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神様の慈悲  作者: 河藤
第二章 グランテスト大国へ
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第28話 憧れのマイホーム

[野生(?)のチンピラA、B、C、D、Eが現れた!]


おい、待て。野生では無いだろ。

ギルドの中は一気に騒ついた。


「おい、またかよ…。」


「出たよ、新人潰し。目に付いた新規登録の奴らをいっつも叩き潰してやがる。」


「あの子も可哀想にな…。」


「でもあいつらはアレでCランクだからな…俺たちではとめられねぇな…。」


他の冒険者の話を聞く限りいつもこんな事をしているらしい。

アレか、暇なのか?

暇すぎてこれぐらいしかやる事が無いのか?

言われるがままに外へと付いて行く。


「あの…私は…?」


「あぁ?おい、お前、ありゃ誰だ?」


「あーえっと、俺の妹ですね。」


「ははっ、そりゃ良い!おい、妹はそこでこいつがボコボコにされるのを見とけよ!ギャハハ!」


初めてこんな笑い声聞いたぞ。

レア笑いだな…我ながら意味わからん。


『いい?相手はただの人間だからね?』


『それだと俺が人間じゃないみたいに聞こえるんですけどっ⁉︎』


『え?そうじゃないの?』


『泣くぞ?道の真ん中で泣くぞ?』


『じゃあ私帰るわね。』


『嘘です、ごめんなさい。』


結局俺は口論では負けた。

八つ当たりみたいで申し訳ないがチンピラ5人衆は瞬殺させてもらおう。

ギルド前の道に出て向かい合う。


「あの…この後用事があるんでやめてもらうとか出来ませんか?」


「おい、ここは俺が行くぜ?」


「好きにしろよモヒ。」


まず人の話を聞け。

そう言ってモヒと呼ばれた背中に斧を担ぐモヒカン男が出てきた。

ちょっと呼び名が安直すぎやしませんかねぇ?


「おい、こらガキ!テメェは素手か?」


「素手だけど…one on oneなの?」


てっきり5対1とかになると思ってたんだけど。


「舐めてんのかっ、テメェなんざ俺1人で十分なんだよッッ!」


そう言うとモヒカンは背中の斧を持って突進してきた。

あ、十分とか言っといて武器使うんだ。

その場から動かずに左足を半歩引く。

すると面白いぐらいにモヒカンは空振りした。

おい、殺しに来てるだろコレ…。

空振りの勢いをそのままに右腕を持ってそのまま後方へ投げ飛ばした。

斧は地面に刺さったままモヒカンは吹っ飛んでいった。

モヒカンよ、永遠なれ。


「おい、モヒがやられたぞ!」


「チッ、俺が行く!あいつは舐めすぎなんだよ!」


次は浅黒い肌のスキンヘッドが出てきた。

コレを入れてあと4人か。

実際この後家を見に行くから時間が無いな…。

よし、全員一気に終わらそう!

対象をチンピラに設定して【威圧】を発動してみる。

一瞬全員の目が見開かれたと思ったら次には白目で泡を吹きながらその場に倒れた。

何が起こったのかわからない、という風に見ていた人達も歓声と拍手を上げている。

レヴィの方を見ると親指を立てていた。


『コレでいいか?』


『完璧!』


よかった、コレからも絡まれたらこの要領で対処しよう。

そうしていると倒れたチンピラの周りに人が集まってきた。


「おい、この前はよくもボコボコにしてくれたなぁ⁉︎」


「俺もだ、クソがッ!」


「この際だからこいつら棒に逆さまに縛り付けてギルド前に立ててやろうぜ!」


「おーい、さっき吹っ飛ばされたモヒカン見つけたぞー!」


「よし、じゃあそいつの服も剥いで棒に縛り付けるぞ!」


数分もすれば男5人は下着のみで棒に逆さまに縛り付けられ、一番目につくギルド前に立てられていた。

俺がやったわけだけど可愛そうだな。

コレが因果応報ってやつか。

すると金髪金眼の青年が近づいてきた。

顔立ちはかなり整っている。さぞかしモテるだろうね。


「アレって君がやったんだろ?」


「うん、気絶させたのは俺だけど棒に縛り付けたのは俺じゃない。」


「ハハッ、わかってるよ。君は新人なの?」


「あぁ、さっき登録したばかり。妹も一緒に。」


「僕も冒険者なんだ。登録した時は運良く絡まれなかったんだけど今回でアイツらもこんな事はしなくなるだろうね。ありがとう。」


なぜか礼を言われた。

俺は八つ当たりしただけです。


「こっちもしたかった事をしただけだからね。俺はシド。そっちは?」


「あぁ、ごめん、僕はラウルだ。また会う時があったらよろしく。」


「こっちこそ、困ったら相談するよ。じゃあ。」


話を切り上げてレヴィの元に戻るとバーテン服を着た茶髪で糸目の男と話していた。


「あ、戻ってきました。お兄ちゃん、この人だって。」


やっぱりレヴィにお兄ちゃんとか呼ばれるのは慣れない。

違和感がすごい。

バーテン服の男は手を差し出してきたのでそのまま握り返した。


「どうも、ライナーから言われて案内をします、ロッソと言います。よろしくお願いします。」


「俺はシドって言います。こちらこそ、よろしくお願いします。」


普通の会話をしているけど気持ち的には焦っている。

よく漫画とかで握手しただけで強いとかがわかる、ってあるけどまさにそれだ。

この人は間違いなく強い。

他の人とはまず違う。


「それでは行きましょうか。国王陛下からの紹介状なので期待してもらってもいいですよ?」


そう言ったロッソさんの後に続いて歩く事数十分、目的地に到着した。


「…ここですか…?」


「はい、国王陛下の紹介状から言われ、こことなりました。」


レヴィもポカンとしている。

そりゃそうなる。

目の前にはお屋敷と言っても大差ないほどの豪邸がある。

周りの家も同じような家で、明らかに貴族が住むような家だ。


「…あの…ここって…?」


「ここは上流階級、つまり貴族の方々が住む地区ですね。治安が良く、今のところ隣人トラブルもありません。」


呆然としていたレヴィが復旧した。


「あの…このお屋敷っていくらぐらいするんですか?」


「それなら心配ありません。既に国王陛下からお支払いされていますので。」


「すいません、ちょっと抜けてもいいですか?」


「?えぇ、どうぞ…?」


すぐに路地裏に行って王城に【瞬間移動テレポート】した。

門番は驚いたようだがすぐにいつも通りに戻った。


「おぉ、どうした?焦ってるようだけど。」


「ちょっと国王陛下にお話が…いいですか?」


「それならちょうど悪かったな。国王陛下ならさっき出て行ったよ。なんでもしばらくシーベルト様の領地を見に行くとか言ってたな。」


チッ、逃げたか。

こうなる事がわかってて先に手を打たれたか。

まぁいつか帰ってくるだろう。

その時にでもちょっと話そうか♪


「もういいのか?」


「うん、国王陛下がいないならいいや。」


「そうか、わかった。それと、これからは別に確認してくれなくてもいいぞ。他の門番もわかってるからな。」


「ありがとう、じゃあまた。」


そうしてレヴィとロッソさんの元に【瞬間移動テレポート】。


「あ、おかえりなさい。どうかされたんですか?」


「いや、ちょっと確認してきただけです。」


「そうですか。では中に入りましょうか。」


ロッソさんは鍵を取り出して屋敷の方へ向かった。


『国王陛下いなかったでしょ?』


『なんでわかるんだよ…。』


『やっぱりね。あの人勘はすっごく冴えてるのよね。』


鍵を使って玄関を開けるとこれまたすごかった。

2階建てで部屋が多い。

ここから見ただけでもかなりある。


「自由に見てもらっても構いませんよ。」


そう言われたので歩き回ってみる。

広い庭にキッチンとリビング、書庫、倉庫、寝室など、全部で10以上の部屋がありその上地下室まである。


「お代は…」


「いりません。というより、もう買われてしまったので鍵と契約書を渡しておきますね。どうぞ。」


そう言って屋敷の鍵と契約書を渡された。

あ、決定なんだ。


「レヴィ、ここでいいか?」


「大満足よ!流石国王陛下ね!」


あら、このすごい上機嫌。

満面の笑みを浮かべてるね。


「じゃあ、ありがたく受け取ります。」


鍵と契約書を手渡され、契約書は無くさないようにそのまま【亜空間収納インベントリ】に入れた。


「では、これで私は帰りますね。また何かあったらギルドに来て言ってください。」


「ありがとうございました。」


こうしてロッソさんは帰って行った。


「にしても広すぎるな。サタン達も呼ぶか?」


「いや、いらないと思うわ。いつもどこかに行ってると思うし、向こうにも住むところはあるから。」


「そうか。じゃあ俺もやめておこう。広くて困る事も無いしな。」


この世界に来て一ヶ月経たないうちに俺は家を手に入れた。

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