↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のBランク暗殺者 ~腐敗した王宮を自主退職したら、面接で不採用にした才能の原石たちからの、逆スカウトがとまらない~  作者: 糸音
第2章 歴代最高の聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/30

不採用にした聖女との再会

 

「助けるのは当然のこと。それが聖女様とお連れの方々ともなればなおのことです。到着が遅れていることは心配でしたが、結果、無事に再会できて何よりです」

「お顔を上げてください。私は友人ではありませんか。皆も私を守ってくれてありがとう」


 聖女が柔らかな声で微笑むと、皆が小さく礼をしてから、その場で立ち上がった。

 立ち上がったフィリスの前に、差し出された手を握り返し、二人は和やかに微笑みあう。


「ここには、私とお付きの者しかいませんし、畏まった振る舞いは無しにしませんか?」

「……それでは、お言葉に甘えさせていただきます。――リチア、賊に襲われるとは災難だったな」

「ええ。でもあなたが来てくれて助かった」


 リチアの提案で、フィリスが砕けた口調に戻っても、周囲の者からのお咎めはなかった。一方のリチアも、肩の荷が下りたかのように、安堵した様子で仲睦まし気にフィリスと笑いあう。


 8年経ったリチアは、目にも麗しき美女へと成長を遂げていた。

 少しヴェーブがかかった、腰まで伸びた煌びやかな銀髪に、黄昏を受けて輝く湖畔を彷彿とさせる、深い黄金色の瞳。

 やや痩せ型だった体つきは、メリハリの大きい輪郭に成長を遂げていて、修道服のようなドレスがなぞる、柔らかな輪郭が、見る者を蠱惑的に引き付ける。胸元辺りは収まり切れないのか、控えめに空けた胸元から、少し弾んで溢れる素肌が、否応にも女性の魅力を見せつけてくる。


 フィリスがひきしまったスレンダーな体型をしていることもあり、対照的なリチアの見た目は良く映える。

 タイプの異なる美女二人が仲良く並んでいる様は、長旅で疲れた兵士たちの目の保養にもなった。


「それにしても、救援に駆け付けるのが随分と早かったわね。近くにいたの?」

「いや、ギルドからここに直接だ。転移の転写紋(スクロール)で、上空に転移したんだ」


 フィリスの言葉に、リチアや周囲の者たちから動揺が走る。


「座標をその場で刻み込んだってこと? そんなことすぐにできるわけ――」

「それができる方が、偶々この度来られていてだな。リチアにも紹介しよう。私のお師匠様を」

「フィリスの、師匠?」

「ああ。……あれ? 師匠はどこへ?」


 辺りを見渡して、いつの間にやら距離を置いて、二人の様子を見ていたモルヴェントに気が付いた。


「油断するとすぐ見失っちゃうなあ。リチア、あの方が私の師匠である、モルヴェント師匠だ」

「……?!」

「いつかはリチアに紹介したいと思っていたのだ! 師匠はな! 私が10歳の頃から、剣や紋の使い方を指南してくれた戦闘の達人で! それでいて、魔道具や人工紋の知識にも造詣がある上、強くて優しい素敵な方でな! それから――」

「先、生……?」

「……リチア?」


 なんか思ってた反応と違う。

 一しきり自分の恩人を自慢したかったのだが、モルヴェントの顔を見るや、ひとりの世界に入ったように、モルヴェントを見つめるリチア。


 そんな様子に困惑するフィリスを置いて、リチアがモルヴェントの方に駆け寄った。


「モルヴェント先生‼ モルヴェント先生ですよね?!」

「ああ」

「ああ! やっぱり! 私のこと、覚えていますか?!」

「ああ。リチアだろう」

「はい!」


 駆け寄った勢いのまま、モルヴェントに抱きついた。

 その姿に「――っ?!」と絶句するフィリスに目もくれず、リチアは目に歓喜の涙を浮かべながら、その鉄仮面を見上げながら、少女に戻ったように、嬉しそうに語り掛けた。




「リチアです! 8年前、あなたが不採用にした『聖女』ですよ! 先生‼」




 そのまま熱を離さないように、抱擁を続けるリチアに、困ったような息を吐いてから、優しく両肩に手を置いたモルヴェント。


 そのやり取りを見て、遠くから二人の様子を呆気に取られながら眺めていた、護衛の兵たちと、その隊長。


 そんな隊長の肩に、冷たい手がポンと置かれた。




「どういうことか説明してもらおうか……‼」

「私が説明して頂きたい?!」




 肩を握る手に力を籠め、わなわなと目に血管を浮かび上がらせるフィリスに、隊長が突っ込んだ。


 フィリスからの理不尽な問い詰めに対応する横で、リチアは暫くの間、声を楽しそうに上ずらせながら、モルヴェントに体の調子や、これまでのことなどを質問攻めにするのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。