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【更新休止】魔法使いの花嫁たち  作者: 春夏 冬
6月:キングス・ファイブ 【魔法使い】VS【魔女】
59/62

クリスマス記念 SS:優介はクリスマスパーティに参加する

※一部本編未登場の人物が先行で登場します

 突き刺すような肌寒さに年の瀬を感じる今日この頃。

 僕――西園寺優介の家では例によってクリスマスパーティが開催されていた。

 毎度のイベントのように、いつものメンツやたまにしか顔を出さないようなレアなメンバーまで、総勢二十名近くもの参加者が揃い踏みしている。

 というか、この規模までくると泰人の豪邸とかの方が良さそうな気もするのだが。


 さて、そんな中で僕が何をしているのかといえば集まっている客人たちをもてなすために片っ端から料理を作り上げていた。

 一家庭としてはそこそこ広いキッチンで、僕は食材をあたりに用意しながらフライドチキンや七面鳥、ナゲットにデザートと順々に手を広げていく。

 一方で集まる人数が人数だけにもう少し料理を用意したいと、姉さんも庭でバーベキューコンロを使って焼肉やブロック肉の串焼きなど、皿の装いを調理している。

 ちなみに寒いから僕が庭を担当しようかと声をかけてみたものの、逆に温かい方にいて欲しいのだとやんわり断られてしまった。

 一応、後で姉さんには温かい特製のココアを作ってあげるという落とし所を作り、両者納得の上で今に至る。

 なお良太には買い出しやパーティ会場(我が家の二階の広間)にて盛り上げ役をお願いしている。

 ケーキに飾り付け、パーティの進行など諸々を押し付け――お願いしている。

 あぁ麗しき兄弟仲。


「お疲れ様です。西園寺くん。何かお手伝いできることはありますか?」


 いつの間にやらキッチンに顔を出していたのは天野河リノさん。

 魔法学科クラス所属の二年生で、世間一般ではアイドルとして名が広く知られている女の子。

 なお先に倣うところのレアなメンバーの一人である。


「ん? あぁ天野河さん。そうしたらそこのお皿に料理を盛り付けるから運んでもらえるかな」

「はい! わかりました。任せてくださいっ!」


 両手を胸元に寄せグッと握りしめながらやる気を見せるポーズを取る彼女の姿に、つい笑みを浮かべてしまう。

 その非常に()()()姿が少し愉快だった。

 一方で彼女も思うところがあったのか、ニィと歯を出した笑みを浮かべる。

 腰まで流れた黒のストレートヘアに映える赤いサンタ服。

 頭にはしっかりとサンタ帽を被り、しっかりとクリスマスパーティを楽しんでいるように見える。

 

「それにしてもやっぱり意外と言いますか、西園寺くんって料理もお上手なんですね」

「そう? そう言ってもらえると素直に嬉しいよ。ありがと」


 キッチンのカウンターテーブルに肘をかけながら僕の動きをじっと眺める天野河さん。

 角度的に発育の良い胸元をさりげなく強調している格好がつい気になりつつも、その賛辞にはまっすぐお礼を返す。

 褒められるのはいい気分だしね。


「じゃあ、そうだな。そのうちラーメンでも作ってあげようか」

 

 そんな彼女に少し含んだ笑みを向けながら一言伝えると、それはもう満面の笑みでアイドルスマイルを浮かべながらこう答える。


「はい! ぜひ楽しみにしていますね」


 うふふ。あはは。

 そんな小さな二つの笑い声が小さなキッチンで静かにこだましていた。



 ******



「ユー。メリークリスマス」

「おーい、なんか手伝ってやろうか?」


 次にやってきたのは、これまた全身真っ赤のミニスカサンタさん。

 こう言っては何だけど、他人の手伝いとはもっとも無縁のコンビの登場だ。


「じゃあもう少しで七面鳥が焼き上がるから運んでもらっていいかな?」

「分かった」

「オーケー!」


 そう返事を返す二人は、先ほどの天野河さんと同様にカウンターテーブルの上で腕を組んだままじーっとこちらを眺め始める。


「なぁ優介。ボクも何か手伝ってやろうか?」

「ん? 七面鳥はもうちょっとで焼き上がるから」

「いやじゃなくって、ボクも何か料理を手伝ってやろうかって言ってんの!」


 思わず耳を疑った。

 誰が、なんて?


「失礼なやつめ。これでも最近は料理の勉強だってしてるんだぞっ! そんな凝った料理じゃなければボクだって少しは力になれるさ」


 おぉ、何という成長。

 ついこの間までカップラーメンを箱で買って部屋に積んでいた人間とは思えないほどの言葉に、僕はつい感動してしまう。

 怠惰の代名詞とも言える姫川姫子。ようやく人間になれたというのか。


「ユー。私も出来る」


 次に声をあげるのはフライパンを持ち上げたことがあるのかと問いたくなる女の子。

 名を松永音子。

 で、君は何が出来るんだい? そんな一言をグッと飲み込み僕はとりあえず親指を立ててぐーを腕を突き出す。

 大して音子も同じポーズでぐーと突き出す。

 表情こそ何も浮かんではいないものの、そこはかとなくやる気だけはあるように見える。


「なんてことはないよ。今日はパーティだからね。君にも楽しんでもらいたいって思っただけ」


 今度は再びヒメの方へと視線を向ける。

 彼女は人差し指を立てながら唇に寄せるとにこりと笑みを浮かべる。

 

「ありがと。でもこれはこれで楽しんでるんだよ。僕が作った料理を美味しいって食べてもらえるのは嬉しいしさ」

「そう? ならいいのだけれど」


 キョトンとした表情を浮かべながら、ヒメはならいいやとばかりに隣の音子と談話を始める。

 七面鳥が焼き上がるまで後五分。

 それじゃあ彼女たちの話にでも耳を傾けようか。



 ******



「優介くーん! 何かお手伝いしましょうかぁ?」

「ご苦労様ですわ。西園寺優介」

 

 これまた全身真っ赤なミニスカ以下省略。

 先の二人とは異なりキッチンが似合うお二人の登場だ。


「ありがと神崎さん。麗華さん。こっちはだいぶ落ち着いてきてるし、多分向こうの姉さんも同じようなもんじゃないかな?」


 ひとまず各料理を一周分は作り終え、次に二周目に取り掛かっているわけだけど分量はやや少なめにしているので負担もそれほど多くはない。

 口にもした通り、それは姉さんもきっと同じだろう。


「そうですかー? それにしても結構なお手前でぇ、優介くん。本気で天神グループの料理人とか目指せちゃいますよぉ!」

「いや、別に料理人は目指してないですね」


 おっとりメイドの神崎都子さん。

 あの天神泰斗にしてこの神崎都子ありと言わしめる名コンビの片割れで、ついでに言えばどうにも彼女は僕を天神グループに引き入れようとしている傾向がある。

 まぁ多分特に深い意味はないのだろうけど。


「ていうか泰斗を放っておいていいの? 一応お付きのメイドでしょ」

「大丈夫ですよぉ。今はシズクちゃんが傍にいますからぁー」

「補足を付け加えるとすれば、西園寺優介。あなたが思っている以上にあっちは大騒ぎになってますわよ」


 あぁ、そうなんだ。

 盛り上がっているようで何よりというべきか、誰がどんな感じになっているのか興味が湧くというべきか。

 とりあえず我が弟が大変な目に遭っているのだろうなーと、そんな感想を抱かずにはいられなかった。

 そんな僕の安堵した様子を見て微笑みを浮かべるのは自他共に認める金髪系お嬢様。

 僕のクラスメイト――山田麗華その人だ。


「まぁそれはそれとして。どう、麗華さんも楽しめてる?」

「えぇ、おかげ様で。最初はこんな格好までさせられてどうしてやろうかと思いましたが」


 それこそ最初は嫌そうな顔をしていたものの、場の空気に流されてか結局は真っ赤な衣装に身を包む選択をしたらしい。


「いいんじゃない? 似合ってると思うけど」

「……そんなの当然ですわよ」


 ふんっと鼻を鳴らしそっぽをむくお嬢様。

 うん。実に彼女らしい仕草である。

 

「ですよねぇ。みんな可愛いと思うんですよぉ」

 

 一方のおっとり系メイドさん。

 そう言いながらただでさえ短いスカートをひらひらと持ち上げ始めるがゆえに、見えてはいけないものはチラチラと。

 僕? 当然すぐに目線を逸らしましたとも。

 えぇ。まぁ。ほんとに。


「こらはしたないですわよっ! ……はぁ。まったくなんであなたはいつもそんなに無防備なんですの」


 そんな麗華さんの言葉に「うーん」と首を捻りつつそも質問の意味さえ理解出来ていない表情を浮かべる神崎さん。

 ま、こういう人だからこそあの変人(天神泰斗)の付き人を務められているのかもなぁと、そんな感想を抱かずにはいられなかった。



 ******



「おーい。来てやったぞ。感謝せい」

「大変そうですね。何かお手伝いしましょうか? 先輩」


 次に現れたサンタはどちらかといえば小柄なペアだ。

 片や魔女、ついでにもう一方も魔女。

 変なところで気が合うコンビがキッチンに訪れてきた。


「料理はどう? みんな美味しいって言ってくれてるかな?」

「うむ。わしはお主の作ったフライドチキンが特に好みでのぅ」

「はい。みんな美味しいって口を揃えていっていましたよ」


 のじゃ系ロリことカルナ・メルティ。

 一年生筆頭魔法使い、雪代紗耶。

 二人もまた、どこか楽しそうな表情でカウンターテーブルからこちらを眺める。


「あぁそうなんだ。じゃあちょうど今フライドチキンを揚げたところなんだけど、ここで食べちゃう?」

「おぉ! いいのかえ! さすがは愛しの君よ。愛してるぞ」


 文字通り目を輝かせながら跳ね飛ぶメルティの様子に笑いながら、次に雪代さんの方にも目を配る。


「そうですね。せっかくですし私もいただいてもよろしいでしょうか」

「うん。どうぞ」


 もともとたくさん揚げていたうちの一つだ。

 数が二個……いや、三個減ったところで誰も気が付かないだろう。


「よいしょっと。――ほら、油が飛び跳ねて熱いから気をつけて食べてね」

「うむ。わかっておるわい。――それじゃあいただくのじゃ」

「いただきます。先輩」


 僕も彼女たちと同じカウンテーテーブルへ身を寄せ、二人と同じようにフライドチキンを口一杯に頬張る。

 噛みついた瞬間に溢れる肉汁が良いアクセントを感じさせる。

 うん。適度な硬さに濃厚な味わい。

 我ながら上手く作れたものだと感心する。


「あっつ! あっつ!」

「あーだから言ったのに。ほら水を飲んで」


 案の定悲鳴を上げていたメルティに水の入ったコップを手渡すと、彼女はグイッと一気に水を飲み干す。

 よほど熱かったのか、下を出しながらまだひぃひぃ言い続けている。


「むー。悔しいですがやっぱり先輩の料理は美味しいですね。ですが私も料理は上達しています。今度は私の料理を味わっていただきますね」


 一方の雪代さんはといえば、どうにも変なとことで対抗意識を燃やし始める。

 出会って半年以上経つけど、もうほとんど遠慮がないというか。

 多分こういうところが彼女の素なんだろうなとあらためて思う。


「それじゃあぜひ御相伴に預かろうかな」

「えぇ、もちろんです。覚悟しておいてくださいね先輩」


 一月か二月か、そう遠くないうちに雪代さんの手作り料理が味わえるときたものだ。

 それはもう、大層な楽しみに他ならない。


「なんじゃ。それならわしだってお主に作ってやるぞ」


 あぁ、うん。気持ちだけ受け取っておきます。



 ******

 


「お兄さん。注文いいですか?」

「残念。本日は営業終了、と言いたいところですが。ご用意できるものであれば特別にお出ししましょう」


 グラスを片手に若干顔を赤らめたサンタさんのご登場である。

 一つ年上のお姉さんである星宮紫苑さん。

 その大人っぽい見た目と表情が相まって、どこぞのバーを思わせる大人の雰囲気を漂わせながらこちらへと歩いてくる。


「ねぇ優介。今日は誘ってくれてありがとね」

「いえ、いつものことと言いますか。そんな遠慮する間柄でもないしょうに」


 今年一年、いやそれこそ魔法学園で過ごした約二年間で姉さん以外に最もお世話になった上級生といえば彼女になる。

 色々と。そう、本当に色々とあった彼女との関係性は決して一言で伝えられないほどに深く濃いもので、あるいは同じ思い出を共有したのももしかしたら彼女なのではないかとさえ思える。

 それほどまでに、僕にとって星宮紫苑という人間は特別な存在だった。


「それで、何をご所望でしょうか」

「うーん、そうね。じゃあオレンジジュースを頂こうかしら」


 彼女は笑いながら空になったグラスをこちらへと傾ける。

 仰せのままに。そんな一言を呟くと僕は彼女のグラスにペットボトルからオレンジジュースを注ぎ始める。


「ねぇ優介。好きよ」

「えぇ、僕もですよ」

 

 グラスにほどよく注いだ頃、次に僕も同じグラスを取り出すとやはり同じくらいの量でオレンジジュースを注ぐ。

 ちょうど同じ見た目のグラスが二つカウンターテーブルに並ぶと、僕と彼女は一つずつそれらを手に取りコツンと軽く音を鳴らす。


「「乾杯」」


 いつの日か、このグラスの中身がお酒に変わる頃。

 僕と紫苑さんはどんな関係になっているのだろうか。

 なんて、変な干渉に浸ってしまったのはきっと彼女の雰囲気のせいだろう。



 ******



「ちょっとぉ! あんたまだ来れないわけぇ?」

「ふふっ、お疲れ様です。優介くん。お料理美味しくいただきました」


 料理も一通りだし終わり、後片付けをしていると背後から声をかけられる。


「ひなた先輩。朱音さん。キッチンまでどうしたの?」

「なーに言ってんのよっ! あんたが全然顔を出さないからこうして足を運んできてやったんじゃないの!」


 赤いサンタ帽子にツインテール、しかも一二を争う小柄なボディと一見すれば子供にも見えかねない魔法学園OB――ひなた先輩。


「ちなみに先ほどお姉さまは会場に来られまして、すでに騒ぎの中心として盛り上がっておられましたよ」

「えぇ……。それは大丈夫なのかなぁ」


 いつものようにトレードマークである二つのおさげ髪を胸元に垂らし優雅に微笑むのは当代筆頭の一人、佐倉朱音さん。

 こと魔法使いとしての観点ではこの二人が並ぶのは中々にレアな光景というか、どちらもバトルマニアなだけにこうして穏やかに隣立っているのが珍しい気がする。

 うん。まぁ余計なことは言うまい。

 

「で? あんたもう手が空いたんなら一緒に上に上がるわよっ! 今夜はまだまだ盛り上がるんだからっ!」

「はいはい。もう少ししたら終わりますから待っててくださいね」


 パーン!

 どこからか取り出したクラッカーを唐突にぶっ放し、ひなた先輩はイエーいと一人盛り上がり始める。

 この人、こう言うところも含めて本当に昔から変わらないなぁ。


「ねぇ優介くん」

「ん? なに?」


 一方の朱音さんは落ち着いた表情で、やはりこちらを眺めながらにこりと微笑みの表情を浮かべている。

 ただ何となく、その様子はいつもよりも楽しそうにも見えている。


「今年一年、面白かったですね」

「……そうだね。それは間違いないよ」


 大変だった。

 と同時にとても楽しかった。

 それはきっと今日この家に訪れているすべての人に共通して言える感想だと思うけど、こと朱音さんが口にするとその意味合いは少し変わってくる。

 だから僕は彼女にこう返すことにする。


「これからもよろしくね」


 その一言は一瞬の間彼女をキョトンとさせる。

 意表を疲れたかのその表情はとても珍しく、僕はしてやったりと笑みを浮かべる。


「えぇ。そうですね。末長くお願いします」


 少しだけ俯いた後、またいつものように笑顔を浮かべて彼女はこちらに視線を向ける。

 僕も彼女も、きっと少しだけ大人になったのだろう。


「ねぇ優介。まだぁ?」

 

 そしてこの人はずっと子供のままなのだろう。

 ……ま、いいですけどね。

 


 ******



 後片付けを終え、いざパーティ会場へと足を踏み入れてみればそれはもうすごいことになっていた。

 まぁ盛り上がった結果がどうしてこうなったと言わんばかりの惨劇――いや喜劇か?

 こと泰斗や翔也といった男性陣がとんでもないことになっていたというか、ここでは本人たちの名誉のため詳細は省かせて頂くこととする。

 ただその後もビンゴ大会やカードゲーム、それから大画面テレビでの映画上映会などまだまだパーティは続いていく様相を見せていた。

 一応の監視役として参加しているマシロ先生も、自分用にと持参したお酒で一人酔っ払い始めると気がつけばすやすやと眠りについていた。

 うーん。これは残念。

 ひとまず風邪を引かないようにと僕の部屋のベッドに運び、身体の上から毛布を掛けておくと、それがよほど暖かかったのか即座に包み始める。

 この姿、動画にして酔い覚ましの後に見せたらどれほど面白いだろうか。

 そんな悪魔のような考えが浮かぶも、流石にそれは可哀想だと考えを中断させる。

 それだけあの生真面目だと評判の教師が心を開いてくれているのだと考えれば、それだけで胸が暖かくなると言うものだ。

 

「おやすみなさい。マシロ先生」


 届かない言葉を口にし、僕は部屋の明かりを消すと扉を閉めた。



 ******

 

「メリークリスマス。お料理美味しかったわ」


 マシロ先生を届けたその足で、僕は誰もいない庭で一人涼んでいたところ再び背後から声をかけられることとなった。


「メリークリスマス。お口にあったようでなによりだよ」


 振り向けば、そこには風に靡く髪を右手で押さえる幼馴染の姿があった。

 スメラギ・アリス。僕の大切な幼馴染だ。


「みんな元気だよね。ここにいても声が聞こえるよ」

「それだけ楽しいのよ。パーティの主催としては本望でしょ」

「それはまぁ……そうだね」


 縁側に座る僕の隣に彼女は腰をかける。

 肩が触れ合うその距離は、僕と彼女の関係性を示しているとも言えるかもしれない。

 今年一年、僕と彼女の関係はそれほどに大きく変化を遂げたのだ。


「……あ、雪だ」


 ポツリとこぼれ落ちるそれを手のひらに乗せる。

 一つ二つ、三つ四つ五つ、それからたくさん。


「今年の初雪がクリスマスなんて、何だかロマンチックですね」

「そうだね。なんかちょっと得した気分かも」


 彼女もまた、同じように手を伸ばし白雪を指で掬い取る。

 その綺麗な色白の肌と合わさって、その仕草は何だか神秘的とも感じる光景だった。


「……うん。やっぱり得した気分だ」

「ふふっ、何ですかそれは」

 

 はぁーと白い吐息を空に吐きながら、彼女はことりと頭を僕の方に乗せる。


「ねぇ優介。こうして二人だけのクリスマスというのも悪くないと思いませんか」

「うん、そうだね。――なんて、言っていいのかな僕は」

「いいんですよ。今はそういう時間ですので」


 そういうことなら仕方ない。

 そう言葉にして伝えると、そのまましばらく寄り添いながら二人で銀景色を眺める。


「ねぇ、アリス。今年も一年ありがとね」

「……えぇ。それはこちらこそですよ」


 ふと影が重なれど、それは決しておかしなことではない。

 だって今はそういう時間なのだから。

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