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神様の慈悲  作者: 河藤
第二章 グランテスト大国へ
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第21話 レヴィ残留大作戦 Part1

「作戦会議、ですか。」


「えぇ、そうよ。私って子供の頃からこう言うのが大好きなの。」


でしょうね。

イタズラをした子供のようにソルネル様が笑みを浮かべる。


「でも、実際どうされるのですか?」


レヴィも笑いながら言う。

レヴィの言う通り、そんなにホイホイトラブルなんてありはしない。


「実はね、今アメリアの叔父、まぁ国王陛下の弟が出かけていた先から私の事を知ってここ(グランテスト)に向かっている最中なの…。連絡は魔道具を使えば取れるから早いわね。もう意味はわかるでしょう?」


「…え…つまりそれって…?」


「そうよ、その馬車を魔獣か何かに襲わせましょう!」


マジか…。

この婆さん自分の息子を襲わせるのか。

スパルタかよ。

本当に容赦無いな。


「でも魔獣がそんな都合よく動いてくれます?」


「普通は動かないわね。そこであなた達悪魔の出番よ。魔獣の転送ぐらい出来るでしょう?」


「本当になんでもお見通しですわね…。」


本当にその通りだ。

なんで【転送トランスファー】の事を知ってるんだよ…。

もうこの人(ソルネル様)怖い。

レヴィも苦笑している。


「わかりました。ご主人様、他の6人も呼び出してもらっても良いかしら?」


「あぁ、わかった。」


先程と同じように念じると召喚陣からレヴィ以外の6人が出て来た。

召喚陣が消えるとサタンがこちらを見て聞いて来た


「何か御用でしょうか、我が主。」


「あぁ、みんなにちょっと手伝ってほしくて。実は…」


呼び出した経緯を説明するとすぐに理解してくれた。


「つまり私の【転送トランスファー】でシド様達の元へ魔獣を送れば良いのですね?」


「そう言う事。頼んでいいかな、サラ?」


「お任せください。どのような魔獣がいいでしょうか?」


「それは任せる。ただ、普通の騎士には倒せないぐらいの魔獣で頼む。」


「わかりました、それでは行って参ります。準備ができたらお呼びください。」


そう言ってサラは【欺瞞ガイス】を使って姿を消し、窓の外へと飛び出して行った。

アレ?あの方角って…。

まぁいいか。


「さて、それではサラも行った事ですし儂等もその王弟殿の通る道へ行って準備をしましょうか。」


マモンが長い顎鬚を触りながら催促する。

こうして見ていると何処にでもいるただの爺さんだ。


「ソルネル様、その息子さんは今どこにいるんですか?」


「えーと…多分この辺りね。」


そう言ってソルネル様は地図の一箇所を指差した。

グランテストからそこまで離れてもいない辺りだ。


「後はあなた達で確認してちょうだい。まだここ(グランテスト)には着かない筈だから。」


「ソルネル様、助言をありがとう御座いました。それでは我々は先に行って今の馬車の位置を確認して参ります。」


「あぁ、頼んだ。」


会話が終わると悪魔達は窓から外へと飛び出して行き、すぐに見えなくなった。


「それじゃあ、僕も行ってきます。」


「気をつけるんだよ。第一あんたには気をつける事が無いか。」


いやいやかなりありますよ?

鉄骨とか、大きな鉄骨とか、特大サイズの鉄骨とか。

ソルネル様の部屋を出るとすぐ近くにミエラがエルヴィンと他の騎士と一緒にいた。

ミエラとエルヴィンは俺に気づいたようだ。


「シド殿、ソルネル様の部屋から出て来たがどうかされたのか?」


「いや、別に何も。それより、今から少し抜けるから言っといてくれる?」


ちょっと王家の人襲ってくるから、とは言わない。


「わかった。しかし夜までには戻ってこられた方がいいかと。」


「そのつもりだよ。ありがとう。じゃあ、行ってくる。」


そう言ってミエラとエルヴィンの元を離れた。

エルヴィンは何故か顔が赤くなっていた。

風邪をひいているなら安静にしていようね。

王城を出ようとすると門番の兵士が声をかけてきた。


「おや、シド様、お出かけですか?」


「えぇ、少し外へ。」


「気をつけてくださいね、どんな輩がいるかわかったものじゃありませんからな。」


「?…わかりました。行ってきます。」


街に出て人気の少ない路地に入り、誰もいない事を確認してから【瞬間移動テレポート】でサタン達の元に移動した。

今では人を思い浮かべれば、その人の近くに移動出来るようになった。


「主ですか。早かったですね。馬車ならもうすぐ来ますよ。サラも準備はOKみたいです。」


「ありがとう、フェゴール。…あれ、レヴィは?」


6人いる筈がレヴィがいない。


「レヴィならさっき馬を連れて馬車の後ろに行くって言ってそのまま行ったよー。」


ベルが答えてくれた。

見た目はレヴィと同じ15歳程だがこちら(ベル)の方が幼い感じがする。

話を聞く限りどうやら既にレヴィは準備万端なようだ。

念の為指輪の通信でレヴィに確認する。


『レヴィ、もういけるか?』


『ん?ご主人様?あぁ、指輪か。えぇ、今は姿を消して馬車の後ろについてるわ。一応馬に乗ってね。こちらはいつでもいけるわよ。』


『よし、じゃあ今から送るから頼むぞ。』


『お任せあれ〜。』


そう言って通信は切れた。

中々乗り気のようだ。

手筈としては、襲われている王弟の乗る馬車を旅人を装ったレヴィが救出する、という流れだ。

ソルネル様の話によれば王弟は義理堅い性格なのでおそらくそのまま王城に一緒に行く。

そこで俺に会う。

はっきり言って八百長みたいだ。

続いてサラにも通信をいれる。


『サラ、そろそろいけるか?』


『いつでも大丈夫です。』


『じゃあもう頼む。』


『わかりました。それではレヴィの魔力を目印に転送します。』


そこで通信は切れ、まもなく道の向こうから護衛の騎士達の叫び声が聞こえた。

逃げ惑う声、痛みに苦しむ声だ。

一体何を送ってきたんだ?

こちらの姿が見えては意味が無いので全員の姿を消し、周りに【防音サイレント】をかけて近づく。

そこで馬車を襲っていたのはのはよく見覚えのある魔獣だった。

大きな体に赤黒い毛皮の狼。


「ブラッドウルフかよ……。」


そう、そこには俺がこの世界で初めて戦った魔獣、ブラッドウルフが8匹いた。


「グハッ!」


目の前で騎士が鎧ごと爪で斬り裂かれ胸から血が噴き出す。

レヴィ、早くきてあげて。


「すいません、遅くなりました。」


どうやらサラが帰ってきたようだ。


「サラ、アレ(ブラッドウルフ)ってどこから?」


「絶望の森にいたものです。騎士にはまず討伐不可能です。」


うん、だろうね。

だってブラッドウルフたちはレベル400〜500だけど騎士達は30前後だもの。

Lv.400〜500ブラッドウルフ8匹VSLv.30騎士5人。

結果は見るより明らかだ。


「ほっほっほ、サラよ、お主中々な事をするのぉ。」


「いいえ、マモン、レヴィにはこれぐらい必要です。」


サラはレヴィに厳しいね。

そんな事を考えているとレヴィが馬に乗ってやって来た。

急いで馬車に近づき、王弟に声をかける。


「大丈夫ですか⁉︎」


「っ!君は、逃げろ!巻き添えには出来ない!」


レヴィは演技派だね。

本当に一般人に見えるや。

しかしこの状況で逃げたってブラッドウルフに追いつかれて終わりだと思うぞ?

同じような事をレヴィも言う。


「ここで逃げても意味はありません!追いつかれて終わりです!まず手当を!これを飲んでください!」


そう言ってレヴィが王弟達に渡したのは俺が暇つぶしに醸造していた回復薬ポーションだ。

流石に生命の水(エリクサー)を渡すのはちょっと…。

レヴィには薬と食料などが入ったカバンと一振りの剣を渡してある。

剣を作ったのは初めてだ。

基本殴りか魔法だからね。

回復薬ポーションを渡すとレヴィは荷物を置いて剣を取り出して馬車の前に立ちはだかった。


「え……。」


レヴィが固まった。

直後脳内に通信。


『ブラッドウルフ8匹ってなんなのッッ⁉︎嫌がらせッ⁉︎』


『悪いけどそれは後でサラに言ってくれ。』


『う〜…わかったわよ!全部()ればいいんでしょ!』


怒ったようにレヴィが通信を切った。

最後物騒な言葉が聞こえた気がするなぁ。

通信を切ったレヴィは剣を構えてブラッドウルフへと向かっていく。

そこからは早いものだった。

一瞬で2匹が首を切られて動かなくなり、残りの6匹もあっという間に倒された。

締めは、ブラッドウルフ1匹に対しては過剰な威力の【爆弾魔ボムボム】で作られた爆弾で終わらせた。

爆発後にはブラッドウルフの跡は無い。

魔力を察知してかこちらを睨んでくる。

また通信が入った。


『帰ったら話があるんだけど?』


『安心しろ、サラに伝えておくから。』


『そうじゃなくてごしゅ…』


一方的に通信を切らせていただきました。

嫌な予感しかしないね。

レヴィは怒りながら踵を返し、王弟と騎士達に近づいていく。


「お怪我は大丈夫ですか?」


「あぁ、君のくれた回復薬ポーションのお陰で大丈夫だよ。ありがとう。」


「いえ、当然の事をしたまでです。」


こちらが仕組んだ事なのだから当然である。

にしても本当に演技が上手い。


「私はシータルト・ジェームズ・グランテストだ。この度は救っていただき感謝する。」


「グランテスト…ハッ!私はレヴィ・アクア・シリウスと申します。王家の方を前に無礼をお許しください。」


レヴィが慌てて頭を下げた。

演技とはいえ、これが普通なのか?


「やめてくれ!レヴィ殿は命の恩人なんだ。頭を下げるのはこちらの方だ…そうだ!レヴィ殿、お礼がしたいのだが、是非私と一緒に王城へと来てくれないか?頼む!」


「私が王城に…?いいのですか?」


「いいも何も大歓迎だ!きっと他の者も歓迎してくれる!」


「………。それではお言葉に甘えて。騎士団の方々、申し訳ありませんがいいですか?」


すると騎士の中でも大柄な男が前に出て来た。


「おぉ、俺たちも歓迎だ!なにせ俺たちの命の恩人でもあるからな!」


どうやらレヴィの作戦の大部分は成功したようだ。

休憩の後、レヴィが馬に乗り、シータルト様も馬車に乗ると一行はグランテストへと再出発した。

次回は少し先になりますがよろしくお願いします。

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