表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/100

「年次報告するな」

罠を改良しました。

利益が三・二倍になりました。

モンスターまで査定されました。

 今日も感謝されてしまいました。


 タルガさんが来る前に、今日の(トラップ)を設置し直しました。

 副産物の品質に罠の改良が影響するなら、改良する価値があります。スライムAとBは、副産物が出やすい区画へ配置しました。


 今日の罠には自信があります。おもにダンジョン経営目的で。


═══════════════════════════

ダンジョン配信中(登録者:11)

女神様「計算しているハルカも見ています❤」

名無しの商人「年次報告回?」

═══════════════════════════


 タルガさんは、いつもの革鞄ではなく、分厚い帳簿を三冊抱えて来ました。


「年次報告です」


「依頼していませんが」


「開始時比で、年間収益三・二倍です」


「え......三・二倍ですか!?」


 私はコートの袖から小さな計算板を出しました。

 出してしまいました。


 タルガさんは、罠の副産物を拾いながら歩きます。

 今日の改良版は、石粉の粒度が揃うように、壁の擦れ方まで調整してあります。


「品質、また上がっていますね。改良した罠の区画と一致しています」


「......改良が副産物に影響していますか」


「しています。相関が強い」


「......メモします」


 撃退より先に、収益改善が始まりました。

 これはダンジョンマスターとしてどうなのでしょう。


 タルガさんは、さらにスライムAとBを見ました。


「ところで、モンスターですが」


「もちろん撃退用です」


「スライム核、一体あたり一銀貨。骨素材は五銅貨。現時点で合計二銀貨一銅貨分の価値があります」


「……それは、倒した後の話ですよね」


「生きている間の価値も別途計算します。配信映えしますので、観察料として換算できます」


「……観察料」


 スライムAがぷるぷるしました。

 スライムBもぷるぷるしました。

 査定に納得しているように見えるのが、非常に困ります。......そこは否定してください。


「来月から試算します」


「試算しないでください」


「もうしました」


「早いですね」


「商売ですので」


 私は、コートの端へ書き込みました。


 【モンスター維持費vs素材価値:現在赤字】

 【観察料換算:試算要】

 【来年も検討】


 最後の一行を書いた後、自分で少し止まりました。


 来年も。


「……来年も、ここにいたいです」


 声に出してしまいました。

 タルガさんは帳簿を見ていて気づきません。

 シア様だけが、こちらを見ていました。


 シア様のニヤニヤが、少し薄かった。

 私は帳簿の数字を見ていたので、気づきませんでした。


═══════════════════════════

ダンジョン配信中(登録者:12)

女神様「来年の数字も見たいですね❤」

名無しの商「商品化では?」

═══════════════════════════


 改善の余地があります。


 感謝するなつってんだろ。年次報告なんていらないんだよ!

 だが、利益は更新しました。くっそ!!

 あと、スライム、お前ら査定されてんぞ!!!!嫌がれバカか!




【今回の登場キャラクター紹介】

・タルガ:素材業者。失敗すら金に換える男。

・スライムA・B:ついに素材価値と観察価値を査定されました。

・シアラ:ハルカの「来年も」を聞いた唯一の存在。


【今回のズレパターン解説】

誤解型です。撃退のための罠改良が、副産物の品質向上と収益改善として評価されました。


═══════════════════════════

【今話のダンジョンデータ】

 ダンジョンランキング(だんじょんらんきんぐ) :65320位 → 65240位

 配信視聴者数      :11名 → 12名

 本日の用途       :年次報告会場(非依頼)

 コートのメモ(今話)  :「モンスター維持費vs素材価値:現在赤字 観察料換算:試算要」

【モンスター管理状況】

 スライムA・B:素材価値査定済み(合計2銀貨1銅貨) 本人たちは元気

═══════════════════════════


少しでも楽しんでいただけたら、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ