表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/100

「集めるな」

廃材を集められました。

市場価値と芸術価値が衝突しました。

困っています。

 今日も感謝されてしまいました。


 今日の仕掛けは、圧縮罠(あっしゅくトラップ)です。

 落ちた英雄を、左右の壁で押し戻す。痛いですが、リスポーン前提なら問題ありません。

 たぶん。


 今日の罠には自信があります。


═══════════════════════════

ダンジョン配信中(登録者:1)

女神様「今日は何が残るんでしょうね❤」

═══════════════════════════


 最初に来たのはノノカさんでした。


「師匠! 今日は作品を集めに来ました!!」

「作品はありません」

「師匠の失敗罠から出る副産物です!!」

「副産物も作品ではありません」


 その直後、反対側の通路からタルガさんが来ました。

 素材業者です。

 失敗した罠の破片を、なぜか市場に流す人です。


「本日は副産物の仕入れに参りました」

「仕入れないでください」


 ノノカさんが、ぴたりと止まりました。


「この副産物、私が先に目をつけていました!」

「市場価値の話です」

「芸術価値の話です!」

「どちらも困ります」


 二人が、罠の前で向かい合いました。

 英雄同士の戦闘ではありません。

 廃材の所有権オーナー争いです。


 圧縮罠が起動しました。


 本来なら、侵入者を壁で押し戻す予定でした。

 しかし三パーセントのズレにより、壁は二人を押さず、床に散らばっていた古い石材だけをきゅっと圧縮しました。


 小さな立方体ができました。


 妙にきれいでした。


「すごい!! 師匠の圧縮作品です!!」

「高密度石材ですね。こりゃ売れます」

「芸術です!」

「資材です」

「作品です!」

「商品です」

「......廃材です」


 最後だけ私です。


 ノノカさんは立方体を両手で包みました。


「この均一な歪み! 意図的ですよね!すごすぎる!!」

「違います」


 タルガさんは指で叩きました。


「音が良い。建材にも置物にも使えます」

「使わないでください」


「師匠、値段はいくらですか!」

「売りません」

「では私が買い取ります」

「買い取らないでください」

「共同保管しましょう!」

「共同保管も作業もしないでください」


 会話の全方向が、罠より圧縮されています。


 シア様は段差に座り、足をぶらぶらさせていました。


「人気ですね〜、廃材」

「人気ではありません」

「ハルカの作品ですからね〜」

「作品ではありません」

「気のせいじゃないですか〜?」

「その返しで逃げないでください」


 シアラのニヤニヤが、少し薄かった。ハルカは気づかなかった。


 最終的に、立方体は三分割されました。

 ノノカさんが観察用。

 タルガさんが市場調査用。

 私は記録用。


 つまり、全部持っていかれました。


「ありがとうございます、師匠!」

「有益な取引でした」

「感謝はいただかなくて大丈夫です」


【撃退成功 / 副産物:圧縮石材 / 収益見込み:あり】


 コートに書きました。


【圧縮罠:英雄を押せバカか】

【廃材:芸術価値? 市場価値?】

【共同作業:禁止】

【でも収益:あり】


 改善の余地があります。


 集めるなつってんだろ。廃材は廃材です。芸術ではありません。

【今回の登場キャラクター紹介】


・ノノカ:師匠の作品だと思っている見習い罠師。師匠なんて存在しません。

・タルガ:副産物を市場価値で見る素材業者。

・ハルカ:どちらも困っています。


【今回のズレパターン解説】

超克型。撃退より先に副産物の価値が発生し、英雄たちが罠を“成果物”として乗り越えました。


═══════════════════════════

【今話のダンジョンデータ】

 ダンジョンランキング(だんじょんらんきんぐ) :65518位 → 65510位

 配信視聴者数      :7名 → 8名

 本日の用途       :廃材展示即売会

 コートのメモ(今話)  :「共同作業:禁止/廃材:芸術価値と市場価値が衝突/でも収益あり」

═══════════════════════════


少しでも楽しんでいただけたら、ブックマーク登録・評価・コメント・レビューで応援いただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ