Scene2-2
「それじゃあ、はいコレ。」
そう言って手渡されたのはさっきまで僕が見ていた長剣だった。あ、鞘の装飾も凝ってるな・・・じゃなくって!
「いや貰えませんって!?第一、僕はまだ何もしてないじゃないですか!」
「おーおー、慌てた顔も可愛いねー。いい反応をありがとう、流石に急にはわたしだって無理だよ。こっちもお客さんからのご指名があったりするからね。」
そりゃそうか、このレベルの鍛冶師なら指名で鍛冶依頼があってもおかしくない。
「だから先払い。準備が出来たらメッセージ入れておくから、ちょーっと待っててね?」
「そういう事情でしたら、わかりました。」
受け取ってしまった。リッカさんは僕に無理はさせないって言ってるからそれを信じよう。大丈夫、昔を思い出すんだ、ファッションショーよりはずっとマシだろ?ベビードールの試着会とか、もっとひどい目にだってあってきたんだ。
「ねえ、その涙は嬉し泣き?」
「ごめんなさい、ちょっと心構えをしたら、ダメージが大きくて・・・。」
「いやいや、自爆してるじゃない!?」
この後の予定をリッカさんに聞かれたので、友達と南の洞窟に行くと告げると。
「余裕があったら採ってきて欲しいものがあるんだけど、いいかな?」
と言われ、これを採って来て欲しいとあるものを見せられた。空青色の石、リッカさんが欲しいってことは宝石じゃなくて鉱石だとおもう。でもこの色どこかで見たような・・・。
「あ、そうか。」
リィーナの着ていた特典装備についていた色付き部分!あそこの色とそっくりじゃないか。
「これは?」
「実際に見てもらったほうが早いかな。はい。」
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【アマゾナイト】
レア度:5
説明:マナが豊富な水場の近くで採れる青色の鉱石。普通の鉱石よりも魔力との相性が良く、中でも水属性との親和性が高い。
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説明文を読んで恐らくそうだろう、と脳内で結び付けておく。間違いなく、あの色の鉄はコレを使って作られているに違いない。
「多分属性インゴットが作れる材料、の筈なのよ。本当は自分で採りに行きたいんだけど、お姉さん忙しくて。狙って出せるものじゃないのに、大体の依頼が「攻撃力上昇の付加の武器」なのよ?いい加減にして欲しいわ。」
ええ、よくいますね。無茶振りだけして、更に出来ないと文句を撒き散らす人種。
「僕はかまいませんよ。個人的に欲しい材料ですし、取れた量の5:5で良いですか?」
「私は嬉しいけど、いいの?」
リッカさんが聞いてきた意味はわかる。さっき見たデータで【アマゾナイト】のレア度は5、中々に出にくいアイテムだろう。高レベル用のフィールドに行けば沢山取れるかもしれないけど、今の状況でレア5の鉱石がどの位集まるかは運要素が大きすぎる。それでも僕がこの数字を言ったのには理由がある。
「もちろんですよ。今後とも良い関係でいたいですからね。」
「強かねえ。」
依頼って形にするから、コレを使ってね?と別れ際につるはしをわたされました。データを見たら当然のようにリッカさんお手製。やっぱり知り合えたのは良いことだったと思う。でも、そんなリッカさんのところにも銃は置いてなかったのが気になった。
正式サービスで追加されたのだと思ってたけど違うのかな?でも多分だけど、<ウェンティ>の形態変化にあるって事は銃って種類の武器があるんだと思うんだけどなー。<初級鍛冶>でもまだレシピが出ないとか?普通にその可能性ありそう。
リッカさんと別れても、僕の考えはなかなかまとまることは無かった。
少ししたら2人と合流して成果を報告しあう。
まず本来の目的だった<裁縫>スキル持ちの人、これは残念だけど2人のほうでも見つけられなかったらしい。と言うよりも現状でお店に衣服を置いている露店が存在しなかった。これは多分まだ素材の情報が出てきていないことが原因だと思う。
次に軽鎧の修理の方だけど、これはさっき僕が受けたお願いと一緒に説明。その際にもらった鋼鉄のロングブレードをリィーナに渡したんだけど。
「うう、確かにこっちの方が能力は・・・でもでも、かなたんの作った武器を、うーでも耐久がー。」
と頭から煙が出そうな位悩んでいたので、一旦僕の作った武器を預かる事で落ち着いた。どの道この武器もどうにかしないといけなかったし、丁度良かったかな。修理に必要な素材が足りないけど、それはこれから取りに行くしね。
最後にジョーから2つ。まずこの自由時間で<魔導機>に関しての本が無いか図書館に行ったらしい。全部を調べられた訳じゃないけど、この町に図書館には無さそう、と言うのがジョーの意見。
もうひとつはポーションの値段について。今も高めの値段でやりとりされているけど、予想以上に依頼での買い取り件数が少ないようで、もしかしたら更に高くなるかも知れないという。これはジョーも噂や掲示板を追っている情報だから、確実なものじゃあないって付け加えてた。けどなあ、今日の薬屋の様子を見ると不安しかないんだけどなあ。
気を取り直して、屋台で昼食をとった後【囁きの洞窟】に僕たちは来ている。ダンジョンの場所は意外と町から近かった。小1時間位かな?帰りに時間も見ておこう。基本町の周りのフィールドは強い敵は存在しない。それは東西南北かわる事は無く、出現する敵は違っても能力は低いのばかり。
南フィールドに出る敵はウルフに成人男性位の大きさで、なぜか一本鋭い角が生えた蝶――オオツノアゲハと水場が近いからか、魚型のトビウオ。
この中で一番危険なのはトビウオだった。すみません魚だからって甘く見てました。本物の魚以上に動き回るし、口からは<ウォーターバレット>を射出してくる。そしてこの魔法攻撃が凄く痛い。そして、群れる。
「右から5匹突撃、来るよ!」
「その真逆から魔法だ、横にずれるぞ!」
「後何匹ですか!?」
「「23匹!」」
5~6匹ならまだかわいいものかもしれないけど、それが1つの群れで30~50匹にもなる大群とあっては話は別だ。しかもドロップが特殊で、<火>属性を一撃でも入れると【にぼし】しか落とさなくなる。剣で斬って倒すと何故か尻尾の方だけ。生魚が欲しいならそれ以外の手段で倒さないといけない。
さらに厄介なのが、群れの近くに別の群れが合った場合、助けを呼ぶことがある。
「ってちょっと!?向こうで戦ってるPTが何時の間にか居ないんですがっ!」
「まずっ!?走って場所をずらすぞ!」
「もう遅いー!こっち来るー!きたー!!」
こんな感じで勝手に入ってくるのだ。1匹1匹が弱くても、数の暴力は恐ろしいということを僕たちはあの森で身をもって知っている。それでも、この多さは予想外だよ!
どうにか全滅させた後、他の群れに捕まる前にダッシュで洞窟まで走ることに誰からも異論は出なかった。
「ふー、また鉄だよお。」
「こっちもだ。ま、レア5となると中々出ないしこんなもんだろ。」
入り口から3つ目の採掘ポイントまで進んできているが、ここまでにでた【アマゾナイト】の数は僅か4つ。いや、4つも出ているというべきかも知れない。だってねえ、もう鉄が2ストック目に入っていますし。まあ採掘だけで出た数じゃないんだけどね。
それよりも精神に来るのが時々出てくる青い鉱石。
「あ!?・・・違う、外れかあ。」
リィーナが希望の後に落胆し、ソレを手に取って<鑑定>する。
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【アノネナイト】
レア度:4
説明:マナが豊富な水場の近くで採れる青色の鉱石。アマゾナイトに似ているが、まったく別物の鉱物なので代替品とはなり得ない。中は魔力に満ちた水分が多量に含まれている。
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よくある目的のものに似た外見をもつ外れアイテム、と鍛冶師の間では言われている。一度鍛冶に使ってみたのだけど、出来た武器は脆すぎて使い物にならなかったらしい。
「リィーナ、間違って捨てないでくださいよ?」
「えー、これ邪魔なだけなのにー。」
「何が必要かわからないんですから、駄目。」
僕がこれを捨てないようにと頼んでいるのは、手に入れた<魔導機>の修理に何が必要になるか判らないからだ。他の人からゴミアイテムって言われていても、僕たちには必要かもしれないんだから。
アップデートで急に今まで捨てていたアイテムが必要になる、って事はネトゲではよくある話なんだよ?
とリィーナに説明しながら進んでいると少し開けた空間に出た。使用済みの木材に、隅のほうには川とは別の水場が存在している。
「お、安全圏みたいだな。少し休憩しようぜ?」
「だねー、お腹空いたー!」
休憩は賛成だけど、すぐにご飯を要求しないでよ。せっかく川が近くにあるんだし、とびうおも倒してきてドロップが溜まってるし。
「じゃあジョーは食べる場所の準備をお願い、リィーナは簡易テーブルを出して。僕は水辺を調べてくるから。」
「はーい!」「おう、頼むよ。」
ここの水だから、もしかしたら特別なのが取れたりするかも?でも川自体は普通だし、まあ料理用に使えれば問題ないんだけどさ。
水を汲もうとインベントリからバケツを取り出し、水辺に近づいたカナタの目にあるものが入り込んだ。
「・・・・・・水死体?」




