*ブックマーク2,000件となりました。

読んで下さっている方々、ありがとうございます!

「わざわざすみません。この子の言うことを聞いていただいて。」

「いえ気にしないで下さい。それにまだ、詳しいことを聞くのはこれからなので。」


 ジョーと話しているのは30代位に見える大人の女性だ。柔らかな笑い方と大き目の胸、少し垂れ気味の目が特徴的で柔らかい茶色の髪がその雰囲気を大人しめに見せてくれている。服の上に付けているエプロンには、所々に緑色の染みが残っている。あれはポーションを作る際についた汚れだろうな。


「はいカナタさん、お口に合うでしょうか・・・?」

「そんなに心配しなくても、美味しいですよ?」

「でも良いんですか?私たちまで夕飯に同席しちゃって。」

「気にしないでくれ。聞けばそこの彼が娘を助けてくれたのだろう?この位なら是非とも、と言ったところさ。」


 時刻は午後7時をまわって夕飯時、僕達は礼の薬屋さん達に夕飯をご馳走になっていた。メインはシチューとパンで、おかずにソテーやキッシュ、サラダにこれは・・・パスタ?へえー、パスタは欲しいかも。後でレシピか買える場所を聞いておこうっと。


「食べながらで失礼しますが、助けて欲しいとはどういった事なんですか?先ほども彼、ジョーが言いましたが、僕達はまだ詳しい事は聞いてないんです。」


 ソテーを一口大に切りながら旦那さんに聞いてみる。あ、凄い柔らかい。ナイフに抵抗を感じないけどどんな仕込みをしてるんだろう。


「実はあなた方に頼むのは大変苦しいのですが、とある薬草を採ってきていただきたいのです。」

「薬草、ですか?俺達はてっきり、ポーション作りの方かと思っていたのですが。」

「そちらも考えました、ですがまず、私のこの腕を治してしまいたいのですよ。」


 そう言った旦那さんの右腕は包帯で丁寧に巻かれ、その隙間からは薬草がはみ出ている。ポーションは今は一個でも使うのを抑えたいので、材料である薬草で治療をしているのだろうか?そう訊ねてみたのだが、どうやら違う理由らしい。


「私が薬草を採りに行って怪我をした、というのは聞いてるかな?」

「ええ、果物屋のおじさんから聞きましたけど。」

「おおあいつか。そう、こいつは比較的攻撃的な奴の少ない東の森での帰り道、そこで襲われた時にやられた傷なんだが・・・今も傷は広がっているんだ。」


 つまり継続ダメージを受けている、って事なんだと思う。BS(バッドステータス)の1つに<創痕(そうこん)>と言うものがある。名前の通り、すぐには治らない深い傷を受けた時に発生する状態異常で、比較的緩やかではあるが継続(スリップ)ダメージを受けてしまう。

 薬草では傷の回復に追い付いていないか、打ち消しあう程度の効果しかないのだろう。


「すみません、東の森にそんなモンスターが出る、と言う話は聞いたことが無いのですが。」

「今まではコイツが出てくる時期じゃ無かったからね。私も町のポーション不足と薬草の事しか考えていなかったとはいえ・・・いや、生きているだけ儲けものだろうな。」


 自由に動かせる左腕で頭をかく旦那さん。彼は笑っているが、傍に居る奥さんと子供の表情は蔭っているのがわかる。


「もしかして、そのモンスターを倒すのが頼みたいことでしょうか?」


 ジョーの質問に対し、旦那さんは肯定とも否定とも取れる表情をする。


「可能なら頼みたい、だが今欲しいのは東の森に生息するある薬草なんだ。それがあれば、私の腕も治るかもしれない。」

「・・・東の森に、そんな薬草が?僕達冒険者の間では、そのような情報は出ていないのですが。」


 ジョーの言う通り今のところFLOのwikiにそんな薬草が採れるという情報は上がっていない。が、wikiはあくまで有志のプレイヤーが情報を編集している場所だ。その人達が見つけていないか、見つけたプレイヤーが損得勘定をして載せなかったのか、可能性は十分考えられる。


(一応、後でサラさんにも聞いておこうかな。)


 MP回復薬を作るのに時間を割いているサラさんなら、この辺りの素材は一通り探していると思う。その人が知らないとしたら、何か条件がないと採れないものかもしれないし。


「ただ、その薬草は素人には見分けられないかもしれません。薬草に関して詳しい人が居れば、大丈夫だと思いますが。」


 薬草知識、と言う技能は無いので、恐らく<錬金術>と<鑑定>技能が一定値必要と言うことだと思う。幸い、ここ数日の生産活動と採取の為の戦闘である程度レベルは上がっている。万が一を考えて、誰かにヘルプを頼むのも一つの手かな。


「あの森には夜にだけ花が咲く一角があるんです。普段は薬草しか生えていないのですが、夜に見に行くと不思議な事に桔梗色の花が咲き乱れているのです。」

「その花が、腕を治せるという薬草なんですか?」

「そうなんだ、名前を【魔癒花(まゆか)】と言うのですが。こいつには体内の異常を外へ吐き出させ、体調を整える効能があるんです。」


 なるほど、BS(バッドステータス)治療用の素材だね。これはこれで貴重な情報を貰ってしまった。


「えっと、その【魔癒花(まゆか)】を採ってくるのが最重要で、貴方を襲ったモンスターを倒すのは後で良い、って事?」

「お嬢さんの言うことが理想なのですが、如何せんその花の咲く一帯は件のモンスターの縄張りなのですよ。」

「・・・それはつまり、そのモンスターを倒せば、しばらくは安全に先ほどの薬草が取れるようになると?」

「そうなりますね。」


 これはもしかして?と考えたことがあり、隣に座っているジョーに小声で囁いてみる。


「ねえ、ジョー。この話を聞いてて思い当たる言葉が一つあるんだけど。」

「奇遇だな、俺も考えがあるんだが・・・同時に言ってみるか。せーのっ――。」


 解放クエスト、と僕とジョーの小声が綺麗に揃った。

 解放クエストと言っているが、そんな大げさなものではなく利用許可が得られるクエストの事だ。他のゲームだと『倉庫が使えるようになる。』『サブクラス取得』『ペット入手』等、重要性はバラバラだが初期では出来ないものを使えるようにするクエストをそう呼んでいる。いつからそう呼ばれるようになったのかは知らないけれど、呼び方が良いので僕とジョーは今も使っていた。


「知り合いに助力をお願いしても大丈夫ですか?」

「ええ、勿論ですとも。しっかり準備をして、どうかアイツを倒してしまってください。」


 何人まで入れるのか判らないけれど、途中参加もOKと。これを解決すれば無関係な人にも反映されるとは思うけど、気付かれるまでの優位性は意外と大事だよね。


「ジョー、リィーナ。良いですよね?」


 念のため、僕は2人に確認を取る。


「お前の好きにすればいいさ。友達だろ?間違ったことをしない限り、俺はお前の力になるさ。」

「駄目な時は思いっきり叱るから、まずは何がしたいか教えて欲しいな?」


 うん、大丈夫。この2人なら僕は信頼しているから。


「わかりました。薬草とモンスターの件、お引き受けします。」




 薬屋の旦那さんから詳しい場所とモンスターの情報を教えてもらい、僕達は準備の為に一度【木漏れ日亭】に戻ってきている。その際にメニューから確認したのだけど、やっぱりクエスト欄に1つ、NEWと表記されたクエストが追加されていた。最大人数を確認してみると3/12の表記を見つける。最大12人ね。


「2人とも他に誰か呼びますか?僕の方は<錬金術>の人に連絡してみますが。」


 リッカさんとネイトさんのコンビは両人共ログオフとなっている。珍しいが無い事ではないので、これは仕方ない。そして僕が呼べる人は居なくなってしまった訳なので、2人に聞いてみる。


「こっちは検証仲間に声をかけてみる。戦闘は出来る奴らだから心配無用だ。」


 ジョーは一緒に検証作業を行っている連れを呼んでみるらしい。


「私は前に言ってたβ仲間を誘ってみる。確認したところ全員は居るし・・・って人数は大丈夫?」

「何人だ?俺の方は3人来れると思うが。」

「4人よ、私達5人で組んでいたから。」


 リィーナが友達を呼んだとして11人。問題ない事を告げるとリィーナはその4人に連絡を入れ始める。僕も念のために呼んでみようか。


《急にすみません、お願いがあるんです。時間ありますか?》

《あや~ごめんなさい、告白される仲じゃ無いと思うのですよ。》


 いきなり訳のわからない返しをされてしまった。


《邪魔みたいですね、新種の薬草が採れそうなので声をかけたのですが、すみませんでした。》

《うぇ!?ほ、本当ですか?騙そうとしてませんよね?お金ならないですよ?》

《何で常に金欠なんですか!!》


 研究費用で全て溶かしているのだろうか?その前にその研究費用はどこから・・・考えるのは止めておこう。


《実はとあるクエストを受けることになりまして、これからその薬草を採りに行くんです。戦闘になりそうなんですけど。》

《戦闘は自己責任で良いので連れて行って欲しいのです!まだ取れてない薬草なら、違う結果が出るかもしれないのですよ!お金が返せるかもなのですよ!》

《やっぱり借金じゃないですか!?》


 『行くのです!ありったけのポーションを持って行かせて貰うのですよ!』と言う言葉を最後にwisが途切れた。


「えっと、<錬金術>の人を呼びました。薬草の件で気になったので、それとポーションをいくつか持って来てくれるそうです。」


 魔法だけに任せるわけにも行かないから、回復アイテムはありがたい。僕の分はお昼のせいで無くなってるしね。死蔵させてる桜の以外は。


「こっちもOKだとさ。<補助>と<弓>に<盾>が来てくれる。」

「私のほうも全員良いって。今準備してる、えーっと<槍>と<治癒>に<両剣>。それと<攻撃魔法>の4人だよ。」

「人数は良し。わかりました、ひとまず広場に移動しましょう。手伝ってくれる人たちにも待ち合わせ場所の連絡をお願いします。今のうちに確認しておきたいこともありますから。」


 メニュー欄のオプションから公式サイトを呼び出し、運営側へ質問メールを1つ書いて送信する。今回のクエストが終わる頃には返信が来ていると思うけど。

 広場に移動しながら視界の端に見える時間を確認する。まだ午前中のため今日失敗しても何回かは挑戦しなおせるか。休日の朝方、と言うのに今回は感謝だね。これで現実で夜だったらしばらく待ってもらうことになっちゃうし。


「カナタ、先に確認しておきたいんだが。リィーナのアレはどうする?」


 ジョーが訊ね、リィーナもこちらの顔を覗いてくる。確認しているのは間違いなく<プルトン>の事だろう。今まで僕も他の人が似たような武器を使っているのは見ていない。まだ見つかっていないのか、それとも。


「リィーナは誰かに言ってたり、使ったりはした?」

「ううん、していないよ。切れそうだけど、壊れたら嫌だったし。」


 リィーナはまだその友達の前でも<プルトン>を出した事は無いみたい。とは言えどの位の強さかもわからないし・・・。


「しばらくはその片手剣で様子を見てください。武器が壊れたり、リィーナが危ないと判断したら使っちゃって構いません。」

「ん、わかった。」


 魔法の相性もあるけれど、最高火力を出せるのはリィーナかもしれないなあ。っとそうだ、注意だけはしていてもらわないと。


「リィーナ、<解放形態(レリーズアウト)>の事だけど。使うときは一言お願い。」

「だな。先に言ってくれれば舞台を整えてやれる。」

「オッケー、任せて!」


 僕達3人での打ち合わせをしながら広場に近づくと、既に何人かの人影が見えた。は、早くない?

体調が優れないので今日の更新はこれだけ。

1日1話更新を目標にしてみます。

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