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世界が生まれ変わる物語。  作者: ゆうわ
第二章 砂の果実。
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2.砂の果実。 開幕。 8

 ……っ、はぁ!」


 別に息を止めていないので、深呼吸する必要はなかったのだが、天為は条件反射的に水面から顔を出す時に大きく息を吸った。

 そこは岩の柱の中だった。地底湖の中心部に一際大きい岩の柱があった。そして、その柱は湖底に到達していなかった。水中を泳いで探索していた天為だから気付けた異常だった。柱の底に潜り込んだ天為は柱の内部が空洞になっていることを発見し、柱の中を上昇していった。そして、水面に出た。呼雪をかざし、辺りを照らす。


 「なんだこりゃ。」


 天為は呟いた。柱内部の中心に天井から螺旋階段が降りて来ていた。螺旋階段は水に浸食されて水面の辺りで崩れていたが、まだ登る事は出来そうだ。そして、以前は更に下まで……恐らく、湖底まで……延びていたのだろう。螺旋階段が消えていく暗い天井には、入り口があり、そこには樹木を模した複雑なレリーフが施されていた。内部は完全に人造物だ。何かの建屋になっている。天為はそのレリーフを見て察した。例のアレだ。


 「いやー。おかしいな。水源があると思ったんだけどな……


 呟いてから、天為は息を止めた。気配がする。何だ?ヒト?いや、違う?どうだろ?違わない?天為にしては珍しく判断に迷った。気配の主は何なのか?例のレリーフが存在する場所では何が起こってもおかしくはない。素早く静かに天為は沈んだ。反転して、湖底に戻る。何者かは判断つかなかったが、複数の気配を感じた。できれば戦いは避けたい。水心の術も、後10分程度しか保たない。仮にあの建造物の奥に「砂の果実」があったとしたら、どうだろう?得体の知れないモノ達はそれを手にするだろうか。或いは既に?


 ダメだ。一旦引くべきだ。


 天為は焦らない。何らかの危機を察して彼は湖底の闇に消えた……その、直後。螺旋階段をぞろぞろと降りてくるモノ達がいた。ヒトにも見えるそれはしかし、人ではなく、ただ虚ろな目を水面に向けていた。



 ……あれ?


 天為は迷い始めていた。あの時だ。中央の柱の中から慌てて逃げた時、方向を失ったのだ。


 うーん。でも、多分、こっち。いや。どうだろ?


 天為はマイトを拡散させて、仲間の気配を探ろうとするが、水に阻まれて感知出来ずにいた。どうしても感知出来ない。微妙に水が流れ込んで来ていて、水流が渦を巻いているのだ。マイトは水に流され易い為、天為は感知の気を張り巡らす事が出来ないのだ。


 ……くっそ。この微妙な水流さえ無ければなー……って!


 やっと気付いた。帰る事ばかり考えていて、目的を忘れていた。そうだ。そもそも水の流れ込む場所を、この地底湖の水源を探していたのだ。天為は最もマイトが乱れる、渦の発端に向かった。

 そして、水心の術が切れる直前に彼はそれを見つけ出した。湖底に近い壁面に大きな穴……岩壁から入り込んできた時の洞穴に似ていた……を見つけたのだ。水はそこから流れ込んでくる。


 ……ビンゴ!


 急激に酸素が取り込み難くなるのを感じた天為は慌てて、湖底を蹴る。水心の術が切れたのだ。必死で、上昇する。術が切れる直前に大きく息を吸い込むことが出来なかった天為は、既に息が途切れそうだった。水面が遠い。息が保たない。天為は鼻をつまみ口を押さえる。駄目だ。子供騙しだ。体が勝手に息をしようとする。駄目だ。水を飲んでしまっては駄目だ。堪えるしかない、が、限界。がぼりと水を飲み、肺に水がなだれ込んで来……る直前に水面に出た。


 どぅえあばっ!!


 意味不明の叫びと共に湖面に脱した。空気が旨い。……つか、セツナの奴、俺の事殺そうとしてたんじゃね?と疑心暗鬼に成りながら、天為は、二度とこのへんてこな術は使わない、と心に固く誓った。周囲を確認する。


 「あー、やばいね。全然違う。」


 そう、違った。天為は混乱していた。水中で方向を失っていた。天為は現在位置をこの地底湖に入って来た辺りだと考えていた。だが、違った。近くに高坂達の明かりが無い。明かりは……反対側だ。地底湖を挟んで反対側にある。天為は頭の中でウキハ内部の地図を広げる。


 ……確か、ウキハの東側の岩壁の割れ目から内部に入り込んで、くの字を描くウキハの再南部の真下辺りで地底湖に出くわした筈。地底湖はクレイフの方角に広がっていた……そうだ。それは間違い無い。で、だ。ウキハの南部、サザの国の国境線辺りに大きな山脈がある。この辺りで水源となるようなものはそれしか無い。水は低いところから高い所には流れないのだから。だから、そこから水が地下水となって流れ込んで来ている……と天為は考えていた。水源はウキハ南部にあり、それがクレイフに流れ込んでいるのであれば、今見つけた水源は、ウキハの南に向かって伸びている必要がある。でも、違った。そんな事があるだろうか?水は……水は、クレイフから来ている。しかも、怪しげな人造の水路を通って。


 ……何だよこれ。どこから湧き出してんだ?水。


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