知り合いでした。
夕食時間だったということもあり、誠さんと二人で近くのコンビニでお弁当を買って帰路についた。
何故コンビニなのかというと疲れていたし、家でゆっくり食べたいということからレストランはすぐに除外された。
マンションに一部屋借りるとついてくる地下の駐車場に車を止めて、エントランスを抜けエレベーターに乗り込み部屋へと向かう。
因みに誠さんは6階で、私は5階とかなり近い場所に住んでいる。
「最近忙しかったから会えなかったね、ごめん。そっちは変わりない?」
「はい。学校に転校生が来たぐらいで、他にはなにも」
「転校生…。ああ、この前専門科の特別講師で呼ばれた事務所の後輩が言ってた子か。大変だろうね」
「どうなるのか見ものですよ。だから、近くで傍観することにしました」
「真由は人間観察が好きだったからね。でも、程々にしてあげなさい」
「はい」
話がちょうど区切りがついた時、5階にエレベーターがついた。
私はコンビニ袋をぶら下げて降りる。
「今日は時間があるし、着替えてから部屋においで。ご飯を一緒に食べよう」
そう言って持っていたコンビニ袋を取り上げられ、タイミングよく扉が閉まった。
「一緒にご飯…。え、うそ!!」
あまりの出来事に放心状態になっていたが、エレベーターが上がる音に頭が活動を再開し、急いで部屋へと帰る。
慌ててシャワーに飛び込みカラスの行水の如く速さで出ると、少し可愛い普段着に着替える。
ほんのり化粧をしてから、戸締まりを確認して部屋を出る。
えっと、ここまででわかるかと思うけど、実は私と誠さんはかなり仲も良いというか、実は昔からの知り合いだったりするんです。
子供の頃に近所に住んでいた高校2年生のお兄さんだった誠さんに、まだ小学4年生の私が一目惚れしたのが切っ掛け。
あの時からいい声を出していた誠さんを小学生ながらにナンパし、つきまとっていました。
当時の誠さんは私を妹としか見てなくて、2年後声優になるために上京したことで接点が途切れたけど、私が桜華芸能学園に入学するために上京するにあたって心配した両親が、先に上京していた誠さんに連絡を取り、彼の住むマンションで暮らすことを提案してきたのだ。
私からしてみたら、両親グッジョブ!な感じである。
そして再会した誠さんは、私を心配する両親に頼まれて世話を妬いてくれている。
そこにはまだ恋愛意識はなく、少し残念ではあるけど努力を怠るつもりはない。
転生前諦めていた声優になれたし、素敵な男性も見つけた。
充実人生を送る為にも、この恋頑張るつもりである。
あの神様に、もう枯れた人生なんて言わせるつもりはない。
エレベーターを降りて急いで誠さんの部屋の前に来て呼び鈴を押す。
「早かったね、真由。どうぞ入って」
「お、お邪魔しまーす」
誠さんは今さっきお風呂から出たばかりなのか、ラフな恰好であり、タオルで髪をごしごし拭きながら対応してくれた。
かなり色っぽくて直視できませんよ…。