表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/97

屋上

二〇三〇年七月二日夜八時。

帝都銀行本店は東京の大手町にあった。その夜は雲が多く、雷が鳴り始めていた。湿度も高くじっとしていても汗ばむようだった。

帝都HD常務で、帝都銀行の副社長でもある御手洗吟が、副社長と書かれたプレートが掲げられた執務室で仕事をしていた。執務室は窓を背にしてデスクが置いてあり、デスクにはノートPCが置いてあった。ディスプレイには財務諸表が表示されていた。

そのときディスプレイの右下にあるメールのアイコンがメールが届いたことを通知した。アイコンをクリックするとメールソフトが起動してメールが表示された。タイトルは「次期会長について相談があります」とあった。送信者は「綿貫栄一郎」となっていた。

メール本文は「次期会長について相談した方がいいだろうと思います。今夜、あえますか?」とだけだった。吟はけげんな顔をした。

「やけに簡単な文面だ……」と思ったが、そのままほっておくわけにもいかない。吟はメールの返信を書いた。

「だいじょうぶです。」

しばらくするとメールが届いた。栄一郎からだった。

「いまどこですか?」

吟はメールで返信した。

「帝都銀行の副社長室です。綿貫さんはどちらですか?」

すぐに返事が届いた。

「では三十分後に帝都銀行の第一会議室で」

 妙に急いでいることが気になったが、吟は時計を見て時刻を確認した。ちょうど八時だった。区切りのいいところまで作業するとちょうど八時三十分だった。

 吟は執務室を出て、同じ階にあった第一会議室まで廊下を歩いて行った。第一会議室の前で止まり、会議室に入ると照明がついておらず、真っ暗だった。吟は照明のスイッチを手探りで探し、スイッチを入れた。照明がついたが会議室にはだれもいなかった。腕時計を見て不審に思い思わずつぶやいた。

「おかしいな、時間には正確な人なのに……」

 そのとき吟のスマホが鳴った。吟がスマホを見るとメールが届いていた。栄一郎からだった。タップしてメールを開封する。

「すまない。屋上に来てもらえないか?」

「屋上?」

 吟が、いぶかしく思いながらもエレベーターへ向かった。エレベーターで屋上に到着し、塔屋のドアを開け、屋上に出てみた。屋上は照明が少なく暗い。だれもいなかった。

「綿貫さん!」

 吟は念のためだれもいない空間に向かって呼びかけてみたが、反応はなかった。首をかしげながら踵を返し、塔屋のドアへ向かった。突然、ドアが開き、一人の男が立っているのが見えた。しかし、逆光になっているため、吟からは顔がわからない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ