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第二十一話 回帰と探求の再開
彼の探求はこの瞬間、「より水を弾く」という、はっきりとした目的を持ち始めた。
そこで、彼の意識は静かに現実へと引き戻された。
彼はリビングのソファーでくつろいでいる。
先ほど届いた発送メールから、北欧ワックスの到着が年末ぎりぎりになると知り、物思いにふけっていたところだった。
「あれが、撥水への興味が生まれた、ただのきっかけだったんだなぁ」
彼は、わずかに口元を緩めた。
あの頃の自分には、水玉がコロコロと転がる現象こそが、コーティング剤の性能の全てだと映っていた。
撥水を楽しむ時期は長かった。
つい最近でも、日本のメーカーで撥水を極限まで高め、それを売りにしている製品も一通り試した。
もちろん、最高に楽しかった。
光沢も凄くて、良いものだった。
撥水とは反対に、艶に特化したメーカーも一通り試した。
とんでもない艶だった。
車が飴細工になったのかと思うほどだった。
そのほかにも、「楽に」「楽しく」「綺麗にできる」コーティング剤を、あれからつい最近までずっと色々試した。
そのコーティング剤探しは、本当に凄く楽しかった。
けど、戻ってきたんだ。
彼は、手に持ったスマートフォンに表示された北欧ワックスの製品写真へ視線を落とす。
ワックスへ。




