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悪友との出会い 2

「ぁ……」

 思わず漏れた声は聞こえなかったらしい。鉄の特等席であるはずの縁側に我が物顔で寝そべる青年――彰二は変わらずに寝息を立てている。

 鉄は安堵すると共に内心舌打ちを打った。

 自分の場所を他人に土足で踏み入れられるとはきっとこういう事を言うのだろう。神社の境内は公共の場ではあるが、鉄はそう思わずにはいられなかった。

 しかも彼は同じ高校の同学年生らしい。自分のものと同じ色のネクタイが着崩れたシャツとブレザーの間から覗くのを見て鉄は僅かに眉根を寄せた。

 こんな奴、いただろうか。眠っていても想像できる吊り目に、地毛ではあり得ない茶髪。耳に見えるのはピアスなんて可愛いものではなく、見るだけで痛そうな太めのボディピアスだ。こんなにも目立つ風貌の青年だというのに、鉄には見覚えが無かった。

 鉄でなくとも一目見て避けて通るだろうヤンキーだ。鉄に選択肢はない。チラリと社に目をやってため息を吐くと、鉄は身を翻す。

 だが運悪く手に持っていたビニール袋に膝が当り音を立てた。


 やはりトラブルは鉄を狙ってやって来る。ソロリと振り返ると青年が気怠そうに起き上がるところだった。


(ゲっ……)


 そのまま戦線離脱できればいいのだが、何故か硬直してしまった鉄。目を擦りながら顔を上げた彰二と目が合った。眉間に皺を寄せられたお陰で更に細くなった吊り目は険悪と言うより凶悪だ。


(ヤバイヤバイヤバイっ)


 内心焦る鉄に彰二が声を掛けた。

「……お前――」

「ご、ごめんっ」

 どもりながらそう言い残して鉄は文字通り脱兎の如くその場を後にした。

「…………」

 その後ろ姿を眠気眼で見送った彰二は大きく欠伸をすると、またゴロンと横になった。

 穏やかな風が吹いて、どこからか桜の花びらが一片、彰二のブレザーの上に舞い降りる。その様に彰二はフッと微笑み、目を閉じた。


 のどかな昼下がりだった。


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