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THE GLOBAL  作者: YATA0401
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第七章 酸素を喰らう者


赤い液体が街を埋め尽くしてから、およそ二十分。


俺たちは巨大な酸素タンクの上で身を潜め続けていた。


誰も口を開かない。


眼下では、赤い寄生虫のような巨大生物がゆっくりと街を徘徊している。


「……動きが変だ。」


シャドウが小さく呟く。


俺も視線を向ける。


巨大生物は建物を壊しているわけでも、人を探しているわけでもない。


何かを探すように、同じ場所を何度も行き来していた。


その時だった。


「ハウンド。」


レイ博士が震える声で俺を呼ぶ。


「これを見てください。」


博士は携帯分析装置の画面を見せた。


そこには周囲の大気成分が表示されている。


「酸素濃度が急激に下がっています。」


「何?」


俺は画面を見つめた。


ほんの数十分前まで正常だった数値が、少しずつ低下している。


「故障じゃないのか?」


フォックスが尋ねる。


研究員は首を横に振った。


「複数の装置で同じ結果です。」


「しかも……。」


別の研究員が赤い液体へ分析レーザーを向ける。


数秒後、その顔色が変わった。


「分かりました。」


「何がだ?」


「赤い液体も、あの巨大生物も……。」


研究員はゆっくりと言った。


「酸素を吸収しています。」


全員が息をのむ。


「吸収?」


ファルコンが聞き返す。


「はい。」


「周囲の酸素を取り込みながら活動しているようです。」


レイ博士も画面を確認する。


「液体の近くほど酸素濃度が下がっています。」


「つまり……。」


シャドウが街を見下ろす。


「この大量の酸素は。」


「奴らのためだったのか。」


誰も反論できなかった。


街中にあった巨大な酸素タンク。


莫大な酸素備蓄。


あれは人類のためではなく――


この赤い存在が酸素を奪い尽くさないようにするための設備だったのかもしれない。


「じゃあ、この世界の人たちは……。」


フォックスが苦い表情になる。


「この化け物と共存してるってことか。」


その時。


プシューッ――。


小さな音がした。


全員が振り向く。


「しまった!」


研究員の一人が青ざめる。


転送装置を取り外した配管から、わずかに酸素が漏れ出していた。


ほんの小さな漏れだった。


だが。


赤い液体が、一斉に揺れた。


ザワッ――。


街中にいた巨大生物たちが同時に動きを止める。


そして。


一斉に酸素タンクを見上げた。


「……見つかった。」


ファルコンの声が震える。


次の瞬間。


ギィィィィィッ!!


耳をつんざくような鳴き声が街中へ響いた。


何十匹もの巨大生物が一斉にこちらへ向かってくる。


「走ってくるぞ!」


フォックスが叫ぶ。


赤い液体が波打つ。


巨大な寄生虫たちは迷うことなく酸素タンクへ集まり始めた。


「どうして位置が分かる!」


レイ博士が叫ぶ。


研究員が分析装置を握りしめる。


「酸素です!」


「漏れ出した酸素を追跡しています!」


「奴らは酸素を感知している!」


その時。


ガンッ。


タンクの側面に衝撃が走った。


一匹の巨大生物が金属製の非常階段へ体をぶつけていた。


ギギギギ……


長い体を巻き付けるようにして、ゆっくりと階段を登り始める。


「登ってくる!」


ファルコンがライフルを構える。


その後ろから、二匹目。


三匹目。


四匹目。


次々と非常階段へ取り付き、上へ向かってくる。


金属の階段が大きく軋み始めた。


「数が多すぎる!」


フォックスがロケットランチャーを構える。


「撃つか!?」


俺は階段を見下ろした。


この距離なら命中する。


だが、爆発でタンクが損傷すれば、残っている酸素が一気に漏れ出す危険がある。


そうなれば、さらに多くの寄生虫を呼び寄せてしまうかもしれない。


俺は一瞬だけ考え、仲間たちを見る。


「全員、戦闘準備!」


マグナムを構える。


フォックスはロケットランチャーを肩に担ぎ直す。


ファルコンは階段へ照準を合わせる。


シャドウは静かにマチェットを抜いた。


そして、巨大な寄生虫の先頭が、あと数メートルでタンクの頂上へ到達しようとしていた。


第七章 終

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