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神様の慈悲  作者: 河藤
第三章 地位向上
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第38話 リフォーム

任命式後の騒ぎ(?)からアメリアに助け出されて陛下と少し話した。

特に話す事は無かったが、今日中に俺専用の研究室を作っておくように指示しておくそうだ。

助手も何人かつけられるらしい。

いつも来る必要は無いけど緊急の時は来て欲しいそうだ。

宮廷魔導士としての給料も中々の金額だった。

遊びすぎなければ余裕を持って暮らしていけるぐらいだ。

宮廷魔導士ってそんなに地位が高いのか?


『宮廷魔導士は貴族に例えると伯爵程度と思われます。その中でも、特に力のある者は侯爵程度にもなり兼ねます。その分発言力も大きくなります。』


侯爵って言ったら貴族で2番目ぐらいか。

そりゃ発言力もデカくなる。

陛下と別れる時ににアメリアが寄ってきて、


「あの…寝癖とかの事は誰にも言わないでください。寝ぼけてたんです…いつもは違いますから…。」


と囁いてきた。

顔が真っ赤になっている。

誰にも言わない、と言うと胸をなでおろしていた。

そこまで心配だったのかい。


王城の出口は魔獣の素材が入った麻袋でいっぱいだった。

王城の人たちは馬車で運ぶつもりだったみたいだったが全て【亜空間収納インベントリ】に放り込んだ。

それを見て全員が驚いていた。

なんかもうその反応には慣れてしまった。

最後に孤児院のあった土地の譲渡書が渡された。

どうやら孤児院の経営のための金はまず俺に回ってきてそれから孤児院に行くようだ。


「とりあえず孤児院を建て直すか。」


▽▽▽▽▽


「って言ったのはいいけどどうするか…。」


目の前には孤児院のあった更地が広がっている。

元の孤児院?塵と化して風に吹かれていきました。

周りに被害を出す事なく解体作業が出来る【分解ブレイクダウン】は便利だ。


分解ブレイクダウン】で更地にしたのは良いがどう建て直したらいいのかわからない。

頭の中には何となくのイメージはある。

それをどうしたらいいのかわからない。

創造クリエイト】で建ててみようとしたらリーヴに無理だと言われた。

曰く、


『【創造クリエイト】は地面から離れた空間にイメージした物を創るスキルです。建造物を【創造クリエイト】した場合、地面にただ乗っているような状態になるため、押せばずれます。』


だそうだ。

あれ?じゃあ俺が絶望の森の平原に創った休憩小屋って今頃…。

まぁ、しょうがないか。

それよりこの状況の打破策は何かないのか?


『スキル【派生】によって魔力を使って建造物を創造するスキルを作る事が可能です。実行しますか?

Yes/No』


Yesでお願いします。


『【派生】を開始します…完了致しました。【創造クリエイト】へ【派生】を使用することにより、スキル【瞬間建築ビルディング】を会得しました。

スキル【瞬間建築ビルディング】は、自身のイメージする建造物を瞬間的に建築、その後地面に固定する事が可能です。』


なるほど。

何とまぁ、使い勝手の良いスキルだこと。

このスキルがあればもう大工とかいらないよね?


元の孤児院は木造だったが腐るのが心配なので白色のレンガで作られた孤児院をイメージする。

周りの建物と違和感が生じないように考えていると大体の感じは出来たので【瞬間建築ビルディング】を使った。

すると更地だった場所の中心から何か尖った何かが出てきた。


「なんだコレ?」


近づいて確認しようとした次の瞬間地響きとともに尖った何かが上へと向かって伸び始めた。

先端の下には三角形が続き数秒すれば全て出終わったようで地響きも止んだ。

更地だった場所、そこには白塗りのレンガで作られた真新しい建物があった。

地響きを聞いて「何かあったのか」と近辺にいた人が集まって来る始末だ。


「建物って下から生えてくるんだ…。」


驚く人々を前に太陽の光を受けて白塗りの孤児院が出来上がった。


▽▽▽▽▽


宮廷魔導士の紋章を見せて訳を説明すると群がってきた人々は驚きながらも帰っていった。

まず一安心、かな?


「お邪魔します。」


木製の扉を開けて中に入る。

自分で建てた建物に入るのにお邪魔します、はおかしいか。

内装はまだ何も無いが窓からは太陽の光が入ってきて中を照らしている。

頭上の丸い天窓のお陰でかなり明るい。

キッチンは広めだし、風呂も寝室も全て揃っている。

男女で寝室も分けたし、大人用の寝室も分けられている。

トイレもしっかりある。

だが、この敷地内に収まるようにと考えていたので今まで無かった風呂を入れると部屋は狭くなってしまった。


関係ない。

一つ一つの部屋に入って【空間魔法】で部屋を広げていく。

こうすれば外からは変わらないが中はかなりの広さになる。

窓から見える景色も広げる前と変わっていない。


風呂も同じように広げたがここで問題が発生した。


「風呂沸かすのどうしよう?」


今の屋敷では風呂専用の薪窯があったが水魔法で水を出してから、そこに手加減した【火球ファイアボール】をぶち込んで温めていた。

そっちの方が断然早かったからだ。

ただ今回はそう上手くいくかわからない。

薪窯を設置するのを忘れていたし、孤児院の世話役として雇う人が俺みたいな事が出来るかどうかわからない。

リーヴさん、何か良い手はなかろうか?


『流したお湯を洗浄し、新しくしてから再使用を続ける仕組みを提案します。』


そんな事出来るの?


『可能です。

洗浄のために、スキル【洗浄クリーン】を会得しました。

スキル【洗浄クリーン】は、指定した範囲内のものに付着した汚れ、沈殿した埃などを消し去る事が可能です。

続けて、効果を他の物に付与する為に、スキル【効果付与エンチャント】を会得しました。

スキル【効果付与エンチャント】は、指定した物に自身の持つスキル、魔法の効果を付与する事が出来、付与された物は自動的、もしくは任意で効果を発揮する事が可能です。』


あら便利。

洗浄クリーン】なんてあれば掃除する必要が無くなる。

で、これをどうすれば良いの?


『仕組みの説明された図を表示します。』


すると目の前に設計図のようなものが表示された。

簡単に言うと使ったお湯を組み上げて、そのお湯が通るパイプに【洗浄クリーン】を【効果付与エンチャント】する。

すると汚れたお湯でも綺麗になって使い続ける事が出来るようになる。

綺麗になったお湯は次の時の風呂にまた使われ、それがぐるぐると続く、という事か。

お湯の温度調整が出来るように【火魔法】と【氷魔法】も加えて【効果付与エンチャント】した方が良いだろう。


ある程度考えられたので早速作業を開始した。

風呂場の一部分を【分解ブレイクダウン】で壊してから【瞬間建築ビルディング】で建て直した。

今度は地面から生えてくるのではなく、【創造クリエイト】と同じように作られていった。

壁の中にパイプを埋め込み、埋め込む過程で【効果付与エンチャント】を使った。

埋め込みが終わってから温度調整用のつまみをつける。

パイプを2本に枝分かれさせてそれぞれに【火魔法】と【氷魔法】を付けたから右に捻ればお湯、左に捻れば冷水、という風に温度調整出来るようになった。

初めてながらも上手くいった。

同じ手順でトイレも水洗にするか。


屋敷で昼食を摂ってトイレを作り変えた後は【創造クリエイト】でリビングのソファやテーブル、寝室のベッドなどを創っていった。

キッチンの食器棚には人数分以上の皿に加え、フォークやナイフも入れておいた。

全部が終わる頃には日が落ち始めていた。


ここまでくれば後は子供の世話をしてくれる人を探すだけだ。

そういえばギルドでは国内の依頼も受け付けてくれていた筈だ。

扉に鍵をかけてからギルドへ行くと依頼帰りの冒険者達が多くいた。

ミナさんではない受付嬢にギルド長に用があると言うとライナーはすぐに出てきた。

君は暇なのかい?


「孤児院で子供の世話をしてくれる人を探したいんだけど国内の依頼として出せるか?」


「ん?あぁ、昼頃騒ぎになってたやつはやっぱりお前だったか。地面から建物が生えてきただとかなんだとか騒いでる奴がいたがお前の仕業か。」


経緯を話すと白紙の国内依頼の発注票を渡された。

依頼内容と報酬、雇用期間を書けば良いそうだ。

受けたいと願う人が出てくれば知らせが来るようだ。


ちなみに、国内依頼ならギルドに登録していない一般人でも受ける事が出来る。

一回だけの依頼もあれば長期雇用の依頼もある。

子供の小遣い稼ぎから仕事まで色々揃っているのだ。

出来れば一般人の方に来ていただきたい。


依頼内容はもちろん孤児院での子供の世話、住み込みで雇用期間はとりあえず1週間にしておく。

日給は金貨1枚と銀貨5枚に設定した。

まだ幼い子供達の世話をするんだからこれぐらいは当然の筈だ。

まさか自分が人を雇ってその給料を設定する事になるとは思いもしなかった。

前世では近くのカフェでバイトしてたし、その時の店主(マスター)もこんな感じだったのかな?


書き終えてライナーに出すと国内依頼のボードに貼り付けてくれた。

とりあえずまた明日見にくればいいかな?


屋敷に帰って風呂から上がると一気に睡魔が襲ってきた。

朝の任命式から始まって孤児院の準備まで、色々あったから疲れているんだろう。

孤児院にはあと何が必要か、考えているうちにソファに座ったまま寝てしまった。


「風邪ひいちゃうわよ?」


眠りに落ちる直前そんな声が聞こえた。

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