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伝染呪  作者: にょん
20/28

叫び

 そこからは覚えていない。

 気がつくと、部屋の布団で寝ていた。

 私は、崖の上で倒れていたらしい。雷で燃えたあの木は、雨で早々に鎮火したが、煙はもくもくと狼煙代わりにあがっていたらしい。

 山火事を心配した村人は、それを見に来て私たちを見つけたという。

 私が殺した。起きぬけに告げると、祖母は息を呑んで。困ったような顔をしたが、私を抱きしめて「よくやったわね」と言った。責ではない。賛だった。とても気持ち悪かった。

 その日の夕暮れにかんかんと村の鐘が鳴った。

 晴太の葬式だ。

 私は見に行った。布団を抜け出して。

 あの木陰のあった崖へと向かう。あそこかなら村が眺望できる。

 裸足のまま山を登る。小石や枝で足の裏がたくさん切れた。

 晴太が死ぬ瞬間を思い出して、何度か吐いた。

 それでもふらふらと登る。

 崖の上まで辿り着き、村を見下ろす。

 墓場まで向かう道に黒い豆粒ような人々が、ぞろぞろ列を作ってな歩いていた。

 棺桶に入れられた晴太が、運ばれていく。

 ああ、行かないで。

 行かないでよ。私を置いていかないで。

「あーーーー!!あーーー!あーー!」

 私は叫んだ。なんども何度も。声が枯れてもずっと叫んだ。誰も振り向きもしないけど。

 晴太に届くようにと。



 私が晴太を殺した事実は、隠されもせず、村の連中の知れることになった。

 晴太を殺した私を祖母は誉めた。

 月見里は責めもしなかった。

 村は、晴太なんてまるで最初からいなかったように。誰も話題にもしなかった。

 ただ父だけが、私を憐れむように見つめてくれた。

 気持ち悪かった。村の全部が気持ち悪くなった。

 私はこの気持ち悪い村が大嫌いになった。

 

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