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超醒の救世者  作者: ミライ
一章
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24/29

試験 ーその1-

 誠志(せいじ)愛月(まなつ)が第十三区画支部訪れた日から、一週間が経過した。四月の最終週の土曜日、今日が学生治安維持委員会(S M C)に入るための試験がある日だ。

 この一週間、誠志はできる限り依頼に協力した。ズルになってしまうと言えばそうだが、試験で似た課題が出されるのであれば、対策するのが普通だろう。

 誠志・瑠真(るま)莉穂(りほ)は第二区画に来ていた。試験の会場が、第二区画にある屋内ホールだからだ。第五区画からそう遠くはないものの、周囲の知識に乏しい誠志のため、二人も応援に来てくれたのだ。


「誠志、頑張るんだぞ」

「誠志さん、頑張ってくださいね!」

「新槙さん、浅田さん、ありがとうございます。行ってきます!」


 誠志がまず受けるのは、筆記試験だ。試験の内訳としては、午前中に筆記試験、午後から実技。そして、次の日に面接がある。つまり、普通は土日かかるところを面接をパスできる誠志は、今日ですべてが決まるのだ。そのプレシャーが、誠志にのしかかる。それでも、今ここにいられるのは第五区画支部のみんなや裕哉のおかげだ。共に受けた依頼や、裕哉からもらった言葉を胸に止めて、未来のために足を踏み出した。


「蒼井誠志さんですね、ここに必要事項を記入して指定の部屋に向かってください」


 誠志は受付を済ませて、手渡された紙に書かれた部屋へと向かっていた。試験会場はとても広く、廊下には何百人もの受験者がいた。学生治安維持委員会(S M C)中学生と高校生であるが、この場にいたのは誠志と同じ高校二年生だと思われる人たちだった。おそらく、試験内容を公平にするための処置だろう。

 などと考えながら歩いていると、いつの間にか指定された部屋の前まで来ていた。


「あんた、そこどきなさい」

「え?」


 誠志に声をかけたのは、小柄な少女だった。身長は誠志の胸くらいで、ここにいるということは高校生であると思うのだが、そうは見えなかった。


「ん?あんた今、変なこと考えたでしょ?」

「あ、いや……はい。どうしてここにいるんだろう……と」


 下手に隠してもいずれバレると思い、誠志は正直に思ったことを口にした。


「はぁ……私は、補助監督よ!受験生じゃないわ」

「そう……ですか。すみません、あんな態度取って」

「……まぁいいわ。さ、入りなさい」


 補助監督の少女の指示に従って、誠志は部屋の中に入った。

 試験時間は合計百分。この二週間しっかりと対策してきた、誠志にとっては朝飯前だった。殊更、超能力の分野に関しては、自分の超能力が分かり一層興味がわいてきたことで、別世界から来たというディスアドバンテージはほぼないものと言ってよくなっていた。

 試験はマーク式のため、採点に時間はかからない。詳しい事は分からないが、超能力関連の技術で誠志の世界よりも精密に早くなっている……はずだ。

 ここで、今日の日程を確認しておこう。まず、朝八時半までに受付を済ませて、九時二十分から筆記試験開始。十一時に終わって、昼休憩をはさんで十三時に結果が出る。そして、受かった人が次の実技試験に挑む権利を得られるということだ。

 そして十三時、控室のモニターに合格者の番号が映し出された。


「よし、第一関門突破!」


 誠志自身、筆記試験の手応えは感じていたので、落ちる気はしなかった。事実、点数は公開されていないものの、それなりの点数は取れているだろうという自負はあった。そのため、気持ちの上下なく、次の試験に進むことができた。

 合格者はまず試験を受けた部屋に集められ、バッジを一人一つ配られた。それを胸につけて、メインホールに行くように言われたので、各年代の合格者がぞろぞろと集まってくる。

 同じ学校の仲間や、知り合いもいない誠志はホールの隅で立っていた。誠志にとって次が本番、ここを突破しなければ学生治安維持委員会(S M C)には入れない。そんな、山場を前にして、誠志の心は収まりを見せることができなかった。

 十数分後、壇上にスーツを着た数人の試験官が並んだ。


「これより、実技試験の説明を始める。配られたバッジに書かれた英字と数字順に並ぶように」


 試験官がそう言うと、英字と数字が書かれた札を持った別の試験官がぞろぞろと出てきた。そして、壇上の下に次々に並んでいくと、受験生は皆自分の持っているバッジと同じ、英字と数字が書かれた札の元へと歩んでいった。

 誠志のバッジには「S3」と書かれていたため、それと同じものが印字された札の元へと向かった。

 全受験生が並び終わったところで、試験官が再び口を開いた。


「今回の試験内容、それは……」


 実技試験で何を出されるのか。対人戦に希望が見えているとはいえ、それ以外はなるべく同行した依頼と酷似したものがいいと思っていた。そうであれば、心にさらに余裕を持つことができるからだ。

 しかし、試験官が口に出したのは、誠志の期待をぶち壊すものだった。


「整列した四人でグループを組み、一つの依頼をこなしてもらうことだ」

「「「???!!!」」」


 この場のだれも予想しなかったもの。グループで依頼をこなせ。

 実際に経験のある誠志にとって、多少のアドバンテージはあるかもしれないが、初対面の人と、仲介人なしでどこまで協力できるか。それは全くの未知数であった。

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