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Fantastic Life Online  作者: ようほう
本格的冒険と謎のお宝
17/28

Scene2-5

 ・・・有名って、大変なんだな。

 リッカさんとのwisを切り上げた僕が次に話すのは、この前の大食い娘(サラ)だ。自分の事を錬金術師と言っていたし、ポーションについての話には最適だろう、と言うのが一つ。そしてあの時取っていた鉱石、アレから何か作れたのかどうか聞けないかな?と言うのが話をする理由だ。


≪お金ならまだ用意出来てないのですよ、後3年ほど待って欲しいのです。≫

≪普段どんな生活してるの!?≫

≪あい?やー、あの時のご飯の人ですかー。出前ですか?ありがとうございます。≫

≪違うよ!!≫


 いきなり何を言い出すのかこの子は。

 僕はポーションの露店価格が危なくなっていることと、この前の洞窟での結果はどうなったのかを簡単に聞いてみた。


≪んー、私はそっちには手を出さないようにしていましたからねー。初耳です、あはは。≫

≪笑い事じゃないよ!?≫

≪そもそもHP回復なんて、私は興味無いのですよー。錬金術師は魔力メインですから。≫


 いや、それはそうだけど。


≪だから私の目指すはまだ販売されてない【MP回復ポーション】の作成!≫


 サラが力説したとおり、FLOは正式サービスが開始して尚、誰もMP回復薬の存在を確認できていない。β時代に何人かのプレイヤーが運営に質問メールをだめもとで飛ばしたところ、『ちゃんと実装されているし、既に作れる材料は揃っている』と回答が来ている。

 それなのにそんなに騒がれていないのは、<瞑想(メディケーション)>を使っていれば魔法使いプレイヤーは問題ないからだ。その効果は『その場から移動せずに集中することで、魔力を1/sec回復する。』と言うもの。強力に見えるが空気中に魔力が豊富でなければ回復効率は落ちるし、その場から動けないのも代償としては大きい。

 しかし、プレイヤーが魔法を使った後はその残滓が少しの間残るため、ソレを使って<瞑想(メディケーション)>を行うのが主流となっている。


≪でもそれは今だけかもしれないじゃないですか?何があってもいいように、回復薬はあって損はないと思うのですよ。生産者の為にも!≫


 そういえば微量ではあるが、<錬金術>スキルは1回毎に魔力を使っている。その時間が長くなると言うことは、それだけ沢山のアイテムを作れると言うこと。さらには、もし大量に魔力を使うようなアイテムがあっても、その回復時間を短縮できると言うことだ。


≪そう考えると、MPポーションも必要になるものなんですね。≫

≪ようやくカナタもわかってくれましたか。≫


 少し嬉しそうに答えるサラさん。なんだか、今まで聞いた事が無いくらい穏やかな声だ。


≪それで、そのMPポーションは作れたんですか?≫

≪いえ、それが全然なのですよー。≫

≪さっきまでの話はなんだったの!!≫


 サラさんは【囁きの洞窟】に存在するアイテムの中で、僕と同じように【アノネナイト】の説明文に注目したらしい。

 魔力を豊富に含んだ水、これをどうにかすれば回復薬になるのではないか?と、<錬金術>でこれを抽出することには成功したものの、そこから先が上手くいかないらしい。


≪その魔力水の説明文に何かヒントは無いんですか?≫

≪えっとねー、ヒントはあるのですよ、わかりやすく。でもその材料が何処にあるのか見つかっていないのです。≫


 それはつまり、素材さえあれば直ぐに作れるかもしれないって事だよね。


≪えっと、そのレシピって教えていただけます?≫


 僕の手持ちにも【アノネナイト】は結構残っている。もともと僕も何かに使えるはず、と思い沢山掘ってきたのだから。お金に余裕があるのならサラさんから出来上がった物を買ってもいいのだけど。

 なので駄目かな?と思いつつもお願いしてみたのだけれどもサラさんはあっさりと――。


≪教えちゃいます!なのでカナタさんも是非色々試してくれませんか?私は魔力回復にしか使う気が無いので、それだと勿体無いじゃないですか。≫

≪それは僕は願っても無い事ですけど、良いんですか?≫

≪全然オッケーですよ!たまにご飯作ってくれれば十分なのです。≫


 いや、ご飯くらい自分で作りましょうよ。




「【アノネナイト】を容器に入れて綺麗な水を少量入れる、後は微量の魔力を込めながら熱し続けて・・・。」


 サラさんから聞いた魔力水の抽出方法、色々試した結果、鉱石から滲み出させる方法が一番濃さが強かったそうだ。なので僕もそのやり方で教えてもらった。


「石の色が灰色になったら熱するのを止めて、すぐに容器から石を取り出す。その後に一度、全体に行き渡るように魔力を通せば――。」


 一瞬容器から光が溢れすぐに収まる。FLOにおけるアイテム作成での成功エフェクトだ。


「ふう。これ、結構疲れるや・・・魔力も、ポーションの時と違って結構減るなあ。」


 ポーションは一個作るのに2~3位に対し、今魔力水を作るのに消費した魔力は15と、実に5倍だ。1回でなんとか成功は出来たので、これで次からレシピからの簡易製作が出来るが、どの位のMPを持っていかれるのやら。


「さて、出来たものの説明は・・・?」


――――――――――

【魔力水】

 レア度:4

 説明:アノネナイトに溜まっていた魔力を豊富に含んだ水を抽出したもの。その使用用途は多岐にわたり、金属の変化や薬能の上昇、魔力に関係のあるものと混ぜることで真価を発揮する。

――――――――――


 サラさんが言っていたのは最後の部分だろう。今のところMP回復の効果を持つ草花や木の実、食べ物が見つかっていないので、材料が見つかればこれで作れるのだと思う。それよりも、僕が注目したのは前半部分。


「金属の、変化?」


 最初に思いついたのは【魔法銀(ミスリル)】だ。アレが作れるのならば、コレを量産しておけば絶対に役に立つのは間違いない。


「・・・でも今、手持ちに銀鉱石は持ってないんだよね。」


 【魔法銀(ミスリル)】の材料には何が必要かわかっていない。名前から考えるなら銀であり、真っ先に試すべきだと思うのだが。近場で銀の取れる場所と言うと【囁きの洞窟】になる。

 しかし場所が問題で、銀が取れると言われている場所はボス部屋の一個前まで進む必要があり、この前の安全圏(セーフエリア)の先は敵の沸きが激しいのだ。今なら誰か狩に出ている人たちが居るかも知れないけど、絶対に安全とは思わない方がいいだろう。


「―――いや、銀は今は後回しにしよう。まずは本当に効果があるのか試したい。」


 インベントリから残っている【アイアンインゴット】を一本取り出し、大き目の容器に入れて【魔力水】でインゴットを浸す。どうやら【魔力水】1個でインゴット1個分の量はありそうだ。これはこのまましばらく放置しておいて、今はMPのある限り【魔力水】を量産することにしよう。

 作業時間にして3時間。その間【魔力水】を作り続けたことで僕のMPはもうスッカラカン。1回初級攻撃魔法を使えば打ち止めになってしまう。


「さって、インゴットに変化はあったかな?」


 3時間【魔力水】に浸したインゴット。時間は足りているのか?と不安になったけども、取り出した鉄が普通とは違う輝きをしているのに気付き、ほっと安堵の息が漏れた。出来上がった鉄は普通よりも輝きの白さが強く、その表面には薄い膜が張られ、揺らめいている。


――――――――――

【魔溶鉄】

 レア度:4

 説明:魔力水に鉄のインゴットを浸し、時間をかけて中身にも魔力を浸透させて出来たインゴット。材料になった鉄よりも強く頑丈で、銀のように魔力との親和性も持つ。安価で済むが長く使えるわけではない為、鍛冶師達は【劣化魔法銀(レプリミル)】と呼んでいた。

――――――――――


「なるほど、代用品って事ね。」


 これは僕としてはかなりの収入だ!依然としてメンテナンスは必要になるけど、これであの<魔導機>の状態を少しはマシに戻せるかもしれない。そう考えた僕は早速作った【魔力水】17個のうち10個を使い、【劣化魔法銀】の作成準備をしておく。これはインベントリに入れておいてと。

 後は【魔力水】とHPポーションを混ぜた時の反応だけど、これを作るためにも後の為にも、まだまだ【アノネナイト】は大量に必要だろう。そちらをメインに入手しようとすると、やっぱり今の段階では【囁きの洞窟】へ採掘に行くしか方法が無い。

 問題は今は僕一人だけであり、戦力が無いに等しいと言うことだ。一応装備している短剣は修理してあるが、これ1本では範囲攻撃も出来ず、囲まれたら死ぬのが目に見えている。


「でも、欲しいなあ。」


 やっと見つけた手がかりの一つ、それを簡単に諦めるほど、カナタは思い切りがよくなかった。別に今日じゃなくても良いのではと思うのだが、思いついたら後悔する前に行動、を是とするカナタにはその考えは最初から入っていなかったりする。


「・・・よし、行こう。なるべく死なないように気をつけて、念のために脱出アイテムもポーチに入れてと。」


 ポーチはインベントリとは別にアイテムを入れておける場所で、初期では3個まで別のものを入れておくことが出来る。ゲームシステムとしてはショートカット登録であり、FLOでは実際に取り出して使いやすくなっているのが特徴だ。

 僕はそのポーチに一つ、【道標の糸球】を入れ、南に【囁きの洞窟】へと再び向かうことにした。

今日の更新はここまで。

感想ありがとうございます。

すみませんが、誤字等の対応は少し遅れると思います。

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