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A.U.R.A.《オーラ》高度犯罪分析局 ――たった一人の死を追う逆算プロファイル  作者: 久茉莉himari


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【18】57分の保護作戦。〜マーカス襲撃の裏側と、ヴェイル博士の封鎖命令〜

ギャレットはまず、ヴェイル博士に、マーカス襲撃の情報が伝わっていないことを確認すると、最初の指示を出した。


それは――

ヴェイル博士の自宅にある全てのインターネットをシャットダウンしろという、"命令"だった。


ノラがスピーカーの向こうから叫ぶ。


「FBI捜査官の教授の……しかも、行動分析課のアドバイザーの天才博士の家をハッキングするんですか!?」


ギャレットは厳しく告げる。


「そうだ。

責任は私が取る。


ヴェイル博士のスマホは、緊急通報しか出来ない状態にしろ。


今直ぐに取り掛かれ」


ギャレットの迫力に、ノラが何とか「ハイッ!」と答える。


それから、ギャレットは、クロウ捜査官、ヴォーン捜査官、アッシュ捜査官の三人に「しばし待て」と告げ、「ホイットモア渉外官、来い」とだけ言うと会議室を出て行く。


二人の行き先は、オーラ――高度犯罪分析局――の局長室だ。


局長もギャレットが来ると分かっていたらしく、直ぐにオフィスに通された。


ギャレットは局長に言った。


FBI長官に許可を取り、ヴェイル博士の自宅のオフィスにSWATを向かわせて欲しいと。


任務は三つ。


ヴェイル博士の家の防犯カメラの位置は、昨日泊まらせて貰ったお陰で、ギャレットは把握済み。


その外部向けの防犯カメラ映像は、ノラがループ画像を流す。


その間に、SWATがヴェイル博士の車のタイヤを一つだけ"完全に"空気を抜く。


但し、いかにも自然に空気が抜けた様に。


それと同時に、別のSWATがヴェイル博士の自宅周辺にインターネットトラブルが起きたと言って、FAXをヴェイル博士の自宅に設置する。


その隙に博士の愛犬が自宅内にいることを確認し、FAX設置後、無臭の催眠用ガスを通気口から流し、ヴェイル博士と愛犬が眠ったところで、博士とその愛犬を保護し、病院に隔離すること。


ギャレットは厳しい声で告げる。


「良いですか。


ヴェイル博士と直接話す人間は、FAXを設置するSWATだけにすること。


SWATには、『ヴェイル博士の自宅周辺にインターネットトラブルが起きた』ので、FAXを設置することになったとだけ、命令を出す。


博士は同じ空間で、危険を察知すれば、その人間を自然とプロファイルし、全てを"暴く"。


何も知らない安全な相手なら、ヴェイル博士はプロファイルはしない。


ローウェル課長が襲撃されたとヴェイル博士が知れば、どんな行動に出るか、我々には予測出来ない。


ヴェイル博士はFBIにとって希少な人材というだけでは無く、ウィンスロウ特命大使の娘とウェルズ海軍大将の息子が関わっている、『青年の不可解な死』の貴重な情報源であることをお忘れなく。


ヴェイル博士が目覚める時は、病院でなければならない。


一時間以内に実行し、完遂すること。


そして、ヴェイル博士は8時間眠らせること。


雑務はホイットモア渉外官にお任せを。


FBI長官の了承が取れ次第、彼が私の指示通りに局長をサポートします。


以上です」





それから、ギャレットは会議室に戻り、まず、ノラに確認を取った。


ノラは既に局長からの指示で、防犯カメラにもアクセスし、ループ画像を流していた。


ギャレットは「ヴェイル博士の全てのパソコン、モバイル端末に至るまで、24時間以内のデータを全て確保しろ」と追加の指示を告げると、会議室で待機していたクロウ捜査官とヴォーン捜査官とアッシュ捜査官に"作戦"の内容を話した。


それから、ギャレットは三人に言った。


「この襲撃とリアムの情報に接点は?」


クロウ捜査官が慎重に口を開く。


「主任は"たまたま"ヴェイル博士が熱を出した現場に居合わせたせいで、ローウェル課長にヴェイル博士を任された。


もし、接点があるとしたら、ヴェイル博士はリアムを刺した犯人に見張られていたことになるよな?


そして、リアムの情報が主任に漏れたと知って、別の事件を起こしたってことになるが、不自然なんだよなー!」


ヴォーン捜査官も思案げに言った。


「そうなんです。


刺した犯人からすると、ヴェイル博士を見張るのはリスクが大きすぎる。


ヴェイル博士はFBIに"完璧"に守られている。


ローウェル課長ほどの切れ者が、ヴェイル博士の周辺の異変を感じないとは思えません。


刺した犯人は、リアムの周辺人物が大物だらけだったからこそ、リアム本人を自分側に引き入れるしかなかったのではないでしょうか?」


アッシュ捜査官が静かに口を開く。


「そうね。


それに、ヴェイル博士の存在は、リアムにとっては、何らかのきっかけになったのかもしれないわ」


「つまり?」とギャレット。


アッシュ捜査官が続ける。


「ヴェイル博士の外見だけなら、美貌の大学生にしか見えない。


性格も繊細。


リアムはエレナと年が近いから30歳前後。

リアムから見たら博士は、10歳年下の二十歳の大学生くらいよね。


それにヴェイル博士がバカンス先で、自分からFBIの天才博士ですなんて言わないわ。


でも、リアムには分かった筈よ。


エレナの"隣に立てる人物"だと。


それに、リアムの幼馴染だって一緒に居たのよね?


そして、エレナが"納得出来る"企業勤めだったに違いない。


だとしたら、エレナが冗談半分で、言った可能性もあるわ。


花火を見た後にカクテルでも飲みながら。


『彼はFBIの天才博士なのよ!』ってサプライズ気分でね。


ヴェイル博士はきっと怒らなかった。


博士は隠す必要がないもの。


でも――リアムは?


エレナとの差をこれでもかと見せつけられたことになる。


しかも、相手がヴェイル博士というのが痛いの。


博士は大物ぶったりしない。


きっと、リアムを"思いやった"でしょう」


ギャレットの冷たい声が響く。


「決定的な格差、か」


その瞬間、スピーカーから、ヘッドセットを付けたホイットモア渉外官の声が響いた。


「任務完了。

対象者はFBI近くの病院にいます」


ギャレットが腕時計を見る。


局長と話し終えてから、57分。


ギャレットが「よろしい」と言うと通信は切れた。


そして、ギャレットがスピーカーのボタンを押す。


「はい!」とノラが勢い良く返事をする。


「ノラ。

ローウェル課長はシアトルでどの事件を追っていた?」


「ハイッ!


って……うわー!うわー!うわー!


FBIがこの事件を封印しています!」


「突破するのに時間は?」


ノラの声が裏返る。


「突破!?

突破して良いんですか!?」


「時間は?」


ギャレットの声に、ノラがヤケクソ気味に答える。


「30分下さい!」


そして、ノラから通信がブチッと切れる。


ギャレットが氷のような眼差しで、会議室の三人を見る。


「クロウ、君はシアトルで起きた事件のリストを作れ。


FBIが出動するような、な。


ヴォーン、君はフロリダで成功している人物のリストだ。


今までの人物像からすると、"偉大なる大物"は、考え方も柔軟で、フットワークも軽い。


年齢は、35歳から45歳。


一代で今の地位を築いた人物だ。


エレナのアパートメントの隣を借りた人物から当たれ。


それに、彼は逮捕された記録はあっても、起訴はされていないだろう。


アッシュ、君はリアムの幼馴染の人物像をプロファイルして纏めろ。


その"幼馴染"はリアムの為に、身分を偽装までしてやった。


ただの幼馴染じゃない」


全員が「了解!」と言って、会議室を出て行く。


そして――

ギャレットはリアムの証拠品を確かめに向かった。


リアムが、自分のように、金の十字架を隠し持っていたのかを。

こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

次回も読んで下さると嬉しいです☆


毎日17時更新☆


Xはこちら→ https://x.com/himari61290


自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪


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