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世界が生まれ変わる物語。  作者: ゆうわ
第二章 砂の果実。
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2.砂の果実。 混戦。 5


 砂漠の夜、二人の戦士は対峙していた。


 互いに、互いを殺すタイミングを計りながら。瞬きもせずに、殺気を張り巡ら……間近で爆発が起こる。両者の間を爆炎と轟音と閃光が遮る。致死の時を計っていた彼らは、でも、動かなかった。ただ、喧騒が過ぎていった。死の時は忍び寄るものなのだ。じわりと迫るものなのだ。爆発ではない。ふと、ガンウェルの心に感傷がよぎった。


 ……これだけの強者と戦うのはいつぶりだ?


 あの時、街中で出会った破格のマイトを持ったドラフと決闘する事が出来ていれば、それ以来だ。だが、あの時は月雲の邪魔が入った。そうだ。これほどまでの強者に対峙するのは、思い出せない位の昔だ。いや、初めてかもしれない。

 そして、知らず、ストクフの心にも同じ思いがよぎる。


 ……強い。あの古い祠で出逢った剣士と同格だ。この様な辺境で、この様な強者と合間見えるとは。想像しなかった。


 二人はこの一瞬を楽しみ……理解し難いかもしれないが、互いを……思いやった。最大限の力でこの決闘に挑めるように。言葉は発しなかったが、互いに理解していた。次に自分達が動く時は、戦いが始まり終わる時。それは、不意打ちであってはならない。最適の時に最高の力を持って挑むのだ。敵に、ではなく、自分自身に。ゆっくり、ゆっくりと時は進む。無が支配する砂漠の夜空を、小さな雲が彼らを見つめながら、穏やかに渡っていく。滑らかに穏やかに。そして、その小さな雲は、中天の月に追い付き、その光を隠した。


 それが、合図だった。


 二人の戦士の姿が月影に覆われ消えた。二人の戦士が魂をかけて激突、しなかった。此処は戦場。決闘の為に用意された闘技場や無人の荒野ではない。戦煙に覆われた、砂漠の田舎町だ。二人が激突するより僅か僅か早く、邪魔が入った。大将を助けようとした二人の衛兵だ。ストクフを左右から挟み撃ちにして串刺しにしようと暗がりから飛び出して来た。だが、ストクフは動じない。彼の背後の空気が揺らぎ、隠れ蓑から2体のゴートが現れる。突然現れたゴートに驚いた瞬間に衛兵達は首を跳ねられ、絶命した。血が飛沫を上げる。2体のゴートは、そのまま返す刃をガンウェルに突き立てた。ガンウェルとストクフは部下達の争いなどお構いなしに互いにに向かい突進する。ゴートの槍は真っ直ぐ鋭く伸びて、ガンウェルの喉を左右から突き刺した。ガンウェルは動じない。槍の刃は欠け、柄はへし折れた。ガンウェルのキが高まり、見えない鎧と化していたのだ。マイトを纏った攻撃でなくては、彼を貫く事は出来ないのだ。ガンウェルはただストクフに向けて大段平を打ち下ろす。ストクフは身体を捻り、攻撃をかわし、ガンウェルの額に向けて薙刀を突き出した。


 かぁああああん。


 金属がぶつかり合う、鋭く重い音が混戦の街に響く。薙刀を大段平で受けた。ガンウェルの渦を巻くような切り返しはストクフの想像を遥かに超えて速かった。力だけではなかった。しかも、その切り返しの中で、邪魔なゴートを2体とも胴体で切断した。


 「なるほど。」


 ストクフは素直に感心した。強い。あぁ、強いな、この人間は。ガンウェルも笑う。


 「おもしれぇな。」


 その言葉が発せられると同時に、二人は再び刃を交える。


 こぉおおおおおおぉぉ……ん。


 大きな大きな交剣音が響き渡った。それは、繰り返された。二人は舞うように戦い、歌を歌うように交剣音を響かせる。その音は、少しずつ、間合いを詰めて、激しさを増し、決着へと進んで行く。


 ……ち。


 どちらだろうか?どちらかが、小さく舌打ちをした。刃を重ねるにつれて僅かずつ追い込まれていく。僅かではあったが、この決闘は終わりに向かって進み始める。戦いに優劣が生じ始めていた。そして、この決闘の決着はこの夜の混戦の転換点を意味していた。


 ……クレイフが終わりに向かって進み始めるのだ。


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