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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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次から次へと進んでいく


「いやもう本当にカッコよくて」


 蓮さん相手に今日のライブを語る。

「良いなぁ、俺も何度かライブハウスに行った事あるけど別空間だよね」

「ですです」

 蓮は羨ましそうな顔をしながらも、楽しんできた自分の顔を見て微笑んでいた。

「こら、優斗気を抜きすぎると怪我するぞ」

 父から怒られてしまった、少しテンションが上がり過ぎた。

 初ライブハウスと友達のバンドを見届けた直後のバイトだ仕方がない。

 気は抜いてないが、興奮から押し抜け出てしまうのだろう。

「まあ、いい経験になったようだな優斗」

「うん、それと新メニューのドリアの名前だけど……」

「む?決まったのか?」

「スパイスボックス……ってどうかな」

 新作のドリアには、スパイシーな味付けのライスと牛肉の小さいサイコロステーキにキノコが詰まったベースライス、そこにホワイトソースにチーズ。

 様々な味の塊が散りばめられている表現としている事が一つ。

 もう一つ、今日の様々な体験をさせて貰ったライブハウス「スパイスボックス」から取らせて貰った。

「スパイスボックスか……良いじゃない優斗君」

「うむ、いつもの〇〇のドリア〜とは違った感じで良いかもな」

 蓮さんと父は頷いてくれた。

「おーい朋子呼べるか?」

「何かしらお父さん?」

 ホールに声を掛けて父が新作ドリアの名前を発表している。

 ちょっとドキドキするが大丈夫、と蓮さんが背を叩きウィンクする。

「スパイスボックスね!良いじゃない!」

「優斗君やるね〜」

 ホールの母とスタッフも好感触のようで一安心した。

「それじゃあいつから始めるの?」

「予定通り1週間後の日曜に仕込みして月曜日からだな、始めは二十食数量限定だな」

 名前と販売日が決まりいよいよな感じが高まる。

 (一応二人には言っとくか……)


 バイトを終えて帰宅中、スマホを見れば福羽と鹿島さんからメッセージが来ていた。

「無事完走したぜー!」と福羽はライブハウスの看板と店長のトオルさんとの一枚を送ってきていた。

 さすがのコミュ力だ。

 そして鹿島さんからは「いかがでしたでしょう!」と、鹿島さん、圭子さん、清さん、紘子さんのアントガールズ集まって一枚、楽屋だろうか?

 それぞれが楽しんだ一日に「皆お疲れ様、楽しんだよ」と返す。

 ポコンと新着が入った。


「次はテスト勉強会だからね!」

 鹿島さんからの、次の予定のお知らせだった。

 (むぅ……勉強……)

 世の中は勉強から逃れられないんだなと笑い、自宅へと歩を進めた。


 ——翌日月曜日の朝

「じゃあ行ってきます」

「優斗」

 母が自分を呼び止めた。


「アンタ来週にはテスト一週間前じゃないの?」


 (マズイ、スケジュール把握されている……)

「今週一杯でとりあえずバイトはストップだからね」

「……はい」


 上手くいけば並行しながらやれると踏んでいたが、母の方が先手を打った。

 今週一杯は予定通りだが、来週月曜からテストが終わるまでの二週間はダメだ勉強しろ、の圧力だ。

 こうなると自分には反論も出来ないので大人しくしとくしかない、だが新メニュースタートはそのバイト禁止期間から丁度スタート。

 なんともタイミングが……名付けたけど勇姿は見れず。


 朝の虚を突かれた母の一言で、あらかた流れは定まった。

 とにかくテストに向けて勉強を行い、それなりの点数で見せると言ったとこだ。

 万年平均よりすこーし下付近をフラフラしているからか、母は高校一年二学期に鞭を入れたかったんだろうか。

 夏休みの鹿島さん、福羽との課題会から実は少しずつ勉強の習慣は付いていた。

 後はテスト勉強会でブーストできるかだし、点数と言う数字でハッキリ結果が分かるのは初めてだ。

 力試しと言う意味では丁度良い、若干時期的に進路の話もあるから失敗はしにくいのだが。


 ——教室

「おはよ柊!昨日最後まで盛り上がったぞ〜」

「ああ、そうみたいだなトオルさんとも撮ってたな」

「そうそう、後で言うけど色々話が進んでな……後で言うけど」

 (なんだ?やけに強調してニヤニヤして気持ち悪い)

「まあ、わかった後で……」

 挙動がおかしい福羽の朝の襲撃に少し疲れる。

「仲良いよね〜」

 ほわんと視界に入ったのは鹿島さんだ、思わず目を擦る。

「柊君どうしたの?目痒いの?」

 目が痒い訳ではない、目の前のホワホワ鹿島さんと、昨日見たキーボードを弾き倒す、イケイケ鹿島さんが本当に同一人物かと思ったのだ。

「鹿島さん……だよね?」

「何よ〜どうしたの柊君変よ〜?」

 こうまで打ち込む物で人が変わるのかと思ってしまう。

「まあ良いわ、お昼休みか放課後にでも福羽君と話しましょう」

「話……あ、テストの」

「今忘れてた?ダメだよ〜」

「大丈夫だよ……朝母から先回りされたし……」

「?」

 何を言ってるのか理解されてないが、どのみち勉強会に繋がるので良いだろう。


 キーンコーン

 予鈴が鳴り鹿島さんは「あとでね」と席に着いた。

 パッと見ると福羽は何故かテンション高いまま、男子達とバカをやっている。

 背後から先生に小突かれて終了した。


 なんだか勉強会大丈夫だろうかと、不安を覚えるのであった。

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