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神様の慈悲  作者: 河藤
第二章 グランテスト大国へ
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第23話 レヴィ入城、勘違い発覚

「レヴィさん城壁が見えて来ましたよ。あの奥にある城が今向かっている王城です。」


朝起きてから野営の片付けをし、ここまで来るのに3時間程かかった。

もう太陽は頭の真上にある。

王弟の馬車が城壁に近づくとすぐさま関所から騎士が出てきた。


「おかえりなさいませ、シーベルト様。このまま前にどうぞ。して、そちらの馬に乗る銀髪の少女は?」


「うむ、この少女は私の命の恩人だ。私の信用があればいらぬ心配だろう。」


確かに命の恩人ね。

同時に生命の危機に晒した一人でもあるけど。


「大変失礼しました。そちらの方もどうぞ、お入りください。」


そう言われた馬車に続いて私も入国した。

ここまで来れば後は王城でご主人様と会うだけだ。

入国すると同時にサタン達の気配が消えた。

おそらく帰ったのだろう。

念のために通信を入れる。


『ご主人様、今入国して王城に向かってるわ。』


『レヴィか、あぁ、さっきサタン達も帰って来た。お疲れ様。』


『ありがとう。それと…王城に入ったら私はご主人様を「お兄ちゃん」って呼べば良いのかしら?』


『え…あー、そうなるのか…。うん、そうしてくれ。』


『わかったわ、じゃあね。』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レヴィとの通信を終えると、俺の部屋にアメリアが駆け込んで来た。


「シドさん、妹いたんですかッッ⁉︎」


「んぇ?…あぁ、うん、そう妹いるけど…何で?」


我ながら上手くとぼけられたんじゃないか?


『真実を顔から出さないため、スキル【無表情ポーカーフェイス】を会得しました。』


あ、はい。了解です。

すぐさま【無表情ポーカーフェイス】を使用。


「今私とカリーナの叔父様が王城に着いたんですけど、その一行にシドさんの妹と言う人がいるんです!」


「え…名前は…?」


「レヴィ・アクア・シリウス、と言うそうです。」


「あぁ…うん、妹だね…。多分追って来たんだと思う。」


多分も何もそういう設定だけどね。


「私今からお迎えに行くんですけど、確認のため一緒に来てください!」


「一応聞くけどそのの特徴とかは?」


「シドさんと同じ銀髪と、赤と青のオッドアイだそうです。」


「うん、確定だね。レヴィだ。」


っていうかこっちでも普通にオッドアイとか言う言葉あるんだね。


「確定だとしても、です。とりあえず来てください!もうすぐここ(王城)に到着しますから!私は先に行っておきますねー…」


言い終わるとアメリアは走り出して行った。

部屋の陰に潜っていたマモンに確認をする。


「俺、着替えた方がいいかな?」


「ほっほっ、いらぬでしょう。その白いローブを見にまとえば正装でしょうぞ。」


アドバイス通りコーラスの作ってくれたローブを身につけて部屋を出る。

不思議な事にこのローブ、どれだけ汚れようとすぐに汚れが落ちる。

濡れてもすぐ乾く。

この際だし【鑑定】してみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『天使の外衣』・・・???級。天使によって作られたローブ。破れても燃えてもすぐさま再生する。このローブを身につけている間は、使用者はその環境に適応する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうやら俺はローブという物を根底から見直す必要があるそうだ。

???級って何?

むしろこっちが謎だ。


(リーヴ、この謎の表示何?)


『データがありません。この世界には無い物かと思われます。』


まじか、コーラスさんや…あなた何使ってこれ作ったの?


「あ、シドさん、こっちです。」


手招きしているアメリアの横にソルネル様が立っている。


「今度は迷わなかったかい?」


「まぁ、苦戦はしましたけどね。」


「そんな事じゃまたいつ迷子になるかわからないね。ほら、行くよ。レヴィはしっかり成功させたみたいだよ。後はあんたの演技次第だ。」


「えぇ、兄妹の感動の再開でも目標に頑張りますよ。」


苦笑しながら王城前に並ぶ騎士達の作る道の奥に立つ。

こっち側から見ても凄いもんだな。

しばらくすると馬車が到着し、その後ろからレヴィがやって来た。

こっちをチラッと見て目線を逸らす。


『レヴィ、頼んだぞ。』


『えぇ、多分大丈夫よ。そっちも準備しといてよね。』


『わかってる。』


通信が切れるとちょうど馬車から王弟が降りて来た。

騎士の道を通って国王陛下が前に進みでる。


「シーベルト、よく無事で帰って来たな。」


「今帰りましたよ、兄上。連絡通り、こちらの少女が我々の命を救ってくれました。」


レヴィが前に出て挨拶をする。

すごく自然。


「お初にお目にかかります、国王陛下。私はレヴィ・アクア・シリウスと申します。」


「我はこの国の国王、ジェームズ・ハイド・グランテストだ。この度は我が弟を救っていただき感謝する。」


「いえ、当然の事をしたまででございます。」


頭を下げるレヴィを見て悲しくなる。

俺よりよっぽど凄いなぁ。

妹に負けたよ。


「して、レヴィ殿はシド殿の妹と言うか?」


「はい…それでおに…、いえ、シドは今どこに?」


「あぁ、それなら…シド殿、少しこちらへ。」


呼ばれたので前に行こうとするとソルネル様に背中をつつかれた。


「ちゃんとしなさいよ…頑張りなさい。」


「はい…。」


騎士の道を通って国王陛下の近くへ行くとレヴィがこちらを向いて飛びついて来た。

えぇっ⁉︎嘘だろ⁉︎

予想外の出来事にそのまま後ろによろけてしまった。


「やっと会えた!」


『やり過ぎた!ごめん、話合わせてっ!お願いします!』


同時に通信を入れて来た。

中々に器用だね。


「なんでここに来たんだ?」


「お兄ちゃんを探してたんだけど?」


「ふむ…どうやら本当に姉妹のようだな…。」


国王陛下が何かボソッと呟いたようだが聞こえなかった。

超感覚ハイスペック】をオンにしておくべきだったか?

まあ、大丈夫でしょ。

慌ててレヴィが離れる。


「国王陛下、このような場ですいません…。」


「いや、再開出来て何よりだ。シーベルト、まず中に入ろう。その後皆で話そうじゃ無いか?」


「えぇ、そうしましょう。」


出迎えが終わり王城の中へと戻っていく国王陛下とシーベルト様の後に続いた。

中に入るとアメリアとカリーナ、ミエラが近づいて来た。


「シド殿、そちらが妹殿か?」


「あぁ、そうだ。」


「妹のレヴィ・アクア・シリウスです。よろしくお願いします。」


「わぁ、シドさんに似て綺麗ですね。」


「ありがとうございます。」


そこからは女子達の間で話が始まった。

レヴィと他の3人ではかなり年の差があるが、話は合うようだ。


「あ、そうだ。レヴィさん、部屋はどうします?まだ余りがありますけど?」


「いえ、大丈夫です。同じ部屋を使います。それで良いよね?」


レヴィがこっちを見てくる。


「あぁ、別に問題ないけど。」


「じゃあ決定ですね。」


レヴィの部屋も決まり、そのまま歩いて俺が初めて王城に来た時と同じ部屋に入った。

ミエラを含める騎士以外が腰掛けると雑談が始まった。


「…それで、シーベルト、今度はどんなトラブルに襲われたのだ?」


「あぁ、それでしたら、私が連絡を受けてグランテストに向けて出発した次の日に…」


そこからシーベルト様が俺達が仕組んだトラブルを、受けた側として語った。

今思えばもう少しレヴィが来るのが遅ければ大変な事になってたね。

いやぁ、危ない危ない。


「そうだったのか、災難だったな。」


「兄上、笑い事じゃないですよ…。」


「悪かった。それで、レヴィ殿はなぜここに?」


「はい、家を出た兄のシドを追ってグランテストへと向かっている途中にシーベルト様の馬車が襲われているところに遭遇しまし…」


「「「「え?」」」」


国王陛下とアメリア、カリーナ、ミエラの4人が同時に声を上げた。

え?なんか変な事言った?

横を見るとレヴィもこちらを心配そうに見ている。


『ねぇ、私なんか変な事言っちゃった⁉︎』


『いや、ちょっとわからない…。』


そうだ!こういう時こそリーヴ先生に聞こう!


(リーヴ、今の状況は何⁉︎)


『申し訳ありませんが私もわかりません。』


うぉいッッ!

どうなってんだ⁉︎


「レヴィ殿…今、なんと?」


「へ…えーと…シーベルト様の馬車が襲われているところに」


「違います、その前です。」


「え?その前?兄のシドを追ってグランテストに…。」


4人の目が俺に向けられた。


『今の別におかしくなかったよね⁉︎』


『多分…聞いている限りでは…。』


ミエラがおそるおそる聞いてきた。


「あの…シド殿…少しお聞きしても…?」


「え…はい…何か…?」


「シド殿は男なのですか…?」


一瞬の沈黙、そして


「「はぁ⁉︎」」


今度は俺とレヴィの声が同時に上がった。

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