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永遠のブルー  作者: 結城 遼介
第二章 豊橋大決戦!

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14. 永遠のブルー


 俺の全身を黄金の爆炎が包みこんでいる。

 《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》、まったく思いどおりにならないギフトで困っちまう。

 豊橋公会堂で火野さんをぶっ飛ばして以来、何度試そうとしても、俺は《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》を再現できなかった。

 神城さんは俺の力の源を『下心』だという、けれど俺に言わせればそれは『純愛』だ。

 油断していたガイアレッド――北条新を捕まえた時、神城さんがヘッドギアを介して、『そいつをぶっ倒したら、キスしてやる』と言った。

 その瞬間だ。

 いとも簡単に《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》が天をも焦がさんばかりに火を吹いた。


「俺達は……ヴィランじゃねぇ、アンチヒーローだ!!」


 その勢いで、俺はガイアレッドをぶん殴った。


 これが純愛でなくてなんだというのだ!


 俺はその勢いのまま、ガイアレッドに詰め寄る。《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》をまとった俺はいわばスーパーマリオのスターモードだ。すべてのステータスが爆上げされる。このトランスモードの間はアトラスレンジャーの能力値と比較しても遜色ないと星乃博士をして言わしめた。

 倒れているガイアレッドにもう一撃くわえようとするが、奴は光速で離脱した。

 が、視える。動体視力も増している今の俺なら、ガイアレッドの動きが追える!


「下等レンジャーが! 調子にのってんじゃねえ」


 多分この荒い気性が北条新の素なんだろう。

 《疾風迅雷(スピード・マスター)》は伊達じゃない。

 さっきまでと比べれば、目で追えるし、なんとか身体も動く、それでもやはり速度は敵わない。

 俺の攻撃はわずかな差で、ことごとくかわされ、カウンターをくらい続けて、徐々に俺は追い詰められていった。


 ガイアレッド、こいつはやはり火野さんとは違う。強さだけは本物、最強の敵だ。

 ガイアレッドの高速の蹴りをギリギリでかわそうとしたが、逃げ遅れたシロサイが視界の端に見えた。

 俺はゴッド・フレアを《防御強化(ディフェンス・アップ)》にふり、すんでのところでガイアレッドの攻撃を捕らえたが、それでも光速の蹴りの力は凄まじく、石壁にめり込むまで弾き飛ばされた。


 完全に意識が飛んだ。

 俺の脳裏に、過去の映像が走馬灯のように流れる。

 アカデミーを卒業し、俺は神城さんにひとめぼれして、土下座をしてダイレンジャーにいれてもらった。

 俺の人生の走馬灯は、神城さんに始まり、神城さんに終わる。当然のことだ。

 神城さんに認めてもらうため、死ぬ気で働きまくった。神城さんに尽くして尽くして、そして、ある日、「青木、お前、ブルーレンジャーになれ」と言われた。


「え、イヤです。俺、レッドになるのが夢なんで」


 と答えたら、赤星さんに笑われた。


「いきなりレッドは無理だよ。まずはブルーで力をつけていくのがいいと思うよ」


 そうだ、思い出した。赤星さんのフォローを打ち消すように、神城さんが言ったんだ。


「バーカ、お前は青木だから永遠にブルーだ」


 あのとき、俺はそれを神城さんの軽口だと思った。

 でも、全てを知った今、その言葉の重みを感じる。

 アトラスブルーの裏切りで、神城さんは全てを失った。

 ダイレンジャーでも、俺がなるまで、ブルーレンジャーは欠番だった。


 ――永遠のブルー。


 俺は、その期待に応えなければならない。


 いつかの神城さんの言葉がよみがえる。


「青木誠は、神城レミのもとでどんな指令に対しても一切の不平不満をもたず、奴隷の如き奉仕を約束する」


 それは、神城さんとのヒーロー契約の文言だ。


「青木誠は、神城レミを生命をかけて守ることを誓う」


 神城さんは強い女性だ。弱いところなんてカケラも見せない。それでも、それだけの苦しみの果てに、傷ついてないわきゃないんだ。


「青木誠は、何があっても神城レミを信じ、裏切らないことを誓う」


 それは神城さんの祈りであり、俺の誓いだ。

 俺は神城さんをぜっっってぇ裏切らねえ。

 そして、神城さんを裏切り、傷つけた、かつてのアトラスブルー、北条新を許さねえ。


 俺の全身の《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》が再び燃え上がる。


「しつこい男は嫌われるよ」

「先輩の助言はありがたいっすけど、俺には絶対に裏切れない人がいるんでね」

「そりゃ、俺へのあてつけかい?」

「へえ、意外と言葉通じるんすね」

「残念だよ。後輩をかわいがろうとしてたのに。すっかりキライになっちゃった」

「お互い様なんで、大丈夫っすよ」


 ガイアレッドの初動に合わせ、俺は先程シロサイを守ったときの感覚を思い出す。今までのように勢いだけで戦うのではなく、《蒼の爆炎(ブルーフレア)》と同じように《黄金の爆炎(ゴッド・フレア)》を操った。脚部に集め、《速度強化(スピードアップ)》に全振りする。

 周囲の時間がゆるやかになった気がする。

 俺はガイアレッドと同じように、光速の世界に足を踏み入れていく。

 もっと速く、もっと速く。


「うおおおらららぁぁぁ」


 俺は光の世界で、ガイアレッドを捕らえ、その足を止めた。それだけで全ての力を使い切る。もう指一本動かせねえ。それでようやく、ほんの一瞬の足止め。でも、それで十分だ。ガイアレッドを許せねえのは俺だけじゃない。


 立ち止まる俺達の前で《黒き侍(ブラック・サムライ)》が刀を構える。


「幾星霜、この刻を待ち望んでいた」


 黒い稲妻のような抜刀が、ガイアレッドを打ち倒した。 


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