第26話 あっけなく終了
魔獣の行進とそれに向かう騎士団を眺めているとサタンとフェゴールが帰ってきた。
「サタン、フェゴール、ただいま戻りました。」
「うん、お帰り。大丈夫だった?」
「まぁ、何の問題も無く終わりましたね。サタンも?」
「あぁ、跡形もなく消してきた。」
どうやら2人ともしっかり止めてくれたようだ。
あとはルシファーとマモンだけど…。
『主人殿、ルシファーです。今マモンと合流しました。』
『え?何で?』
『フォッフォ、それは聞かんでやってください。なにせ此奴は全く真逆の方へ走っていたもんで。』
『はは…すいません。』
「………。」
「………。」
「…まぁ予想通りっちゃ予想通りですね。」
どうやらルシファーは極度の方向音痴のようだ。
見た目はキリッとしてるのに。
これがギャップ萌え(?)って奴か?
そうこうしているうちに騎士団と魔獣の行進はお互いもう直ぐそこまで接近していた。
騎士団の姿を見つけた魔獣達は雄叫びをあげる。
「「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」」」
うるさ。
近所迷惑もいいところだ。
「主、俺達はどうしたらいいんですかね?」
「あ、そうか…じゃあ危なそうな騎士団の所に行って本当にダメになりかけたら援護してやってくれ。
ルシファーとマモンも同じように言っておいてくれ。」
「承知致しました。」
そう言うと2人は去っていった。
でも多分悪魔達の出番はもう無い筈だ。
下の方を見るとちょうど騎士団と魔獣の行進がぶつかったところだった。
先頭の魔獣は雑魚ばかりなのか4方向全ての騎士団が押しているように見える。
そう、最初だけは。
雑魚地帯が終わると次に出てきたのはお馴染みブラッドウルフだった。
前線にいた騎士達がどんどん斬り裂かれていく。
「そろそろ出ようかな…?」
空中に立ちながらお面を顔にずらした。
【超感覚】を発動させてそのまま前線へと飛び込んで。
落ちざまに手加減無しの【魔力弾】を数発飛ばす。
それだけで先頭にいたブラッドウルフは吹き飛んだ。
着地するとミエラが駆け寄ってきた。
「シド殿!」
「ここじゃシドはちょっと…。」
「えーと、じゃあ…狐殿?」
「狐…まぁ、なんだ?」
「来てくれてありがとうございます。」
「あぁ、じゃあさっさと終わらそう。」
そのまま前線を駆けて先頭に躍り出る。
【大炎龍】を発動させ先頭にいた魔獣を本気で殴りつけた。
「!Gyaaaa…」
最後まで鳴かずに殴りつけた瞬間灰になった。
そのまま全身に炎を纏って突進し、殴る、蹴る、タックルを繰り返す。
それだけであっという間にかなりの魔獣が灰になった。
「なんだあの面をつけた者は…。」
「…そうか!あれがミエラ様が言っていた手助けだ!」
「あの面をつけたのが?なんて強さだ…。」
いや強いもクソも火だるま状態でタックルしているだけなんだけど?
が、増加するのは止まったものの、このままではいつ終わるかわからない。
【大炎龍】を解いて右腕全体に魔力を集める。
「悪い、巻き添え食らいたくなければ騎士達は後ろに下がってくれ!」
そう言っただけで周りの騎士や冒険者達は後ろに下がってくれた。
助かります。
周りに誰もいない状態で魔獣の行進の正面に立ち、魔力を集め続ける。
もうそろそろかな?
魔獣達は直ぐそこだ。
重心を低くして右腕を後ろに下げる。
そのまま殴るようにして、ちょうど真正面で腕を止め魔力を放出した。
その瞬間俺の右拳の先から何かとんでもない音を出しながらビームのようなものが放たれた。
それは魔獣達を飲み込み更に押し込んでいく。
後には魔獣の行進は無く、魔獣の1匹もいなかった。
「ナニ…コレ…。」
呆然としながら【マップ】を確認すると俺の一直線上だけ全く赤丸が無かった。
すると脳内にリーヴの声が聞こえた。
『行使により、スキル【魔力砲】を会得しました。』
『1秒以内に40000以上の魔獣を討伐しました。これによって称号【虐殺者】を獲得しました。』
……え?
ギャクサツシャ?
何それ…何その物騒な称号!
要らねぇよッ!
誰が虐殺者だ⁉︎
俺だ!
「今の全て…狐殿が…?」
「まさか、一瞬であの数を…。」
うん、まぁそんな反応だよね。
寂しい。早くこの場を離れたい。
というよりもう面倒くさい。
グランテスト全体に張っている結界を維持するのも面倒くさい。
(リーヴ、杖で地面を叩くのって盗賊達にしたのと同じように出来る?)
『可能です。より広範囲に、強力な力になります。』
【亜空間収納】から杖を取り出して魔力を流す。
範囲を自分の周り10km、対象を魔獣に設定して地面を叩いた。
「「「「「GYAAAAAAAAAA!」」」」」
3方向から同時に聞こえる断末魔。
魔力量をかなり増やしたので多分魔獣は全部逝った。
『1秒以内に10万以上の魔獣を討伐しました。これによって称号【虐殺者】は【虐殺王】へとランクアップしました。』
……。
わかった、もう何も言わない。
まずこの称号って誰のためにあるの?
ほかに魔獣を1秒以内に10万以上討伐するやついるの?
1人は嫌なんだけど…。
『大幅にレベルアップしました。省略した成果を表示します。』
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Lv.2898→6492
速:29km/s→52km/s
攻:25940→79810
守:23990→76120
スキルレベル Lv.173→618
スキル【獄炎紋】、【龍紋】、【原点&終着点】、【形勢逆転】、【超幸運者】、【威圧】を会得。
【獄炎紋】:自身の血で紋章を描き、それを代償として地獄の炎を呼び出す。
【龍紋】:発動するとドラゴンを召喚し、使役することが出来る。どれほどかは使用者の力量による。
【原点&放出】:自身、もしくは周りに向かって放たれた波動状の魔法、スキルを【原点《オリジン】により吸収し、【終着点】から任意のタイミングで放出出来る。対象が【原点&終着点】の中にある場合、中に留まっている秒数x自身の魔力量だけ威力が上がる。
【形勢逆転】:危険性のある一撃。1/5の確率で対象を行動不能にする確率の高い一撃を繰り出す。しかし4/5の確率で通常より弱い攻撃になる。
【超幸運者】:自身の運を上昇させ、メリットとなるあらゆる確率を上げ、デメリットとなるあらゆる確率を下げる。
【威圧】:発動すると自身より格下の戦意を喪失、又は意識を刈り取る。
称号【邪龍殺し】、【化物】、【英雄】、【大魔導士】を獲得しました。
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無慈悲な声が頭に響く。
称号の欄を見てごらん?
【化物】だとさ。【龍殺し】だとさ。
どうやら知らない間に俺はドラゴンを殺していたみたいだ。
遂に俺は人間を卒業するのか?
まだ辞めたくないんだけどッ⁉︎
魔獣の死体は騎士団達が片付けてくれるだろう。
結界魔法を解き、自重する事をやめて【瞬間移動】で国王陛下の元に戻った。




