表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骸廻様 ―遺体探し屋―  作者: アサキ
サキちゃんの場合
2/10

「話が早そうなので、端的にいきましょうか。会われたいご遺体は、特に親族の方では無いですよね」

「サキちゃんです。昔、近所に住んでいて、特に良くしてくれた家族の子供さんです。あの、親族じゃ無いと会えないんですか」

「そんな事はありませんよ。お墓参りに行くのに、特段許可は要りませんよね。それと同じです。ただご遺体は生身の体になりますので、実際に引き合わせて問題無いかは、道徳的観念を持って俺が判断します」

「道徳的……」


 札束を数える事に集中すれば良いのに、不意に隣からぼそっと聞こえてきた。


「何だよ、イツキくん」

「別に」

「資格を維持するのも、結構大変なんだよ。年単位の更新だし、講習会多いし」

「はいはい」


 彼は手元の札束を一回数え終わったらしく、二回目の確認作業に入る。適当にあしらわれたのは不満だったが、俺はまた男性に向き直った。


「……ですので、俺が問題無いと判断すれば、親族以外の方でも面会は可能です。勿論、親族からの許可が絶対必要な時期もあったのですが、それですと事務手続きに時間が掛かりました。また身寄りの無い方はどうするのかと言う問題も、過去にはあったので」

「僕は問題無いですか」

「……一つ、教えてください。これは皆さんにお聞きしているので、どうか不快な気持ちになりませんように。返答次第で可否が変わる事もほとんどありませんから」


 俺は机の上で手を組み、男性の顔を覗き込んだ。


「どうして、サキちゃんに会いたいんですか?」

「会いたいだけでは駄目ですか」

「いえいえ。ただ、会いたい理由が好奇心であってはいけないので」

「……近所に住んでいた時期がありました。サキちゃんは僕と仲良くしてくれたのに、最後に会えていないので」

「なるほどなるほど」


 眉間にシワを寄せる男性に対して、俺は笑って何度か頷く。

 すると同じタイミングで、隣からトントンと札をまとめる音がしてきた。


「五十万、揃ってる」

「よし。では、今から行きましょうか。幸い、サキちゃんが居る場所はすぐに分かりましたので」


 俺は席から立ち、イツキくんは数えた札束を鞄に押し込む。淡々と進めていく俺達に、男性は目を丸めた。


「今からですか?」

「ほら、お墓参りに時間制限なんて無いじゃないですか。それに日中だと、新しいご遺体のお迎えで、骸廻様がお忙しいんですよ。時間が合わせにくい時もあって……あ、でも日を改めた方がご都合は良いですかね?」

「いえ。お願いします」


 俺達から少しだけ遅れて、男性もすぐに席から立ち上がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ