36.グレーな判断
「嬢ちゃん、それはどういうつもりだ?」
ヨハンは一瞬こちらを確認しただけですぐに手元の病人に視線を戻した。
病人は干草に布を被せただけの簡易的な寝台に寝そべり、頼りない呼吸音をさせながら真っ直ぐ天井を見上げている。
皮膚は朽ちた土壁のようにぼろぼろで、シェリエルは「クレイラの泥パックとか使えないかしら」などと思いを馳せながら、口ではヨハンの質問に答えていた。
「ええと…… 投資するにあたり現場の状況を良く見ておきたいということらしいです」
シェリエルの隣。ヨハンに睨みつけられた迷子係三人衆は鼻息を荒くして目をギラつかせる。
まるで王国最大級のオークションに参加するかのように、くたびれた衣装のままやる気を漲らせていた。
「よろしく頼む! して、君はいま何をしているところだね」
「あ? 腹水が貯まってねぇか診てる」
「その薬はベリアルド独自のものか?」
「どこにでもあるやつ」
「その知識を得るのに学院の授業で充分であったか? お清め隊を編成するにあたって専門の機関を作るべきだろうか」
「知らねー」
……少し祓い過ぎたかもしれない。
ま、そのうちまた穢れに触れて大人しくなるだろう。
そんなことを考えていたシェリエルは、ふとあることが気になった。
ヨハンの口の悪さ——ではなく。
子どもたちがそれほど気を病んでいないようなのだ。
ふたりはいまも魔法陣入りのマスクを付けてご機嫌に笑っている。
「ヘジとメメと言ったわね? 寂しくない? 胸がモヤモヤしたり悲しくなったりは?」
「んー、おじちゃんがいてくれるから。母ちゃんも父ちゃんもたまに仕事でかえってこないときもあるし」
「そうなのね。メメも?」
「メメはちょっとさびしい。でもおじちゃんたちかわいそうだから、一緒にいてあげるの」
「め、メメ……!」
貴族たちはとうるうる涙を溜めてメメを抱っこしたままグルグル回ったり、ヘジをぎゅっと抱きしめて髭面で頬ずりしたりと、貴族には考えられない行動でその場を唖然とさせた。
完全に躁状態である。
極度の負の感情から解放され、いろいろと持て余しているのだろう。
はしゃぎ回る迷子組は周囲の医者たちに怒鳴られ、リヒトはシェリエルの髪に手を伸ばそうとするヘジの手を無言で防いでいた。
「平民でも微かに魔力を持つようだけれど、子どもは皆無——」
頭のなかではひとつふたつ思考が進み、「だったら子どもを使えばより安全に治療ができるのでは?」と思い浮かんでいたが、即座に自主規制を入れた。
……危ない、いま人の道を踏み外すところだった。なるほど、幼児の脱法奴隷が多いわけね。
しかし、これは倫理を別にしても本当に使えない案だった。穢れの影響が薄くても子どもは免疫の面で大人より危険だからだ。
「シェリエル様?」
「なんでもないわ」
「また碌でもねぇこと考えてたんだろ」
「一瞬だけよ。それより、研究を支援してくださるみたいだから、特効薬みたいなものを研究できないかしら? 特定の病原を殺すような……」
「だから、そんなもんねぇって。薬草はそれぞれの症状を抑えるもんだ。魔法じゃねえんだからよ。謂わば援護射撃ってとこか」
「結局は人の免疫頼りってことね……」
いくら薬草が魔力を含んでいても、体力や免疫力を補うしかないようだ。
「まあ、疱瘡がでたり皮膚に異常がある病には湿布薬を調合したりもするが…… 基本は解熱とか喉の腫れを抑える薬になるな」
「なるほど。でもたしかにそうよね、抗生物質なんて都合よく開発できるか分からないし」
「抗生?」
錬金術でなんとかならないだろうか。
病原の特定ができるならそれだけを打ち消すか除去するようプログラムしてやれば良い。
が、血液をすべて入れ替えるわけにもいかないし、たぶん臓器に感染したりもあるだろう。
錬金術は魔法と違ってその物質を直接魔法陣に通す必要があった。
陣を通すことで記録した物質と合致するか判定したり、変化させたりするので、シェリエルはこれを高性能フィルターでイメージしている。
一方、魔法はというと、同じフィルターでも次元を跨ぐ。この世界とどこか別の世界を繋ぐフィルターであり、変換後に発現したものが火だったり水だったりする。
両方を組み合わせることはこれまでにもやってきたが、治癒魔法は未知の領域だ。治癒はそのコアの部分を読み解くことが出来なかった。
ブラックボックス化され、権限が無いような感覚。
シェリエルにもいくつかそういった読み解けない領域があった。例えば、印刷の魔導具でも……
「あッ! 印刷の魔導具!」
「うわ、なんだよ、デケー声出しやがって」
ビクッと肩を跳ねさせる周囲に目もくれず、シェリエルはボソボソとその思考を垂れ流す。
「そうよ、ふつうに魔導具として考えれば…… 錬金術と魔術を組み合わせて。対象を陣に通すんじゃなくて、陣を対象に通す……」
治癒魔法を改良しようと考えていたためこれまで思い付かなかったが、錬金術をベースにしてその構造を魔術で補えば良い。
でも、人体かぁ…… 魔力の有無もあるし試験項目が多すぎる。やっぱり別の方向から……
「おい、何を悩んでる」
「コストに見合うほどの確信が持てなくて…… 失敗したら時間が無駄に」
「あ? 百年、二百年も研究する気か? 学院戦に間に合わなくてもそれが有用ならやるべきだろ。なんでできることをやらない」
「……それもそうね」
ヨハンは医者の顔をしていた。
シェリエルもそんなヨハンに適当なことは言えなかった。
いつの間にか、神殿内は静寂に包まれている。
病人も、医者も、看護師も、呼吸音すら躊躇うように、固唾を飲んでシェリエルに注視していた。
「どうするつもりだ?」
「治癒魔法をかけられない病に対する新しい治癒魔法を作ろうと思うの」
一瞬だけ、波紋のように広がるどよめき。
「はぁ? お前、治癒魔法は改変できねぇって言ってただろ」
「治癒魔法を改変するのではなくて…… そうね。ヨハンはどうして治癒魔法が使えない病があるか分かる?」
「魔力で病が活性化するんだろ? 治癒は祓いじゃねぇからな」
「似たようなものだけど、魔力に反応するのではなくて、治癒で病原まで活性化してしまうのよ。たぶん、治癒が使えるかどうかはウイルス性か細菌性かの違いだと思うわ」
「は?」
「感染症の性質はヨハンが一番知ってるでしょう? それは穢れとか魔力みたいに実体のないものではなくて、ただ小さ過ぎて目には見えないだけの生物なのね。たぶんだけど」
「生物…… それで、治癒魔法でそいつも活性化すると?」
「ええ。治癒魔法を使える病はきっとウイルス性ね。ウイルスは生物の要件を満たしてないから治癒魔法が効かないの」
チーズやキノコ、パンがあるのだから菌は存在するはずで。
ベリアルド領で下痢や嘔吐を伴う病が見られなかったのは大衆浴場や消毒薬の効果だったのだろう。
抗生物質のある前世ではウイルスの方が厄介だった。が、この世界では治癒魔法で人の免疫力をブーストできるため、治癒魔法を使えない細菌性の病の方が致死率が高いらしい。
医療知識が無いのなら、錬金術と魔術によって抗生物質の変わりをしてやればいい。
「できるんだな? お前は、病を、治せるんだな?」
「強力な援護射撃というところね。やれるだけのことはやるわ」
シンと静まり返った神殿内。
誰も声には出さないが、静かに打ち震えていた。
いまシェリエルは治癒魔法を超えた魔術を生み出そうとしてる。
何をどうするかなんて分からないが、それだけ分かって鼓動を大きくするのである。
「シェリエル嬢、我らにできることはあるか」
「……ガーランドの貴族をまとめてください。時間がないのでいま横槍を入れられると面倒です」
「承知した、ガーランドの民を任せるぞ。いや、オラステリアの民を……」
コクリと頷いたシェリエルはヨハンにいくつか言い付けて、リヒトを連れてガーランドの城へと転移した。
残された者たちは薄っすら漂う希望のようなものを感じ取って、これまで以上に士気を高めるのであった。
◆
ガーランドの城では。
フェルミンが領主代理として補佐官や領地の有力貴族を集め、そこにアルバラとアリシア、モーゼスが同席していた。
治験に運送事業やお清め隊の進捗、シェリエルたちの慰問の件のこと、領主の引き継ぎ。
議題はたくさんあるのに、他領の、それも敵対派閥の領主の娘がいる場では思うように話が進まず、フェルミンは焦りを覚えていた。
彼らは課外授業という名目で来てくれている。
あとどれくらいこうして助力を得られるかも分からないのに、この場には疑念と嫌味しかない。
「領地の一大事になぜ部外者の指図を受けなければならないのです! コンラッド様のお耳に入ればさぞ悲しまれるでしょう!」
「父はもう戻りません。それを前提に今後のことを考えてください」
「なんですと! すべてその者たちの思惑では? 領地の乗っ取りではないのですか! いま一度ご再考ください、フェルミン様!」
「ですから、彼らは善意で援助を……」
アリシアはそれらを静かに聞きながら、チラチラとアルバラを盗み見ていた。フェルミンは貴族からの突き上げよりもそっちが気になっている。
どうしよう、うんざりして帰ろうなんて言い出したら……
不安で仕方ない。母と姉は事業で忙しく、父はもう廃人だ。補佐官も困り果てて頼れるのは学院から来たアルバラたちだけなのだから。
「アリシア君、お忘れかもしれませんがこれは授業です。課外授業の受け入れはフェルミン様から許可をいただいておりますから、まずは好きにやってみてください」
「はい、先生……」
二人のやり取りにガーランドの貴族たちは火を吹くように「無礼ではありませんか!」「ガーランドを教材にする気か」と声をあげる。
そこに、スッとアリシアが為政者らしく手を軽くあげた。領主一族の威厳というものは領地を超えるらしい。
ワーワーと喚いていた大人たちも自然と口を閉じてアリシアを見つめる。
「皆様がお怒りになるのも当然のことでしょう。もしこれがロランスであったならばわたくしも反対したことと存じます。ですから、無理にとは申しません。まずは話を聞いて、それからご判断くださいませ。材料も無しに頭ごなしに反論するならば学院生でもできますでしょう?」
反論の声はない。アリシアは柔らかな声で彼らを尊重しながらも、彼らの首根っこを押さえつけた。
もし対面で自分がこんなふうに言われたらきっと顔を真っ赤にして俯いてしまう。
その反面、父や姉のような気の強さがないフェルミンはアリシアのやり方が自分に合っているような気がした。
人を批判するのも、見下すのも苦手だけれど、話を聞いてもらわないといけないことはこの数日で嫌というほど理解していたから。
静かになった貴族を前に、アリシアは淡々と説得をはじめた。
ガーランドが抱える疫病の種類、患者、全体の何割が病を患っているか。
説明の途中、隣の部屋で書を作っていたモーゼスが紙束を抱えて入ってきたかと思うと、全員に資料を配っていく。
「そちらはいま神殿から得た情報も含まれています」
「いま?」
「はい、わたくしどもが到着してからです」
このアルバラ研究室の成果である新たな通信の有用性を実感したのだろう。反感に満ちていた瞳は少しずつ揺らぎ始めている。
「ロランスはなぜこれほど被害が少ないのでしょう」
「少し前にベリアルドと友好同盟を結んでおりましたので、消毒薬や公衆衛生の有用性についてはロランスでも検証していたのです」
「またロランスだけが甘い汁を吸ったというわけですか。ご学友のよしみと言えど、贔屓が過ぎるのでは?」
大人の二枚舌に憤りを感じたフェルミンは思わず声を尖らせていた。
「侯爵、なぜガーランドは干渉でロランスが贔屓となるのでしょう。やろうとしていることは同じではないのですか」
「それは……」
顔を真っ赤にして唇を引き結ぶ彼を見て、少しだけ胸が痛む。彼はいまどれほど恥ずかしい思いをしているだろう。
「わたくしはたしかにシェリエル様と親交が深く、このような次第となりましたこと否定は致しません。しかし、皆様お忘れではありませんか? シェリエル様はガーランドの姫君、イザベラ様をお姉様と慕っているのですよ」
「……ッ!」
「シェリエル様はイザベラ様のためにガーランドに助力を申し出たと?」
「いや、しかしイザベラ様は…… 金に目が眩み、ガーランドを捨てて自分たちだけ王都に居を構えたのではないか」
「おふたりはガーランドからは離籍されましたが、見捨てたわけではありません。現に、ベリアルド緊急医療班の経費はサロン・シャティエルから出ています」
「なんと! ガーランドの公費ではないのか!」
姉の名が出てフェルミンの胸はジンと熱くなる。
貴族たちは母や姉を裏切り者だと罵っていた。それはこの数日、補佐官たちから聞いている。
その貴族たちの目の色が変わる様が、嬉しくて、誇らしくて、鼻の奥がツンとした。
「これから贔屓だと揶揄されるのはガーランドかもしれませんね」
アリシアの吐いた憂いの溜息は絶大な効力を発揮した。
父だって我先にとベリアルドと手を組みたがっていたし、ガーランドの貴族は元々そういう野心を持った者が多いのだ。
贔屓されるのは大歓迎。いつだって何かしら自慢したくて、羨望をこよなく愛する彼らはみるみる喜色ばんで、眉を柔らかくしていく。
「ま、まあ…… そこまで仰るならば」
「やってみるだけの価値はあるのではないですかな」
「そうですね、費用がガーランド持ちでは無いのなら」
「ええ、ええ。好きになさればよろしい」
「だが、何かあったとき誰がその責を……」
ジロリと視線が集まって、一瞬息が詰まる。
この場にはガーランドの分家にあたる者もいる。自身が領主となることを快く思っていないことはフェルミンも肌で感じ取っていた。
失敗しても、それはそれで彼らには都合が良いのだろう。
「フェルミン様なりません! 貴方は正当な後継者でいらっしゃいます。いまは領地を継ぐことのみをお考えになってください!」
彼は血筋を重んじ、自身の領主就任を後押ししてくれる貴族だった。
失敗すれば彼らにも迷惑がかかる。それを承知でフェルミンは決断した。
いや、もとよりそのつもりだった。
「私が…… ガーランドに不利益が生じた場合は、私がその責を負いましょう」
「フェルミン様、それがどういう意味かお分かりですか」
「はい」
失敗は死を意味する。
父が想定した被害を上回った場合、もしくはガーランドの実権を他領に握られた場合、継承権は分家に移り、自身は新たな領主により処刑されるだろう。
死神に背後から寄り添われた心地がして、背中は汗でひたひたと冷たくなっていた。
「結構。よく決心なされましたな」
「ええ、フェルミン様の御覚悟がそこまでというなら、これ以上何も言いますまい」
「次期領主に相応しいか、お手並拝見というところでしょうか」
消極的な賛同であっても、邪魔をされるよりよっぽど良い。これで自身を排除しようと動く人間も減ったはず。
フェルミンはホッと一息吐いて、アリシアを見た。
彼女の労わるような優しい笑みに涙がこぼれそうだ。
が、しかし。
会議室に響いた怒声が緩んだフェルミンを震え上がらせる。
「貴様ら! なにを腑抜けたことを!」
大人の怒鳴り声は恐ろしくて、フェルミンは反射的にギュッと目を瞑ってしまった。少ししてからそろそろ薄目を開ける。
昨日、神殿でウロウロしていた貴族たちだった。
ゼエゼエと息を切らせながらが、怒りで顔を真っ赤にしている。
他の貴族たちも驚いたようで、侯爵位を持つ男が半笑いで声をかけた。
「どうされました……」
「どうしたもこうしたもない! 聞いておったぞ、いまの話!」
「ええ、我々はこの事態を静観することにしました。聞いてみればなかなか悪い話でも無さそうです、侯爵も一度話を——」
「なぁにが静観だ、恥を知れ! 全員いまから神殿へ行ってその目にしかと焼き付けてくるが良い!」
「な。なにを……」
なんだか話が噛み合っていなくて、フェルミンの首はゆっくりと傾いていく。
「我々はベリアルドの医術により、ひとりでも多くの民を救わねばならぬ! それをフェルミン様ひとりに責を押し付け、自分たちは静観するだと? 知恵も出さない、金も出さない。では貴様らは何をするのだ。茶でも飲みながら雑談か?」
「いや、それは…… しっかり監視する——」
「監視だと? そんなことをする暇があるならば金を作って来い!」
「は……?」
「これまで貯め込んだ私財を投じて医術の研究をするのだ!」
「はい……?」
フェルミンは混乱しすぎてちょっと泣きそうだった。たぶん、とても良い提案なのだろうけど、理解が追い付かなくて。
これがあのシェリエルなら「これがベリアルドかぁ……」とある意味納得できたのだが、自領の貴族がおかしくなってしまったと思って怖くなってしまったのだ。
他の貴族たちも「え……」とか「どうした」とか言いながら困惑している。
「いいか、良く聞け。厄災は最厄期だけではない。この厄災に間に合わずとも、いま尽力すれば未来の民を幾千幾万救うことになるのだ。目の前の命をむざむざ死なせるようなことがあってはならん! せめて未来に繋げるべく、手を尽くすのが貴族の務めである!」
「……」
本当に何があったのか……
これまでケンケンとやり合っていた面々は急に人が変わってしまった男たちを前に、心をひとつにした。
アリシアに至っては「ここ、ロランスだったかしら?」みたいな顔をして口をポカンと開けている。
当の三人衆はというと、会議室の困惑を気にも留めない様子であたりを見回して。
「おや? シェリエル様は? 先に転移で戻られたはずだが」
「少々お待ちください、確認します」
モーゼスが魔導具を取り出してなにやらカリカリと綴り始める。
大人たちは「便利な世の中になったものだ」などと自席から首を伸ばして覗き込んでいるが、少しするとモーゼスはコテ、と首を傾げて「うーん」とひとつ唸った。
「モーゼス、シェリエルはいまどこに?」
「あ…… えと、賢者の塔に…… これからこちらに戻ると」
「賢者…… の、塔?」
「アッ!」
カチャと扉が開かれてシェリエルが姿を現した。
彼女の隣には肖像画でしか見た事がない賢者様のひとり——
「アウグスト様……?」
「いかにも、わしが賢者アウグストである!」
ほくほくと笑みを浮かべて胸を張る老人に、全員がザッと一斉に席を立ち上がって、片手を胸に添えて頭を下げた。
王都から——塔から出ることすら滅多にない賢者が現れたのだ。
この会議室に事態を飲み込めた人間がいるはずもなく、フェルミンも頭を真っ白にしながらおずおずと顔を上げる。
答えを求めるようにシェリエルを見るが……
「会議室を貸していただけますか? 少し試したいことがあるので」
フェルミンは無言で目を見開いたままコク、と頷いた。補佐官が慌てて部屋を飛び出して行っただけで、他は誰も動けずにいる。
ちょっと助っ人を呼んできましたみたいに賢者を連れて来られても困る。
フェルミンは「領主ってこんなに大変な仕事なのか」と、また自信を失くすのであった。
第六章「クレイラのワイバーン(202話)」に、番外編で書いていた「町の視察」を追記しました。
元々「設定・番外編」の方で書いてた話でそちらは削除しました。
そちらでいただいた感想は保存してあります、大事にします!ありがとうございました!





