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B1

 二人の警備員が肇を挟むように前後につき、廊下を通って応接室に入った。応接セットに肇が座ると一人の警備員は部屋を出、もう一人の警備員が応接セットの脇に立った。肇はなにげなく周囲を見渡した。

猪熊たちがいる指揮車両のディスプレイには肇のカメラの映像が映し出されていた。マイクに向かって猪熊が言った。

「映像は問題ありません。こちらの声はどうですか? 聴こえるようなら、顔を左右に振ってください」

 ディスプレイの映像が左右に移動した。別荘の構造を調べていた調査官が言った。

「地下に降りる方法がわかりました。エレベーターがあるようです」

 ディスプレイに設計図が映り出された。その設計図を見て猪熊が言った。

「廊下の突き当たりを左に曲がった先にエレベーターがあります。そのエレベーターで地下に降りることができるようです」

 今度はディスプレイの映像が上下に移動した。猪熊がマイクを手でふさぎながらつぶやいた。

「さてどうするか……」

 猪熊がマイクから手をどかして言った。

「外から揺さぶりをかけてみます」

 応接室では肇が所在なく待っていたが、しばらくすると傍に立っていた警備員が無線で連絡を受けて応答し始めた。

「なに? 警察? うーん、わかった、そっちに行く」

 警備員は無線を切ってから肇に言った。

「まもなくいらっしゃるでしょうから、もう少しお待ちください」

 警備員は応接室を出ていった。廊下の音がしなくなった頃を見計って肇は応接室のドアのところまで行った。そしてドアを開け廊下に人がいないことを確かめた。遠くから言い争う声が聞こえてきた。

「ですからあの車はうちの車じゃありませんから」

「じゃあだれの車だと言うんだ?」

「知りませんよ……お巡りさん、勘弁してくださいよ……」

 肇は廊下を左に曲がり、エレベーターを見つけた。下階行きボタンを押すとエレベーターの回数表示が上に上がってくるのがわかった。地下二階まであるようだ。イヤホンから猪熊の声がした。

『地下二階までありますが、地下二階はなにかの保管施設になっているようです』

「わかりました。とりあえず地下一階に向かいます」

 エレベーターが到着しドアが開いた。だれもいないことをたしかめてから肇はエレベーターに乗り込んだ。行き先階を支持するボタンの上に指紋認証用のパネルがあった。肇は試しに「B1」と書かれたボタンを押してみたら、エレベーターが下がり始めた。すぐにB1には到着し、エレベーターのドアが開いた。目の前は廊下で、左右にガラス窓の部屋が並んでいた。

 一つの部屋には透明な容器に透明な液体が満ちていて、胎児が浮いていた。胎児よりもう少し成長した人間が入っていた容器もあった。次の部屋には成人となった人間が透明な液体に満たされた透明な袋に入り、何本もの管に繋がれていた。一本の管は太く人間の口に挿入されていた。

 肇は一つの部屋に入った。いくつかの成人の人間が透明な袋に入っていた。そのうちの一つは二十歳頃の肇だった。もう一つの袋に肇の子供の頃の顔があるのを発見し、驚愕した。そのとき後ろのドアが開いた。肇が振り向くと山形研究員がいた。


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