姉風船
「起きなさい起きなさい優斗」
遠くから意識を戻そうとする声が聞こえて目を覚ましていく
「ん、寝ちゃってたか」
ぼんやりしながら目の前に母が居るのを認識する
「夕飯出来てるわよ」
時計は七時を過ぎた所を指しているので一時間程眠っていたようだ
「姉ちゃん何か言ってた?」
「茜からちょっと話は聞いたけどね今すぐどうこうできる話じゃないわよ」
笑いながら母は手を引いてくる
「とりあえず今日のご飯食べてからよほら」
手を引かれるままリビングへと向かえば姉の膨れ面が出迎えてくれた
「さあさあ頂きましょう」
母の一声で夕食を始めると
「茜の気持ちはわかるけど人を動かす準備が足りないのよ、ましてお父さんを相手にするならまだまだ力を付けないとね」
嗜めるようにでもハッキリと今は叶わない姉の想いに母は告げる
「それでも貴女が今経営学を学んでいるのはその想いがあっての事なんでしょう?そこはお母さんもお父さんも伝わってるから頑張ってやりきれる力を付けなさいな」
姉は大学で経営学部に進んでいるのは知っていたが店の未来の為と言う想いがあってとまでは知らなかった
強い想いがあるのだろうと今日の話を思い出す
「むーわかってるけどさーいつまで現状維持出来るかわからないじゃない」
「だからこそ焦っちゃダメなのよ、それにお店は現状維持が一番難しい事なの」
期待のレベルまで持っていく事も難しいとは思うが長く安定したレベルで維持するのも確かに難しい事だ
姉も理解はしているが気持ちが先行するのだろう
少しその原動力になる想いを羨ましく思う
夕食を終え再び自室に戻り今日の事を思い返す
(勉強して不意に試されたり勉強した事を活かしたいがまだ足りなかったりか)
自分には何かやりたい事ってあるのかな
そんなことが浮かんで答えを出せず何かを見つけたいようにベランダから夜空を眺めた




