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運が俺の強み

100ptありがとうございます


 レイチェルとの話し合いを終え、俺とフリエラさんは塔から出た。

 俺はともかく、フリエラさんは依頼に対して終始本当に嫌そうな態度だった。見たところレア装備品はかなり揃っている。報酬に不満でもあるのだろうか?

 塔を出て暫く、俺はフリエラさんと歩いていた。少し話したがフリエラさんはこの後フィールドにいるボスモンスターを狩りに行くらしい。相当やり込んでいるのが丸わかりだ。

 俺はまだボスを倒すほど強くなっていないので、そういうことはまだ先のことだろう。


「そういえば、貴方の強みって何なの?」


 唐突にそう言い出すフリエラさんは心底疑問に思っている様子。確かに俺みたいなレベルの低い初心者プレイヤーに頼み事があるのは不思議であると思う。

 強み、強みかぁ……。運が高いっていうのは別に自慢できるわけでもないし、多分レイチェルさんは救済の意味で俺に頼み事をしてくれたんだよなぁ。


「強みはないと思います。ゲームの腕が良いわけではないですし、レベルも低い」

「それは嘘ね。強みがないなんてあり得ないわ」


 あっ、話聞いてくれないパターンね。


「俺は本当に何もないです。強いて言うなら、運以外のステータスが上げられないので、レイチェルさんが哀れに思って救済してくれたんだと思いますよ」


 俺の憶測を説明してみるものの、フリエラさんは目を細めるだけである。


「あの女が温情だけで、貴方に依頼したとは思えないわね」

「でも、それしか考えられないですよ」

「……やっぱり。あり得ないわね」


 レイチェルの評価は極端に低いようだ。


「なんでそう思うんですか?」


 ただの言い掛かりなら、レイチェルが可哀想だ。

 フリエラさんがそういうのなら、それらしい根拠を聞いてみたい。

 フリエラさんは少し考え、口を開いた。


「……この依頼は、普通の依頼ではないの。それこそ、何も取り柄のない初心者には手に余るようなこと。……貴方に何か期待していない限り、あの女は頼み事なんてしないわ」

「手に余る? どういうことですか?」

「あの女から直接聞いていないのなら、私からは何も言えないわ。それに聞いたら後悔すると思うから」


 意味深な言い回しに俺は違和感を感じていた。フリエラさんの言い方から見て、ただ俺のキャラを哀れに感じて、報酬付きの依頼を出したわけではないっぽい。

 それどころか、俺に期待していた?

 一体何を期待しているのか? 運以外に取り柄のないこのクソキャラに何があるのだろう。


「さっぱり分かりませんね」


 結論から言って、まだ分からない。


「私も分からないわ。でも、あの女が依頼するほどだもの。貴方はきっと他にはない何か強みを持っているはずよ」

「強み……」

「レイチェルから何か助言とかされたかしら?」


 助言?

 そういえば……レイチェルさんの部屋から退出する間際に。


『ゼンくん。作戦の遂行日までに出来るだけレベルを上げて欲しい』

『レベルですか?』

『うん、レベルを上げて運のステータスを伸ばせるだけ伸ばすんだ。そうすれば、当日絶対にその努力が生きてくるから』

『はぁ、分かりました』

『期待しているよ』


 レベル上げか。それから、運のステータスをもっと上げろと。……そういえば、運のステータスについての詳しい情報を俺は知らない。

 運が高いと何が良いのかというのが不明なのだ。


「あの、フリエラさん」

「何かしら?」

「運のステータスって、具体的にどのような効果があるんですか?」


 フリエラさんに聞いてみるが、


「ごめんなさい。私もよく知らないわ」

「そうですか……」


 やっぱり、運のステータスは多くの人に認知されていない。そして、レイチェルは運のステータスの効果を理解している。

 俺の強みがあるとすれば……やっぱり思い当たる節が一つしかないな。


「フリエラさん。俺に強みがあるとすれば、それは運だと思います」

「運……」

「はい、俺は運だけでいえば、誰にも劣りません」

「なるほど。……運に関しては不明な点も多く、攻略サイトなどでも、運のステータスによる効果はあまり知られていないの」

「そうなんですか?」

「例えば、レアアイテムのドロップ率が上がるのではないか、みたいな曖昧な憶測があるだけ。本当にそうである確証はないし、多分もっと別の効果があるはずよ。それにあの女が貴方に頼ろうとしていた理由にもなるわ」


 フリエラさんは納得したような顔をした。

 運という未知数な能力。筋力や耐久などの分かりやすいものとは訳が違う。どのように作用するのか、それすらも把握されていないもの。


「運のステータスというものは普通上げられない。つまり、高すぎるとゲームバランスの崩壊を招く恐れがある。でも、貴方だけはそれが出来る。あの女は何か知っているのよ。運をひたすらにあげられる貴方はきっと……」

「何か他のプレイヤーとは違った存在になれるかもしれないってことですか?」

「その通りよ。貴方がどのような戦力になるのか、それによっては依頼の難易度も大幅に変化する可能性もあるわ。だからこそ、あの女は貴方に助けを求めた。運営側の人間であれば、このゲームを熟知している。貴方が戦力になることを理解した上でのことね」


 運という能力。フリエラさんの考察を鵜呑みにするならば極めれば他にはない強さになりうるもの。

 運というステータスの認識を今一度改めなくては、心底そう思う。

 

「……レイチェルからの依頼で、俺は役に立ちますか?」

「そうね。……私視点それは、まだ未知数かしら。でも、多分役に立つ。あの女が探していたのだから」

「そうですか……」


 長所を伸ばす。これが多分俺が役に立つために必要なことだ。すなわち、レベリングして運の値を引き上げる。依頼を受けた以上、成功させるために努力をしてみよう。装備に頼るだけではない。

 俺のキャラの利点、微かに希望が見えてきた。こうして俺は運の向上を図ることを決意した。


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