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地下

 肇が高木と顔を合わせると高木はうなずいた。

「いいですよ。高木と一緒でよければ」

「……ま、いいでしょう」

 猪熊は二人を誘って指揮車両の中に入った。車の中のテーブルの椅子に座るよう手で招いた。肇と高木がテーブルに隣りあって座った。調査官の男が猪熊に言った。

「この別荘の設計図面が送られてきました」

 一台のディスプレイに正憲の別荘の設計図が映し出された。

「かなり大きいな……大きいが……それだけだな……とくに変わったところはなさそうだ……肇さんはこの別荘に入ったことは?」

「ありません。存在を知ったのも最近です」

 もう一人の調査官が言った。

「この別荘は、戦争中、陸軍の研究所だったようです」

 ディスプレイに昔の新聞記事が映し出された。新聞記事には「河口湖畔に陸軍の研究所跡」「地下に広大な地下室が」と書かれていた。

「その跡地を政府とパイプがあった御手洗正憲が入手したようです。その後、帝都建築や帝都設計など帝都グループの企業が別荘として建築していますね」

 ディスプレイには土地の売買契約書や建築中の写真などが映し出された。

「地下か……」

 猪熊がつぶやくと、調査官の一人が言った。

「使用している電気量がハンパじゃないですね」

 ディスプレイに電気料金の明細が映し出された。猪熊は数百万円という金額に息をのんだ。

「やはりなにかが起こっているんだ、この別荘で」

 調査官が猪熊に言った。

「どうしましょうか? 令状がないので……電気代が異常だからと言う理由では……」

 意を決して猪熊が肇と高木に向かって言った。

「御手洗肇さんにこんなこと頼むのは変なんでしょうが、あの別荘に立ち入る方法はありませんか?」

「ないことはないと思います。少なくとも私は入れるでしょう。帝都グループの役員ですし、正憲の子供です。御手洗家の人間です」

「令状を取る方法を引き続き考えますが、ことを急ぐ事態でもあります。とりあえず肇さんに別荘に行ってもらいましょう」

 猪熊が二人の調査官に目配せすると調査官が肇を立たせて小型のマイクとカメラをセットし始めた。耳にはイヤカフの格好をしたイヤホンを軟骨を挟むようにして装着した。たぶん骨伝導で音声が伝わる。もう片方には小型のカメラのイヤカフが付けられた。予備としてペン型のカメラも胸ポケットに挿した。このペン型カメラはマイクの役目も果たしているようだ。肇は腹をくくっていた。

「念のためです。お父さんが肇さんに危害を加えるとは思えませんが、あの別荘にお父さん以外の人がいる可能性が高いので」

 猪熊の言うことも理解できた。

「わかりました」

 肇はそう言うとドアを開け、車から出た。そして別荘の門へと向かった。門にはカメラがセットされ、マイクとスピーカーがあった。肇は呼び出しベルを押した。ドアフォンから声がした。警備員だろう。

「どちらさまでしょうか?」

 肇はめずらしく威圧的な口調で言った。

「御手洗肇だ。父がここにいるはずだが」

 警備員は驚いていた。

「御手洗……少々お待ちを……」

「こんなところで待てというのか? さっさと開けろ」

「あ、はい」

 門は静かに開いた。肇はどんどん別荘に入って行った。芝生の庭を抜け、建物の玄関にたどり着いた。肇が玄関を開けると中に制服を着た警備員が二人いた。

「肇さんですね?」

 警備員の一人が聞いてきた。

「そうです。御手洗肇です」

「この別荘を警備している帝都セキュリティのものです」

「こちらに父がいると聞きましたが?」

 肇の質問にもう一人の警備員が答えた。

「社長ですね? はい、いらっしゃってます」

「父はどこですか?」

「先ほど連絡したところ、待っていてほしいとおっしゃってました。どうぞこちらへ」


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