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神様の慈悲  作者: 河藤
第二章 グランテスト大国へ
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第27話 一難去って

「シド殿!無事であったか⁉︎」


「シドさん!」


王城に戻ると国王陛下と王妃様、アメリア、カリーナが駆け寄ってきた。

狐面の紐を解いてフードを脱ぐ。


「身体的には全然大丈夫。」


精神的にはボコボコだけど。


「だが、まさか本当にあの数を1人で倒してしまうなんてな…。」


「そうです!ここから見えたんですけど、あの白く光ってた光線みたいなのはなんなんですか?」


カリーナが興奮して聞いてくる。

するとソルネル様が俺に向かって言った。


「ねぇ、もう全部言ってしまったらどう?レヴィから聞いたけど、言った方がいいわ。今回の魔獣の行進(モンスターパレード)に関わっていた者について。」


「え…。いいんですか?」


「黙ってろとは言われてないもの。」


「ちょっと、シドさん、お祖母様何の話をしているんですか?」


レヴィの方を見ると通信が入ってきた。


『私もそう思うわ。言ったら危機意識が高められるしね。ただ、私達《悪魔》の事は言わずにね。』


…まぁいっか。よし、話そう。


「それでは…今回の魔獣の行進(モンスターパレード)の後ろにはある者がいました…それは、魔族です。」


「な…魔族だと…本当か?」


「はい、本当の事です。ちなみに魔族は跡形もなく消しました。」


「1人でか…?」


「はい。」


「…詳しく聞かせてもらってもいいか?」


「…はい。それでは、まず…」


そうして俺は今回の騒動の事を話し始めた。

話し続けると、国王陛下達の顔はどんどん青ざめていった。


「…という事は、この先もこの規模の魔獣の行進(モンスターパレード)があるかもしれないのか…?」


「もしかしたら…他の国でもあり得ますね。」


その言葉に全員が頭を抱えた。

まぁこうなるよね。


「…シド殿はこの後どうするつもりなのだ?」


「そうですね…お金はあるんで家でも買ってそこを拠点にギルドに登録しようと思います。なのでしばらくはこの国にいると思います。」


「ずっといて欲しいんですけどね…。」


アメリアが苦笑いした。


「お姉様、ずっとって言ったって私達はまた学校に行かなきゃならないでしょう?」


「そうなんだけどね…。」


「学校?アメリアも学校に行っているのか?」


普通王族とかって城で勉強するんじゃないのか?


「はい。私とお姉様はサムリエル魔法学園に通っています。この世界で今最も水準が高いと言われていて、そこでは王族も平民も関係ありません。場所はグランテストの領土内ですが、色々な国から生徒が来ています。」


「そういうわけです。今は連休なのでお祖母様の薬の材料を採りに行っていました。そこでシドさんに出会いました。」


そういう事ね。


「だったら学園もある事ですしこの国の領土全体に反魔結界でも張りましょうか?しばらくは持つと思いますし。」


「そんな事出来るんですか?」


「まぁ、多分…。」


そのまま影に潜っているルシファーに聞く。


『ルシファー、出来る?』


『この国の領土全体程度でしたら出来ますね。また今度お教えしましょうか?』


『あぁ、また今度教えてくれ。じゃあ結界を頼む。』


『わかりました。念のため主人様も結界を張ってください。その上から上乗せします。』


言われたままにこの国の領土全体に俺の結界魔法を発動させ、その上からルシファーが反魔結界を張った。

こうすればこの国にはあの規模の魔獣の行進(モンスターパレード)は起きない筈だ。


「…ここまでやっていただき感謝する。本当にありがとう、シド殿。」


「僕も安全に暮らしたいですからね。」


「そう言ってもらえると助かる。それと礼の報酬なんだが、何が良い?用意出来る物なら可能な限り揃えるが?」


「え…いや、悪いですよ。」


「そんな事言わないで、貰える物は貰っときなさいな。迷惑にはならないからさ。」


ソルネル様はそう言うが、実質今回は自分の安全な暮らしのためにやった事だからお礼と言われてもピンとこない。


「…だったら、あなた、家を買うときの紹介状でも書いてあげたらどう?一番役立つ気がするわ?」


「確かに、ジュリアの言う通りだな…シド殿、それで良いか?」


「……じゃあお言葉に甘えて、お願いします。」


ラッキー!

これで家問題は解決した。

コーラスだけでも呼び寄せようか?

国王陛下は上機嫌でサラサラと紹介状を書いてくれた。


「これをギルドに持っていけば好きな家が買えるだろう。他の報酬や魔獣の部位についても可能な限りシド殿に送るつもりだ。これは受け取ってくれ。また呼び出す事になるかもしれんが悪い。」


「いえ、全然大丈夫です。短い間でしたが本当にありがとうございました。」


家を買うにはギルドに行く必要があるらしい。

そのついでに登録もしておくか。


「あの…シドさん…家を買ってもまた来てくれますか?」


「国王陛下が問題無いって言ってくれるならまた来るよ。」


「大歓迎だ、是非来てくれ。」


「やった!じゃあ私達もまたシドさんの家に行きますね!」


「わかった、楽しみにしてるよ。レヴィも一緒に来るだろう?」


「もちろん、どこにでも。」


よし、これで今後の事は決定した。

まだ昼ごろだし、一度ギルドに行って登録と家を買うか。


「それじゃあ一度ギルドに行って、家を買ってから出る準備をします。」


「買ったらすぐ帰ってきてくださいね。」



「わかった、じゃあレヴィ、行こうか。それでは、行ってきます。」


そうしてレヴィと2人でそ王城を出た。

門番の騎士に声をかけ城を出ると、既に国の人達は落ち着いていた。

騎士団の仕事が早いおかげだろう。

いつも通り商売を始めていたり、立ち話をしている。


「みんな立ち直りが早いな。」


「肝が座ってるんでしょ。それで、ギルドの場所はわかるの?」


「まぁ、なんとなくは。」


【マップ】を開いて国内を確認する。

ギルドはすぐ見つかり、その周りには武器屋に防具屋、薬屋など、冒険するには欠かせない物が多く売られていた。

【マップ】に従い歩く事10分ほど、ギルドについた。

男から女まで、普通の人間から獣人まで、多くの人で溢れかえっていた。

やっぱり獣人っているんだ。

頭から猫だったり犬だったりの耳が生えている。

…触ってみたい。


「ちなみに獣人は心を許した人にしか耳や尻尾を触らせないわよ?」


「あ、そうですか。はい、了解です。」


ですよねー。

俺の淡い希望は砕け散った。

気を取り直してギルドに入る。

意外と、というかやっぱり中は混んでいたが進めないほどでは無かった。

カウンターに着くとすぐに受付嬢が出てきた。


「いらっしゃいませ。あれ?新規の方ですか?」


「はい、そうです。新規登録2人でお願いします。」


「…大丈夫ですか?登録すると危険もありますが…。」


「大丈夫よ。困ったら誰かに頼るから。」


「…わかりました。それでは奥にどうぞ。登録するにあたっての確認を行います。」


そう言った受付嬢の後に続いてカウンターの奥に入ると机の前に座らされた。


「それではまずいくつかの質問をします。まず、お名前はなんですか?」


「俺はシド・テンペスト・シリウスだ。こっちはレヴィ・アクア・シリウス。」


「兄妹での登録ですね。わかりました。少しお待ちください。」


そう言って受付嬢は奥から水晶のような透き通った手の平サイズの球を持ってきた。

その瞬間レヴィの顔が固まった。


「シドさん、レヴィさん、これは魔力晶と言って、魔力を図るための道具です。これに手を置いてください。魔力晶が光れば光るほど魔力が高いという事になります。」


「へぇ…じゃあ俺から…。」


「ちょ、待って!」


「え?」


レヴィの声に反応する前に俺の手が水晶玉に触れた。

触れた瞬間水晶玉はとてつもなく強い光を発して粉々に砕け散った。


「うわっ!」


咄嗟に目を閉じたが、もう少し遅ければどこかの大佐のようになるところだった。

ギリギリセーフ。


「…。あのー、これ、どういう事ですか?」


「おかしいですね…古かったのかもしれませんね…ちょっと待っててください。新しいのを持ってきます。」


そう言って受付嬢は奥へと行ってしまった。

横ではレヴィがため息を付いている。


「はぁ…やっちゃったわね…そんな気はしてたけど…。」


「え⁉︎俺なんかやったの?」


「お兄ちゃんの魔力ってどれぐらいあるの?魔力晶を触れただけで割る人なんて見た事ないんだけど?」


「…えーと…ステータスの魔力の欄には「エラー」って出てました…。」


「エラーって…はぁ…そりゃ割れるわよ。多分次すごい大きな魔力晶持ってくるわよ。それも割ったらギルド長のお出ましね。もう逃げられないわよ?」


レヴィがそう言うと受付嬢は本当に更に大きな物を両腕で抱えて持ってきた。

テーブルの上に置くと一息つきながらこちらを向いた。


「ふぅ、それではこれに手を当ててください。」


「…あの…やらないって選択肢は?」


「ありません。」


ですよね!

だって受付嬢さんの目すごいもん!

興味津々って感じするもん!


「…わかりました…じゃあ触れます。」


触れると、案の定その魔力晶も砕け散った。

もう受付嬢さんは呆然としている。


「…ギルド長を呼んできます…。」


やっちまったッッ!

レヴィの方を見ると顔を背けられた。

何、どうすればいいの?

しばらくすると筋骨隆々のたくましい巨漢が部屋に入ってきた。


「お前さんか?特大サイズの魔力晶を割ったってのは?」


「はい…そうです…。」


「名前は?」


「シドです…。こっちは妹のレヴィです。」


「よし、シドにレヴィ、2人とも登録完了!」


「「…へ?」」


今この人なんて言った?

ってかこのフレーズ多いな。


「俺はここのギルド長をやってるライナーってもんだ。ほれ、お前らのギルドカードだ。失くしたら依頼が受けれなくなるから気をつけろよ。」


渡された灰色のカードには俺の名前と「G」の文字が書かれていた。


「その「G」ってのはギルドランクだ。依頼を成功させていけば上がっていって、最高はSランクだ。ランクが上がれば上がるほど危険が伴うから気をつけてくれ。」


「いや、その前に軽すぎません⁉︎」


お出ましからすぐカード渡されたぞ?

軽すぎないか⁉︎


「いや、お前さんらなら大丈夫だろう。魔力晶割る奴がそう簡単に死ぬわけないからな。ガッハッハ!」


いや笑って誤魔化すなよ。


「えーと…私もいいんですか?何もしてませんけど?」


「ん?大丈夫だ!俺が許す!」


……。

何というか…ここのギルド大丈夫か?

まぁとりあえず登録出来たしよしとするか。


「あの…ライナーさん、ちょっと良いですか?」


「ん?なんだ?何でもいいぞ?」


「えーと…この紹介状で家を買いたいんですけど、出来ますか?」


ライナーに紹介状を手渡すと、目を見開いた。


「これ王家からの紹介状じゃねぇか…お前何者だ?」


「まぁ色々ありまして…その分頑張りますんで詮索はしないでさい。それで、出来ますか?」


「当たり前だ!外に出て待っていてくれ!そっち系の奴を寄越すからな。」


そう言ってライナーは部屋を出て行った。

助かった。なんとかギルドに登録出来た。

もしかして【超幸運者ハイラッカー】のおかげか?

登録した部屋から出るとそこには大柄で柄の悪そうな男5人がいた。


「おい、お前みたいなのがギルド登録か?ははっ、笑っちまうな〜!えぇ?」


顔に傷がある男が言ってきた。

背中には大きな斧を背負っている。


「そうだけど何か?」


「チッ、生意気だな。おい、外出ろよ。洗礼をしてやるよ。」


そう言って男達はニヤニヤしながら外に俺を連れ出した。

これは…テンプレか?

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