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招かれざる

ブックマークありがとうございます!

寝落ちしていました(土下座)



「ーー勝負あり!」



訓練担当教官が宣告する。


ジルは次勝てば準々決勝だ。

エディソンも勝ち進めば、次は彼との対戦となる。



「やっぱ上手ぇなあ…」



隣に座るコルガーが小声で呟く。


ジルは元々の身体能力の高さからか、吸収力が凄まじい。しかし、コルガーと手合わせした一週間程の期間で此処まで上達するとは…



競技場を挟んだ向かいにある控えの座席に戻ったジルがコルガーの視線に気付き、小さく朗笑する。


すっかり打ち解けたようで何よりなのだが、つい最近まで睨み付けていた相手とは思えない様変わりだな。昔から、コルガーはそういう奴だった。



それにしても。招待客を入れる程だから歓声や拍手があるのかと思っていた。が、予想外にも厳かというか…固唾を呑んで観るような雰囲気である。


斯様な中でも、時折小さな黄色い声が届く。観客席に割と御令嬢達がいて驚く。親に連れられて来たのだろうか。

まあそれよりも、ジルの近くに座るウィーが、彼女達が声を上げる度に表情を険しくしている事の方が気になる。意外である。


……と、雑念だらけだ。

瞼を閉じ、細く長い息をゆっくり吐き出す。



「ルゥは次か?」


「そうだ」


「おっ!最近仲良くなった奴か!ウィー?だったか?」



対戦表を見たコルガーが、ヒソヒソと尋ねる。

試合開始の号令が響き渡る。



「大会終わったら紹介してくれ!」



ああ分かったと、目を開けてコルガーを見る。瞬きし、競技場の方を眺める。



「…その代わり、終わったら練習に付き合ってくれ」


「はっ!何だよ畏まってよぉ?なあ、ルゥ、」



再びコルガーに視線を戻す。



「俺は、ガキの頃からお前の事をずっと見てきたんだ。だから、お前がどんだけ歯を食い縛ってきたのかも知ってる。努力は裏切るから、裏切らない努力をしろって俺に何度も説教したことも忘れたってのか?」



酷く、優しい声色だった。


そして、背中を押すには優し過ぎると思うような柔らかい表情を浮かべるのだ。


….まったく……コルガーには敵わない。



「…コルガー。ありがとう。私は、お前を裏切らないよう精々気張ってくる」


「おーおー!ガッカリさせんなよ?」



コルガーに背中を叩かれる。

試合終了の号令が掛かる。



「ああ。行ってくる」



ゆっくりと立ち上がり、競技場へ降りていくーーーーゾクリと、殺気を感じた。即座に観客席の方を睨み付ける。



「……チッ、」



思わず舌打ちをする。


何故今なんだ。狙いは私なのか。貴族か?心当たりがあり過ぎる。でも其れは違うと断言できる。では教官長殿とやらか?



「両者前へ」



ーー嗚呼、腹が立つ。


木剣を握り締める。目に力を込める。



「始め!」



真正面から打ってきたウィーの剣を受け流す。




「………ルフェがあの目をした時は…ヤベェんだよな…!」


「そうそう!いつだかの練習試合トンデモねー試合だったよなっ!?」


「おい…なんだあの打ち合い…」


「ルフェ様もだが…フルウィウス様も尋常ではない気迫だな…」




美しい型のフルウィウスと、流れるような剣術のルジ。


感嘆の息を漏らす者。息を呑んで観戦する者。恍惚の溜め息を吐く者。

壮絶な打ち合いに会場の熱気が高まるーー



「ーークソッ!!」



ルジが後方から飛んで来た矢を振り向き様に木剣で叩き落とす。



「何者だ!!追えッ!!」



主任教官の怒号が耳を劈く。



「クッソ…!!」



思いの丈を吐き捨て、思い切り矢を踏み付ける。

一体何処から飛ばしたというのか!!

観客席を睨み据える。矢に気付いた時にはもう既に姿は見えなかった。



「…はあ、ルゥさんのお陰で毒気を抜かれたよ」


「……いやに苛立っていたな」


「貴方こそね。これが、理由だったの?」



ウィーは私が踏み締めた矢を拾い上げる。


そうだと言えば、苦笑される。



「試合しながら警戒してたってこと?底が知れないなぁ本当に貴方は」


「…初めての経験ではないからな」



幼少期から訓練してきた其れは、己の身を守る為である。実際に狙われた事はなかったが、偽装している以上その可能性は十分にあるからだ。

いや…違う。一度だけ、あった。いや、まさか違うだろう…



混乱し騒々しくなった観客席を見遣る。

思い当たった人物と目が合えば、肩を竦めて不敵な笑みを浮かべていた。



イライラしている同士の試合になってしまった…そんなつもりはなかったのに…!!

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