↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/18

第5話 人の温かみ

挿絵(By みてみん)

 邪気課の松村と原井に補導され、邪人として寮に行くことになった。

 原井と一緒に寮へ行くが、貧血のゲクトは道中で倒れて、公園のベンチで目を覚ました。


 ゆっくりと視界が戻ってくる。

 温もりのあるものが頭の下にある。

 久しぶりに温かみを感じていると、冷静に戻りその正体を確かめるため、体を起こす。


 たわわだ。


 こんな無愛想な女性の太ももでも俺は官能的な気分が心臓で暴れていた。

 頬もほてってきた。

 原井はなんの反応もなく、無機質な顔のまま話しかけてきた。


「私達の配慮が足りていなかった。

 サプリを買ってきた。鉄分が入っている。」


 動物が印刷されているグミサプリと水のペットボトルを渡してきた。

 2粒を食べ、水を飲む。

 

「行ける?」  


 もう休憩は十分で、それより俺は寮がどんなものか気になっていた。

 歩き出したところで聞いた。


「寮ってどんなところ?」

「夢は見ない方がいい。死と隣り合わせの場所よ。」


 誰の姿もない夜の街を進んでいく。

 

 すると「あ、原井さん。」と言って向こう側から歩いてくるのは若い男性。

 原井の同僚の古河(ふるかわ)。 


「その子は?」

「新しい邪気課のゲクト君よ。」

「そうか・・・・・・。

 未成年・・・だもんな。」


 古河は少し間隔を空けて言った。


「・・・2件の通報が入った。

 俺は駅周辺で邪気をパトロールしてくる。」

「ええ、気をつけて。」


 古河が過ぎ去るとまた歩き始める。

 原井が前を向いたまま話しかけてきた。


「さっきの古河という人はね、君と同じように邪人。

 邪気課には人と邪人の二つのグループがある。

 比率で言えば7:3ぐらい。私は普通に人間だから寮は別ね。」

「同じ寮じゃないの?」

「邪人は邪気の気配を放っていて、普通の人は落ち着かないの。

 ん・・・見えてきたよ。」


 ただの二つアパートに見えるのが邪気課の寮。

 外見だけではただの街並みと変わらないほど溶け込んでいる。

 二つの一対なる寮の向かって右が邪人の寮だそうだ。


「まだ就職が決まったわけでもないから、少し待ってて欲しい。

 寮には入れるように話を進める。」


 原井は左の寮に消えていった。


 俺は門の前に座って、もらったサプリを少し摘んだ。

 静まり返った夜は慣れているはずなのに、ギアラがいるせいか何か話したくなった。

 基本的にはじっと黙っているギアラに聞いた。


「これでいいのか?邪気課に入っても。」

「邪気課に入れば狙われることもなく、契約にも集中できる。

 それに、ゲクトが望む場所はここだと思う。」


 それなりに時間はかかって、原井と男性が寮からでてきた。

 原井は俺と目が合うと、俺に軽い手招きをした。

 原井の元へ行く。 


「今日から君は邪気課に入り、邪気と戦ってもらう。

 そして、こちらが君と同じ部屋に住むことになる16組の咲野玲(さのれ)ソウマ。」


 原井が連れてきたのは咲野玲は嫌そうに眉を歪ませる。


「僕にパートナーなんていりません。」


 原井は冷たく言う咲野玲をなだめて、俺と協力してほしいと推す。


 咲野玲は一つ大きく息を吐き、とりあえずという嫌々ながら俺を共有部屋に連れて行く。

 

 廊下で別部屋の二人とすれ違った。

 パートナー同士とも話している様子はなく、ましてや咲野玲や新顔の俺にでさえ会釈もなかった。


 変わった雰囲気を気にする俺に対して、咲野玲は進む廊下の先を見たまま小さな声でいった。


「・・・こんな場所に気遣いがあるなんて思うなよ。

 お前も挨拶なんてしなくていい。ぶっちゃけ迷惑だ。」


 俺達の場所になる部屋の前で止まった咲野玲は扉を開けた。

 部屋の電気をつけても、気分が晴れるような明るさではなく、閉鎖的な気持ちになる。ゴミ箱や床は意外にスッキリしていた。

 

「あんまり広くないな。」

「生きるための寮だからな。

 それとお前のベットは上だ。僕は下。これが決まりだ。

 あとは好きにしろ。」


 咲野玲はふすまで隔てた隣の和室に行ってしまった。


 低いテーブルのあるリビングの中心で感じたことのない感覚が溢れる。

 小さなソファーに座って鉄分サプリを何も写っていないテレビを見ながら、少しずつ食べる。

 ストックされている歯ブラシを取り出して二段ベットの2階で寝た。

 こんな安全な眠りに少し慣れなかった。

読んでくださりありがとうございます。

よろしければ、リアクションを貰えるとモチベーションと表紙を描く糧になります。

メッセージでの感想も大変喜びます。

若輩者ですがよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。