4. レッド選抜試験 ④
バトル・ロワイヤルが始まった瞬間、俺は火野さんことゲキレツレッドとサムライブラックと相対した。ガンバルマンピンクと新人坊やは、実戦ならともかく、模擬戦で本気では戦いにくい。
神城さんには甘いと言われるが。イイ男は女・子供には甘いもんだよな。
正直、俺にはそれほど特別なギフトはない。
俺のギフトは基本的には一番ありふれた《身体強化》だ。全能力値が引き上がる。ギフトを使うと全身を蒼いオーラが包み込む。
俺は、それを《蒼の爆炎》と呼んでいる。単純であるがゆえ、強い。いろいろな条件が重なれば、無敵になる。俺はこの力で、神城さんに認められてきたんだ。
ダイレンジャーのレッドレンジャーは誰にも渡さねえ。
正直、この中の誰よりも俺は強いと思っていた。
いつもの力なら……。
ギフトを発現した瞬間、何か違和感を感じた。
なんだ……、力がでねえ。
《蒼の爆炎》をまとっても、いつもの半分も力がでていないのがわかった。《蒼の爆炎》の光自体いつもより弱いのだ。
「なんで!?」
反射的に神城さんを見ると、俺のアイドルは腹を抱えて笑っていた。
ウソだろ、この状況で腹を抱えて笑うやついる!? あいつ、ぜってぇなんか企んでるだろ。
火野さんが炎で覆われた拳で攻撃してくる。正直、火野さんの炎は、赤星さんの炎の劣化版でしかない。いつもの俺の《蒼の爆炎》なら、簡単にいなせるはずだった。
火野さんの炎の拳が、俺の《蒼の爆炎》に叩き込まれる。俺はボロ雑巾のように吹き飛ばされた。
んな、バカな。素人じゃあるまいし、単純に力押しで負けるなんて。そこは絶対に負けるはずのない勝負のはずだ。もともとうちのエースだった赤星さんにだって、単純な力勝負なら負けるつもりはない。
「くそっ」
俺は壁に叩きつけられて、一瞬息ができなくなった。視界の端で、なんだこんなもんか、みたいな目で見てくる火野さんがうつる。
ちげえよ、こんなもんじゃねえんだ、俺の《蒼の爆炎》は最強なんだよ。
俺なんかいないかのように、火野さんの炎とサムライブラックの黒い刀がぶつかり合っている。火野さんが炎を生み出すように、サムライブラックは黒い刀を生み出せるようだ。それぞれ条件はあるだろし、特性もそれぞれ違うだろうが。細かい手の内をこんなところで明かしはしないだろう。
ちくしょう。俺はこんなもんじゃねえ、ダイレンジャーのブルーレンジャーはこんなもんじゃねえんだ。俺の身体は一体どうなっちまったんだ。全然言うことをきかねえ。
気を抜くと意識が飛びそうだった。歯を食いしばって耐えていたが。
その時、ガンバルマンピンクの叫び声が室内に響いた。何が起きたのか、わからない。ただ室内の温度が急上昇した。火野さんの炎では100%の力でもここまでの温度にはならないはずだ。
ここまでの炎の力、それはずっと隣で感じていた。
最強の炎。
誰よりも、何ものよりも強き力の証。
赤星さん……。
そこで、俺は力尽きて意識を失った。




