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「話が早そうなので、端的にいきましょうか。会われたいご遺体は、特に親族の方では無いですよね」
「サキちゃんです。昔、近所に住んでいて、特に良くしてくれた家族の子供さんです。あの、親族じゃ無いと会えないんですか」
「そんな事はありませんよ。お墓参りに行くのに、特段許可は要りませんよね。それと同じです。ただご遺体は生身の体になりますので、実際に引き合わせて問題無いかは、道徳的観念を持って俺が判断します」
「道徳的……」
札束を数える事に集中すれば良いのに、不意に隣からぼそっと聞こえてきた。
「何だよ、イツキくん」
「別に」
「資格を維持するのも、結構大変なんだよ。年単位の更新だし、講習会多いし」
「はいはい」
彼は手元の札束を一回数え終わったらしく、二回目の確認作業に入る。適当にあしらわれたのは不満だったが、俺はまた男性に向き直った。
「……ですので、俺が問題無いと判断すれば、親族以外の方でも面会は可能です。勿論、親族からの許可が絶対必要な時期もあったのですが、それですと事務手続きに時間が掛かりました。また身寄りの無い方はどうするのかと言う問題も、過去にはあったので」
「僕は問題無いですか」
「……一つ、教えてください。これは皆さんにお聞きしているので、どうか不快な気持ちになりませんように。返答次第で可否が変わる事もほとんどありませんから」
俺は机の上で手を組み、男性の顔を覗き込んだ。
「どうして、サキちゃんに会いたいんですか?」
「会いたいだけでは駄目ですか」
「いえいえ。ただ、会いたい理由が好奇心であってはいけないので」
「……近所に住んでいた時期がありました。サキちゃんは僕と仲良くしてくれたのに、最後に会えていないので」
「なるほどなるほど」
眉間にシワを寄せる男性に対して、俺は笑って何度か頷く。
すると同じタイミングで、隣からトントンと札をまとめる音がしてきた。
「五十万、揃ってる」
「よし。では、今から行きましょうか。幸い、サキちゃんが居る場所はすぐに分かりましたので」
俺は席から立ち、イツキくんは数えた札束を鞄に押し込む。淡々と進めていく俺達に、男性は目を丸めた。
「今からですか?」
「ほら、お墓参りに時間制限なんて無いじゃないですか。それに日中だと、新しいご遺体のお迎えで、骸廻様がお忙しいんですよ。時間が合わせにくい時もあって……あ、でも日を改めた方がご都合は良いですかね?」
「いえ。お願いします」
俺達から少しだけ遅れて、男性もすぐに席から立ち上がった。




