「年次報告するな」
罠を改良しました。
利益が三・二倍になりました。
モンスターまで査定されました。
今日も感謝されてしまいました。
タルガさんが来る前に、今日の罠を設置し直しました。
副産物の品質に罠の改良が影響するなら、改良する価値があります。スライムAとBは、副産物が出やすい区画へ配置しました。
今日の罠には自信があります。おもにダンジョン経営目的で。
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ダンジョン配信中(登録者:11)
女神様「計算しているハルカも見ています❤」
名無しの商人「年次報告回?」
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タルガさんは、いつもの革鞄ではなく、分厚い帳簿を三冊抱えて来ました。
「年次報告です」
「依頼していませんが」
「開始時比で、年間収益三・二倍です」
「え......三・二倍ですか!?」
私はコートの袖から小さな計算板を出しました。
出してしまいました。
タルガさんは、罠の副産物を拾いながら歩きます。
今日の改良版は、石粉の粒度が揃うように、壁の擦れ方まで調整してあります。
「品質、また上がっていますね。改良した罠の区画と一致しています」
「......改良が副産物に影響していますか」
「しています。相関が強い」
「......メモします」
撃退より先に、収益改善が始まりました。
これはダンジョンマスターとしてどうなのでしょう。
タルガさんは、さらにスライムAとBを見ました。
「ところで、モンスターですが」
「もちろん撃退用です」
「スライム核、一体あたり一銀貨。骨素材は五銅貨。現時点で合計二銀貨一銅貨分の価値があります」
「……それは、倒した後の話ですよね」
「生きている間の価値も別途計算します。配信映えしますので、観察料として換算できます」
「……観察料」
スライムAがぷるぷるしました。
スライムBもぷるぷるしました。
査定に納得しているように見えるのが、非常に困ります。......そこは否定してください。
「来月から試算します」
「試算しないでください」
「もうしました」
「早いですね」
「商売ですので」
私は、コートの端へ書き込みました。
【モンスター維持費vs素材価値:現在赤字】
【観察料換算:試算要】
【来年も検討】
最後の一行を書いた後、自分で少し止まりました。
来年も。
「……来年も、ここにいたいです」
声に出してしまいました。
タルガさんは帳簿を見ていて気づきません。
シア様だけが、こちらを見ていました。
シア様のニヤニヤが、少し薄かった。
私は帳簿の数字を見ていたので、気づきませんでした。
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ダンジョン配信中(登録者:12)
女神様「来年の数字も見たいですね❤」
名無しの商「商品化では?」
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改善の余地があります。
感謝するなつってんだろ。年次報告なんていらないんだよ!
だが、利益は更新しました。くっそ!!
あと、スライム、お前ら査定されてんぞ!!!!嫌がれバカか!
【今回の登場キャラクター紹介】
・タルガ:素材業者。失敗すら金に換える男。
・スライムA・B:ついに素材価値と観察価値を査定されました。
・シアラ:ハルカの「来年も」を聞いた唯一の存在。
【今回のズレパターン解説】
誤解型です。撃退のための罠改良が、副産物の品質向上と収益改善として評価されました。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :65320位 → 65240位
配信視聴者数 :11名 → 12名
本日の用途 :年次報告会場(非依頼)
コートのメモ(今話) :「モンスター維持費vs素材価値:現在赤字 観察料換算:試算要」
【モンスター管理状況】
スライムA・B:素材価値査定済み(合計2銀貨1銅貨) 本人たちは元気
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