初めての依頼
どうも、リフィアです。気が付けば朝になってました。
旅の疲れが出たせいか、ご飯を食べて部屋に戻るとすぐ寝ちゃったよ。できれば予定とか決めときたかったんだけど、朝早くに起きれたことを考えると返って良かったのかもね。
さて、朝早い時間で何をするか、それは一応決めてるんだ。
冒険者ギルドへ行こうと思う。この時間でも開いてると思うし、ギルドの依頼は早朝に張り替えているらしい。だからいい依頼を探すなら朝早くに行かないといけない。昼過ぎなんて面倒なのとか難しいのしか残ってないからね。
冒険者ギルドには、私と同じ目的の人たちがすでに集まっている。この様子だと私がたどり着く前に良い依頼が残って無さそうだな。でも今日は別にいいんだ。
今回は、「どんな依頼が早朝だとあるのかを確認できれば良いな」という気持ちで来たから。さすがにこの数の中に入ってくのは嫌だし、少し待ってから依頼掲示板まで行くとしますか。
・・・そろそろ人も減ってきたし、見に行こう。
えーと、ざっと見回してるけどやっぱり良い依頼は全然ないね。どの依頼も内容と報酬が釣り合っていない。
ゴブリン十体で銅貨七十枚とか、前の街では一体につき銅貨十枚だったから明らかに詐欺レベルだよ。というか常時依頼でゴブリン退治があるのに、わざわざ依頼にして報酬下げるとかよく分からないな。
訳が分からない依頼を流し見ながら目当てのものを探す。
おっ、あったあった。これを探してたんだよ。やっぱり残ってたね、この「回復薬の作成」って依頼は。
この依頼、素材や機材は向こうが用意してくれるから回復薬を作るだけでいいみたい。つまりスキルレベルを上げながらお金も貰える仕事ってことだ。これだけの良い条件なのに人気がないのは、そもそも回復薬を作れる人が少ないってのが理由。
この世界には”薬品作成”っていうスキルがあって、このスキルを使うことで薬品を簡単に作れる。簡単に作れるってだけでスキルが無くても作れるけど、スキルがあれば圧倒的に作り易いらしい。
だからと言ってこのスキルを得ようとするには、何十回も薬の作成を失敗する覚悟で挑まないといけない。失敗に対して耐性でもない限りやる気が無くなるんだろね。
もちろん私はそのスキルを持っていない。・・・今はね。私には経験無しに結果を手に入れられるスキル、”ジョーカー”がある。私はこのスキルによってメイン職業を薬師に変更し、ついでにサブを生産者にした。
さて、この状態でのステータスを確認してみよう。
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名前:リフィア
年齢:13
状態:死の呪い(強)
職業:M.薬師 S.生産者
<アクティブスキル>
≪身体能力≫
索敵Lv4、身体強化Lv3
≪魔法≫
初級魔法Lv5
火魔法Lv3、水魔法Lv4、風魔法Lv3、土魔法Lv3
炎魔法Lv1、氷魔法Lv1
<パッシブスキル>
≪耐性≫
餓鬼耐性Lv3、呪い耐性Lv4、衝動耐性Lv2
≪身体補正≫
暗視Lv3、隠密Lv4、気配察知Lv4、五感強化Lv3
≪技術補正≫
格闘術Lv3、剣術Lv4、盾術Lv1
≪知識補正≫
植物知識Lv3
≪魔法補正≫
魔力操作lv4、魔力感知lv2、魔力集積Lv2
<ユニークスキル>
ジョーカーLv5
奴隷からの解放
狂化Lv3
殺戮促進Lv3
<職業スキル>
生産品質上昇Lv1
薬品作成Lv1
<職業ユニークスキル>
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予定通り”薬品作成”のスキルが使えるようになった。サブ職業を生産者にしたせいか”生産品質上昇”も一時的になるけど使える。
さっそく依頼を受けてしまおう。確かこの依頼書をカウンターに持って行けば受注したということになるんだっけ。
むう、依頼書は掲示板に釘打ちされてるから破かないと外せない。なんとなくこういうのって綺麗なままで外したいよね。仕方ないから思いっきりビリッとやっちゃうけど。
受付カウンターはあそこだね。さっさと依頼書を出して手続きを済ませる。受付の人が物珍しそうに見てくるけど無視だ無視。冒険者でこれを受ける人がいないから気になるのは分かるけど、それ以上見る気ならこのギルドにゴブリンが現れるぞ。
さすがにそんなことは口に出せないから、軽く睨み返してからギルドを出た。
ここら辺に依頼者の店があるはずだけど、あれかな?看板が出てないからわかんないけど、ドアから薬の匂いが微かにしている家がある。違うかもしれないけど、とりあえずノックしてみる。・・・反応がないな。中で何か動いた気配もないし留守かも。
時間はあるから少しそこらをブラブラしてみようかな。と、時間つぶしを考えていると後からこちらに近づいてくる気配を感じた。
帰ってきたのかと振り向けば、誰もいなかった。・・・あれ?確かに気配は近くにいるのに見えないね。
「私の店の前で何してるの?」
キョロキョロと周りを見回していると、私の頭上から声が聞こえた。見上げればそこには小さな女の子がいた。背中に羽が生えており大きさは手のひらサイズ。背中からは羽が生えているが、その羽を特に動かさずに空を飛んでいる。
「・・・もしかして妖精族?」
「そうよ。見たら分かるでしょ?それよりも私の質問に答えてほしいんだけど。もしかしてお客さん?」
彼女は高度を落として私の目線の高さに合わせてくれる。見上げなくて良くなって少し楽になった私は、とりあえず質問に答えるとする。
「客じゃないよ。回復薬を作る依頼を受けて来た冒険者。あなたの店ってことはあなたが店主でいいんだよね?」
「えっ!あの依頼受けてくれたの!?うわー、良かったー。もう少しで在庫が切れるとこだったのよー。あっ、立ち話もなんだから中に入ろっか」
そういうと、彼女は扉の方に手を向ける。何をしてんだろ?と思っていると、なんと扉が独りでに開いた。驚いている私に彼女は「魔法よ」と、それだけ言って中に入っていった。
おいて行かれるわけにもいかないから、私も追いかけるように中に入る。入ると扉はまた勝手に閉まった。
入ってすぐは店になっていて、入ってきた扉以外に扉が二つあり、そのうちの一つとカウンターらしき場所だけが妖精族サイズで他は普通の人間のサイズに合わせられている。
「そこの椅子にでも座っていて、飲み物持ってくるから」
彼女は妖精族サイズの扉に入っていく。私は言われた通り椅子に座った。ギシッという音が座った時に鳴り、意外と座り心地の良い椅子に深く腰掛けてしまう。
目を細めて椅子の感触を楽しんでいると、人間サイズの扉の方から彼女は出てきた。
飲み物が入った小さいのと普通のサイズのティーカップを空中に浮かべながら、扉の開け閉めもしているところを見ると、かなりの魔法の使い手なんだなと思う。
「ミルクしか無かったけど、大丈夫・・・よね?」
「ありがとう。ミルクは好きだから頂くよ。」
私はミルクを受け取って一口飲む。甘くて美味しいミルクだ。彼女もカウンターの椅子に座って飲んでいる。
のんびりと二人してミルクを味わっていると、彼女の方から話を切り出した。
「さて、少し落ち付けたし話を始めましょうか。あなたが私の依頼を受けてくれたってことだけど、一応本当かどうか確かめるために受領書を見せてもらえないかしら?」
「えっと、受領書はこれだね。ギルドカードも見せた方が良い?」
「カードは・・・別にいいわ。うん、確かに私の依頼の受領書ね。でも、本当にこの依頼を受けてくれるの?自分で言っちゃなんだけど、あまりいい仕事だとは思わないわよ」
彼女は心配そうに私を見る。私は座ってるしカウンターは高い位置だから目線の高さは同じだけど、少し見上げるようにしながら聞いてくる彼女に、私は苦笑しながら「大丈夫」と答える。
「スキルのレベル上げのためだから、報酬はついでって感じだから気にしないで」
「スキルのレベル上げってことは、薬品作成のスキルを持ってるってこと?なら確かにこの仕事はちょうどいいわね。」
私につられたのか彼女も顔が緩む。
「スキルは持ってるけど薬をまともに作ったことは無いから、教えて貰いながらになっちゃうけどお願いできる?」
「それぐらいなら構わないわ。っと、そろそろ仕事を始めて貰ってもいいかしら」
「うん、わかった。じゃあ仕事場に案内してくれるかな・・・ええと」
「ナクシよ」
「ナクシ、ね。私の名前はリフィア。今日はよろしくね」
「こちらこそよろしくね、リフィアちゃん」
・・・あれ?今呼び方がおかしかったような。確か
「なんでちゃん付けなの?」
「ん?ああ、年下の女の子には付けてるわよ。実は私こう見えても貴方たち人間よりも、圧倒的に年上なんだから」
「妖精族ってそんな感じなんだ。ちなみにナクシは何s」
初めて聞いた事だからか、そんな言葉を思わず口に出してしまうが言い終わる前に口が閉じる。
なんだろう、一気に気温が下がったような感じだ。その急激な変化に固まっていると、ナクシが突然笑い出した。それと同時に雰囲気が元に戻り、私の強張った体が解れる。
「うふふ。ごめんなさいね。面白そうだったからちょっとからかってみただけよ。・・・実のところ私も何歳か覚えてないのよね。百歳過ぎたあたりからは数えてないの。それでも人よりは長生きしてるってことには変わりないわね」
「そ、そうだったんだ。それでもごめん。さすがに失礼な質問だったよね」
私の謝罪に対してナクシは「私以外には言わないようにね」と、それだけ言った後
「じゃあ、案内するわ。ふざけ合うのも楽しいけど、仕事を終わらせてからね」
年相応には見えない無邪気な笑みを浮かべながら、私を作業場へと案内してくれた。




