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A.U.R.A.《オーラ》高度犯罪分析局 ――たった一人の死を追う逆算プロファイル  作者: 久茉莉himari


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2/6

【2】プロファイラーは、先にプロファイルされる〜繊細過ぎる壁際の博士〜

ギャレットはホテルの自分の部屋に戻ると、PCを開いた。


すると――

画面にA.U.R.A.のテクニカルアナリストのノラ・エリザベス・ペイジが現れた。


「主任!

クワンティコはどうですか?」


ハニーブロンドを揺らし、ライトブラウンの瞳をくりくりとさせながら、ノラが言う。


ギャレットは「特には」と短く答えると言った。


「まず、FBI特別捜査官、ネイサン・ウェルズを調べろ」


「了解です!」とノラが答えて、数十秒後には、話し出す。


「ネイサン・グラント・ウェルズ特別捜査官は、海軍で4年の契約期間を満了し名誉除隊して、FBIへ入局しています。


32歳、既婚、1歳の子供あり!

今は休暇中です。


それと……これは……」


ノラの驚く声に被さるように、ギャレットが「続けろ」と低く言う。


ノラが即座に答える。


「父親は海軍大将です……!!

あのウェルズ大将の息子です……!!」


「住居は?」とギャレット。


「一軒家に住んでいます!……うわー……」


「……ノラ……」


「すっ、すみません!!


高級住宅街過ぎて!!

普通のFBI捜査官では住めません!!


……あ!

実家の側ですね!


実家は……その高級住宅街のど真ん中にあります!」


ギャレットが小さく頷く。


「よろしい。

では、次にエレナ・グレイス・ウィンスロウを調べろ」


「了解です!


って……!!


エレナ・グレイス・ウィンスロウって、あの特命大使を歴任したウィンスロウ大使の娘です!


心臓に悪いですって!!」


「……ノラ……」


ギャレットの低い声で、我に返るノラ。


「ハイ!


エレナ・グレイス・ウィンスロウは29歳、外科医、独身。


一年前に国境なき医師団から帰国しています。


普段は、病院に勤めながら、貧困に苦しむ国内外のボランティア団体の一員として活動しています!


但し、エレナはボランティア団体の方に力を入れていて、その時々に、適した土地に短期滞在しています。


住所は実家になってますね!


……あっ!

ウェルズ大将のお宅と凄く近いですね!

ご近所さんです!」


「成る程」


そして、ギャレットは一拍置くと言った。


「次に、セオドア・オールデン・ヴェイルを調べろ」


「了解です!


……ってクワンティコの教授じゃないですか〜!


通称セオ・ヴェイル博士、25歳、独身。


最終学歴はマサチューセッツ工科大学、大学院です!


合格率3〜6%を20歳で突破して、2年で博士号を取得し、卒業しています。


そして、23歳でFBIに入局。


正に天才ですね!

博士号を三つ持っています!」


ギャレットの鋭い声がする。


「マサチューセッツ工科大学院は理系に強い。

ヴェイル博士は犯罪心理学の教鞭を取っている。


マサチューセッツでは、何の博士号を取っている?」


ノラが即答する。


「哲学博士です!

専門は脳認知分野です!」


「FBIでの役職名は?」


「特別捜査官です!


それ以外は黒塗りで分かりません!

これ以上掘ると、私が捕まります!」


「よろしい。

ではまた」


「了解!」とノラが勢い良く答えて、ブチッとノラからの通信が切れる。


ギャレットはテーブルに置いた赤い蝋印付きの封筒に目をやる。


行動分析課のマーカスの目の前で封を切った封筒の中身は、今夜のパーティの招待状だった。


そして、そこには――

謎の男の死を看取った捜査官の名前が書かれていた。


"ネイサン・ウェルズ特別捜査官"と。


それを確認したギャレットは言った。


「これは私への招待状ですか?」


マーカスが静かに告げる。


「君はどんな手を使ってでも、ヴェイル博士と話そうとするだろう。

それは、非常に困った事態を引き起こす。


ヴェイル博士のプロファイルは"独特"だ。


彼はきちんと訓練生を経てFBIに入局している。

銃の携帯許可もある。


だが、同時に、とても"繊細"な人物でもある。


彼ほどの逸材を逃したくないFBIとしては、普段は博士の負担にならないよう、主に教授としての仕事を任せている。


博士が現場に出るのは、最悪のケースの場合のみだ」


「つまり?」


ギャレットの冷たい声にも、マーカスは眉一つ動かさない。


「そう、つまり――


突然、君のような人物と一対一で会わせ、博士に過度な負荷をかけることは避けたい。


そこで君をここに呼んだ日に選ばれたのが、"今日"だった。


今日は私の連続殺人犯逮捕を祝うパーティが開かれる予定だったからな。


もちろん、ヴェイル博士の功績も、だ。


我々が八年間追っていた連続殺人犯を、ヴェイル博士がプロファイルし、三日後には逮捕出来たのだから。


君が、どうしてもヴェイル博士と話したいのなら、まず今夜のパーティで"自然"に彼と会え。


それからどうするかは、ヴェイル博士が決める」


ギャレットは一言答えた。


「了解です」





そして、その夜。


FBI主催の『行動分析課、マーカス・ローウェル課長の功績を称える』パーティには、FBI幹部はもちろん、警察上層部、政治家、慈善家という名のセレブ達が集まり、華麗なパーティが繰り広げられていた。


ギャレットはマーカスとの打ち合わせ通り、30分遅れでパーティ会場に現れた。


それは、テーブルに着くことなく、パーティに"潜入"する為だ。


ギャレットは地味なタキシードに身を包み、存在感を消す。


ヴェイル博士は、すぐに見つけられた。


彼は主賓の一人でもあるというのに、壁際にたった一人で立っていた。


アッシュブロンドのストレートの髪に淡いヴァイオレットグレーの瞳、美しい顔立ちを引き立たせるようなタキシードを着て、ポツンと立っているヴェイル博士は、嫌でも目を引く。


ギャレットは、いきなり事件について問い詰めたりはしない。


まず、同じ空間に立つ。


博士がどんな人物なのかを見る。

博士が誰に反応するのかを見る。

博士が周囲からどう扱われているのかを見る。

博士の証言が、どこまで信頼できるのかを見極める。


だから、ギャレットは即決した。


パーティに出席する、と。


ギャレットには分かっていた。


事件を聞く前に、最初に分析しなければならないのは、事件ではなかった。


もう一人の目撃者――ヴェイル博士だ。


だが、ヴェイル博士の"独特"なプロファイル方法と、彼の"繊細"さの本当の意味を知らなかったギャレットは、既にプロファイルされていた。


ヴェイル博士に――

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです☆


毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290


自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪

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