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悪友との出会い 3

「…………」

 今日も縁側で安らかに眠るヤンキー。鉄は思わず顔を顰めた。


(世の中、やっぱり理不尽だ……)


 内心悪態を付きながら踵を返すと、後ろから声が掛かった。鉄の肩がビクリと揺れる。振り返ると、寝転んだまま片目だけを開けた彰二と目が合った。

「お前、昨日も来てたよな」

 ここを見つけたは自分が先だ。それを突然現れた奴に取られるのは心安くない。それにここは特別な場所なのだ。いつもなら昨日の様に、一にも二にも逃げ出す鉄だったがその日は違った。鉄はビニール袋を手にした手に力を込めた。

「いた、けど……」

 いたからなんだ。目を合わせると気持ちがくじけそうだったので、鉄は目を逸らしたままぶっきら棒に応えた。ふーんと彰二は気のない相槌を打って体を起こした。

「毎日来てんの?」

「え、来てる?」

「ここだよ。お前ここには毎日来てんのか?」

「あ、あぁ。うん……」

「そうか」

 一人納得した彰二は縁側から腰を下ろし、鉄の方へと近づいてきた。鉄は咄嗟に身構える。

「じゃあな」

 そう言って鉄の横を彰二は通り抜けた。咄嗟に顔を上げた鉄は信じられないものを見るように彰二の後姿を見つめた。


(何も、起こらなかった。あんなに、いかにもヤンキーで目つきが悪い奴なのに)


 鉄は九死に一生を得た直後ような興奮と、今までにない困惑を胸に抱かずにはいられなかった。

 猫の鳴き声に我に返った鉄は、先ほどまで彰二が寝そべっていた縁側に乗り上げると社の戸を開けた。

 そこから飛び出してきた三毛の子猫。子猫は迷うことなく鉄の膝元に駆け寄るとその手にじゃれつく。

「ハハ、くすぐたいって。そうだ、昨日はごめんな。お腹空いてるだろ? 昨日の分も持って来て――」

 社の中に視線を移した鉄はあるものを見つけて言葉を失う。そこにあったのはパックを開けられたいちごミルクと菓子パンだった。パンは三毛猫が食べたのだろう。歪な形で半分ほど減っていた。


(これ、もしかしてあのヤンキー……?)


 咄嗟に浮かんだ可能性に鉄は眉根を寄せ、小さく頭を振った。

「……んなわけ、ないよな」

 一人ごちて、鉄はより栄養バランスを考えた猫缶を開けた。


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