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同盟国の御伽話

学校の授業シーン、初めてでした汗

現代で言うと、高校三年生ですね。



「お前達には期待している」



ニッと、歯を見せて笑う強面な新任教官。


退役士官や武官が多い中、騎士団からの異動で教官に成ったと紹介された。



「知っているかとは思うが。お前達の一つ上の代は、騎士団に入団した者は居ない。ほぼ近衛師団員になっている」



現役の士官が来るなど…負傷している様子は無い。生徒の刺激となるようにか?それとも…警護が必要だからか。まあ、今の所、狙われているのは私なのだが。



「王宮の守護も無論重要ではある。然し、昨今は近隣諸国との紛争が増え、激化している。ルフェ君、理由を述べよ」



唐突な名指しに少し驚く。即座に起立する。



「はっ!気候変動により民の生活基盤が崩れ、小さな諍いが多発し、統治にも影響が及び、軈て其の矛先が国家へ向けられ、国は威信を保つべく他国への侵撃を行います。即ち、飢えにより理性を、生きる希望を失った事による人災であります」


「ほお、人災か。そうだな、まさにルフェ君が述べた通りだ。ーー故に、お前達には、己が国の民を守るべく立ち上がってほしいと思っている」



瞳に炎を宿したかの様な新任教官の視線に、この場にいる者が皆、引き込まれる。



「時にルフェ君、フローレンティナ公国では我が国、セントポーリア王国とインパチエンス王国は如何様な関係と見ている?」



嬉々とした瞳に変わった新任教官。

何とも…此れは、試されているのか…面倒臭いな。



「畏れながら、私個人の見解でもよろしいでしょうか」


「ああ、構わない」


「有難う存じます。セントポーリア王国は、我がフローレンティナ公国と同盟関係でありますが、恐らく、インパチエンス王国との密約も存在するのではないかと拝察します」


場の空気が一変する。


「私がセントポーリア王国に参上る際、平穏無事にインパチエンス王国の宿に泊まり、旅路を進む事が叶いました。其れ故、斯様に考えた次第であります」


「成程。君は随分と、逞しいようだ」



新任教官はニヤリと笑みを浮かべる。



「では、インパチエンス王国について知っている情報は?」


「然程ありません。我が国でも周知の俗言は、野蛮な戦闘民族であるという事でしょうか。然しながら、」


目に力を入れ、新任教官を見詰める。


「斯様な事は如何でも良いのです。インパチエンス王国も、我が国も、気候変動に苦しみ、長年に亘る戦と疫病により多くの命を失いました。我々が今成すべき事は、此の過ちを二度と繰り返さぬ事であります」



如何でも良いなど、言い過ぎただろうか。

然し、此れは本音だ。破壊は容易で、修復は途方途轍も無い時間と労力、そして気力が必要なのだ。



「…逞しい、というよりは、明け透けにものを言うタチのようだな」


「申し訳御座いません。言葉が過ぎました」


「良い良い、応答に礼を言う。着席してくれ」



はっ!と敬礼し、席に着く。やっと、終わった…



「といった形で、今後も進めていく。私が己の目で見、己の耳で聞いた事も伝えていく意向だ」



そう告げた新任教官に、一同が背筋を正した様に感じられた。

という事は、ディートにも質問をするのだろうか?そうであるならば、楽しみだ。



新任教官の声に耳を傾ける。


先ずはこの国の成り立ちから話が始まり、近隣諸国の基本情報を教えられる。

斯様な科目が三学年にあるという事の意味は、士官学校としては飽く迄も騎士の育成を図りたいという事だろう。

然し何故、騎士を志す者が減っているのだろうか。



建国物語について書かれている項目に視線を落とす。



『遥か昔、地平線の向こう側ーー荒れ狂う海から入寇し来たり遊牧民は”無秩序”を、魔女の民は”疫病”と”飢餓”を、精霊の民は”感化”を、三世の民は”未知”を持来し、この界は混沌と化した。

我々の高祖は境界を創生し、遊牧民を霊魂の界へ幽閉し、地平天成の世が来たる。』



丸で、御伽話のようだ。


士官学校の図書室で初めて目にした時、そう思った。

地平線の彼方には異世界が存在するという御伽話は、辺境国でも有名だ。


此の物語が真実であるならば、同盟国も辺境国も、周辺国もその他諸国も全て、此の大陸に存する者達は皆、同胞で在るという事になる。


そして、其の大陸を支配する国は、同盟国ーーセントポーリア王国であると。



以前、ウィーが王族の実情について話していた。

国王は一粒種であられ、長子の王女、次子の王子がいらっしゃる事は存じ上げていたが、王位継承第一位であらせられる王子が病を患っているとは…正直、驚いた。


辺境国では機密としている情報を、何故、此の国では開示しているのだろうか。



「では、本日はここまで。皆ご苦労であった」



新任教官が退室した後、後方の扉から足早に出て行ったウィーが視界に入る。


…何だ?いやに険しい表情だったな。

エディソンへ視線を送ると、堅い顔を更に強張らせた彼が席を立った。



やっと国名出てきました大汗

ルゥさんの国では、呼び方が違うのです。グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国を、英国とかイギリスとかUKとか言ったりする感じです。

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