第30話 3人目
「…アレ?ここどこ?」
ベッドから身を起こすと見慣れない天井が見えた。
壁に掛かった備え付けの時計は朝の7時を指している。
えーと、昨日私は何したんだっけ…。
サタン達が来て…シドが誰かを呼ぶって言って…昔の説明をして…。
「ん?…コーラス…?」
全身から冷や汗が吹き出した。
そうだ…昨日シドがコーラスをメイドとして呼ぶって言ったんだ。
そしてここにいる悪魔は私だけ…。
ヤバイヤバイヤバイ…。こんな所でグズグズしてたらコーラスが来てしまう…。
どうしよう…そうだ!ギルドに行ってどこかに行こう!その場しのぎにはなる筈!
備え付けの時計は朝の7時を指している。
そう思ったレヴィは慌てて階段を下りてリビングへと行った。
リビングでは椅子に座ってシドが朝食のパンを食べていた。
「おぉ、おはようレヴィ。どうした?そんなに慌てて…パンいる?」
「いらない!ちょっとギルドに行って…」
「マスター、お茶です。おや、レヴィ、おはようございます。そんなに慌ててどこに行くのですか?」
お茶を持ってきたコーラスを見たレヴィは、起きて5分も経たないうちに気絶した。
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「あ、やっぱり気絶した。」
「なるほど、これは面白いですね…。」
コーラスと俺の意見が一致したようだ。
まず、今ここにコーラスがいる事を説明しよう。
ーーー9時間前ーーー
さて…サタン達はまた情報収集に戻ったけどレヴィはどうしよう。
とりあえず適当な部屋のベッドに寝かせとくか。
うつ伏せに倒れ込んでいるレヴィを持ち上げてそのまま2階の部屋のベッドに寝かせた。
「さてと…朝までにコーラスを呼びに行くか。」
【瞬間移動】を使って絶望の森の小屋に行くと中からは話し声が聞こえてきた。
アレ?この声って…。
「ただいま、ってやっぱりか。」
そこにはコーラスとカトル、アヴェル、シェル、ヘスティア、そしてもう1人、誰かわからない少女がいた。
薄青色の髪の毛をポニーテールにしている。
また増えてね?あとヘスティアは帰らなくていいのかい?
「あ、シドさん!おかえりなさい。」
「おい、ヘスティア。お前神界に帰らなくていいのか?」
「大丈夫です!全部終わらせてきました!」
「それは違います。全部「押し付けてきた」の間違いです。」
「うん、誰か知らんが補足ありがとう。そしてヘスティアは神界に帰れ。」
押し付けた、って言ったよね。結局仕事部下に回して自分はしないだけじゃねぇか。
「ちょっ、酷くないですか⁉︎ラトちゃんもなんか言ってくださいよ!」
「部下の天使にクーデターを起こされる前に帰って仕事をした方が良いと思います。」
「ラトちゃんまで⁉︎」
ラトと呼ばれた少女が答えた。
天使がどうこう言ってるって事はこの娘も天使か?
だとしたらコーラスやカトルにと同じぐらいの強さだったりする?
「とりあえずその話は置いといて…シドさん、この娘はラトちゃんです。私やコーラスと同じで人界に下りてきました。」
「いや、なんで?」
別に必要無いよね?
今更感がすごいよ?
「申し遅れてすいません。私はラト、ヘスティア様のメイドとしてこうして人界に下りてきました。が、この様子だと私だけこちらに残ってヘスティア様のみ神界に帰る事になるでしょう。」
「え、ちょっと!なんで⁉︎酷く無い?」
「当然の報いです。仕事してください。今も溜まり続けてますよ?それにそろそろ会議に出ないと最高神様もお怒りになると思いますし。」
「じゃあ私神界に帰ってくる!後はよろしく!」
そう言い残してヘスティアは目の前で光の柱に飲み込まれて消えた。
「…やっと帰ったか、あの駄女神めが…。」
アヴェルが悪態をついているけど気にしない。
「まぁまぁ、アヴェル様、それもヘスティア様らしいでしょう?それでシド様、今回はどうかされたのですか?」
「いや、ちょっと話しときたい事があってね。」
コーラス達に屋敷購入までの経緯とコーラスを屋敷に呼びたい事を言うと、
「えー、コーラスだけですかー?私も行きたいです。」
「カトル、コーラスの事も考えて。ほら、なんか顔赤いでしょ?」
「なっ、何を言ってるんですか、ラト⁉︎そっ、それは…えっと…」
「あ、ごめんねコーラス。どうぞお二人で。私達はここにのんびり住むから大丈夫だよ。」
「あー…2人だけじゃなくって実はもう1人いるんだよね。」
ここからは悪魔の説明と、その中の1人が側に残っている事を伝えた。
「悪魔、ですか…それはまた…私が行っても良いのでしょうか?」
「もちろん、大丈夫。」
むしろ来てくれないと困る。
レヴィの焦る姿が見れないじゃないか。
「あ…でもこっちの食事とかどうしよう…。」
そもそも山小屋で食べてる料理の材料ってどこから来てるんだ?
「それなら心配ありません。コーラスに習って私も出来ます。カトルは…まぁ、アレですね。」
「ちょっと?アレって何?」
どうやらラトのお陰で食事面は大丈夫なようだ。
カトルの料理は俺が言えたものではないけど相当に酷い。
前世にカップラーメンですら不味く作る友達がいたけど、それと同レベル、もしくはそれ以上。
この時に何故か俺は【毒耐性】を得た。
アレ?カトルの料理って毒代わりになるの?
「それでは早速そのお屋敷へと行きましょう。ラト、カトル、必要になったら呼んでください。」
「わかりました。」
「わかった。」
こうしてコーラスは俺の屋敷に来る事になった。
この間にアヴェルとシェルは「関係無い」と言って寝てしまった。
契約したはいいけど活躍が無い。
だってそんな非常事態なんて中々来ないんだもの。
ーーー今現在ーーー
「マスター、これどうしますか?」
コーラスが指差しているのは気絶したレヴィだ。
これなんて言ってあげないで。
「とりあえずもう一度ベッドに運ぼう。」
「わかりました。次起きた時も気絶したらどうしますか?」
「同じ処置でよろしく。」
まぁ流石にもう大丈夫だと思うけど…。
「マスター、今日はどうされますか?」
「うん、一度ギルドに行ってなんか依頼でも受けてみようと思う。」
せっかく登録したんだしファンタジー的なやつを受けてみたいね。
大抵最初は薬草集めとかだろうけど。
「わかりました。行ってらっしゃいませ。」
コーラスの見送りを後にギルドへ行くとまだ朝なのにかなり混んでいた。
逆か。朝だからこそ混んでいるのかな?
カウンターに行くと昨日登録する時に出てきた受付嬢が出てきた。
「あ、シドさん、おはようございます。お早いですね。」
「俺なんかより向こうの方が早いと思うけどね。」
カウンターから少し離れた所には筋肉、もとい冒険者達がわらわらいる。
大抵の人が筋肉モリモリで大剣やら斧やらを背中に担いでいる。
女の人もまぁまぁいる。
「あっちは依頼が貼ってあるボードですね。あそこから自分が受けたい依頼が書かれた紙を取ってカウンターに持っていくんです。確認されたらその依頼を果たしに行って、終わったら報告しに帰ってきてください。」
「やっぱりランクで受けられる依頼って変わったりする?」
「そうですね。ボードにはランク別に依頼票が貼ってありますから自分のランクのところから持ってきてください。ただ、高ランク冒険者の付き添いだったら一応大丈夫ですけど、その方が危険は大きいですね。」
まぁ妥当だよね。
自分の力に合わない依頼を受けても死ぬ確率が高くなるだけだし。
「わかった、ありがとう受付嬢さん。」
「どういたしまして。それと私の事は受付嬢さんじゃなくてミナって呼んでください。」
「えーと、わかりました、ミナさん。」
カウンターを離れてボードへ向かうとやっぱり混んでいた。
依頼よりもまず依頼票持って行く方が大変じゃ無い?




