「査定するな(二回目)」
エルマさんが二回目の査定に来ました。
今回は改善点が四件に増えていました。
今日も、感謝されてしまいました。
エルマさんが来ます。
二回目の査定だそうです。
前回の照明間隔の指摘は修正済みです。
魔道灯の配置も、二歩半ぶん詰めました。
マスター登録欄については、引き続き保留にしています。
今日の罠には自信があります。
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女神様「また、査定の方ですね〜❤」
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エルマさんが来ました。
前回と同じ制服。
前回と同じ手帳。
ただし、書類だけが増えています。
不吉です。
「第二回査定です。前回からの変更点を確認します」
「照明間隔を修正しました」
「確認しました。改善されています。記録します」
エルマさんは、すぐに手帳へ書き込みました。
その速度が、査定員です。
通路を歩きます。
落下床を見ます。
火炎柱を見ます。
感知糸を見ます。
全部、見抜かれました。
「今回も全部見えてるんですか?」
「私は、査定員です」
理由として強すぎです。
エルマさんは一通り歩くと、手帳を閉じました。
「今回の指摘事項は四件です」
「……前回は一件でしたよね」
「設計が改善されたことで、次の課題が見えやすくなりました。良い傾向です」
「……ありがとうございます」
言ってしまいました。
条件反射です。
感謝はいらないと言っている側なのに、私がありがとうございますと言いました。
これは、非常にまずいです。
エルマさんは何も気にせず、次のページを開きました。
「ひとつ確認なのですが。このダンジョン、英雄以外の来訪者が複数います」
「……素材業者と、鍛冶師と」
「ギルド的には問題ありませんが、珍しいです」
「……はい」
「マスター不在で機能しているダンジョンも珍しい。あなたが管理者ですね」
「……管理をしています」
「マスターの届け出、そのうちお願いします」
「……保留にしています」
エルマさんは記録しました。
そこは記録しなくていいです。
「本日の査定は以上です。また来ます」
エルマさんは、きっちり礼をして帰りました。
書類を増やして。
「感謝はいただかなくて大丈夫です」
「感謝ではなく、改善確認です」
「それも困ります」
私は指摘事項の紙を受け取りました。
四件。
「改善の余地があります。四件。前回より増えました」
設計が良くなるほど、課題が増えます。
課題が増えるほど、メモが増えます。
メモが増えるほど、コートが重くなります。
経営とは、重いものです。
たぶん違います。
シア様が、いつもの場所で足をぶらぶらさせました。
「指摘が四件に増えましたね〜」
「前回は一件でした」
「成長ですね〜」
「課題が増えただけです」
「同じことじゃないですか〜?」
「……」
同じなのでしょうか。
違うのでしょうか。
わからないので、メモしました。
シア様のニヤニヤは、少しだけ薄かった。
「マスター不在で機能している珍しいダンジョン」と言われた瞬間、私の手が少しだけ止まったからです。
もちろん、私は気づいていません。
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女神様「査定、四件でましたね❤」
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感謝するなつってんだろ。査定レポートは改善提案書ではありません。
四件、採用するかどうかは検討中です。
■今回の登場キャラクター
ハルカ:査定の改善点が増えました。本人は成長扱いされると困ります。
シア様:女神様。課題が増えても楽しそうです。
エルマ:ギルド査定員。真面目に見れば見るほど、レポートが増える人です。
■今回のズレパターン
観光型。
攻略ではなく査定としてダンジョンを見られました。しかも改善提案付きです。
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【今話のダンジョンデータ】
ダンジョンランキング :65533位 → 65533位
配信視聴者数 :4名 → 4名
本日の用途 :ギルド査定会場(二回目)
コートのメモ(今話) :「照明間隔・改善済・感知糸配置・エルマ指摘2件目・マスター欄:引き続き空白」
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視聴者増減コメント:
「変動なしです。エルマさんは登録しませんでした」
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