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紡ぎ紡がれこの店で  作者: かずや


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試作と名前

 次の日曜日までに始まった二学期、学校生活に身体を戻さないといけない。

 更に一学期とは違いバイトも絡むし、進路相談の影もある。

「あれ?結構忙しくなってくる?」

 スケジュール管理アプリを眺めながらこの先を想像していく。

 すぐにテストもある事を思い出しゾッとする。

「考えたくないなぁ」

 自分の部屋で呟くも時間など刻々と過ぎ去る。

 とりあえずバイトがあるので店に向かう用意だ。


 店に着くとなにやら厨房がわちゃわちゃしている、夜営業前だが何をしているのだろう。

「おはようございます、何やってるの?」

「おお、優斗君。今から新メニューの試作だよ!」

 キッチンリーダー蓮さんのウキウキ具合が眩しい。

「優斗も見ときなさい」

 父が手招きする、スタッフに混じって見学してみる。

「まずはベースのスパイスライスを……」

 父はゆっくり説明しながら工程を見せていく、皆メモを取ったりしながら真剣だ。

「ここでホワイトソースを全体に掛け粉チーズ乗せてオーブンで六分だ」

「蓮さん、あれって」

「うん、ドリアだね。でも中のライスに工夫があってスパイスとキノコ、牛サイコロ入れてるのがポイントかな」

 ふむふむと納得しながら蓮はメモを読み返す。

 他のスタッフも説明出来るように頭に落とし込んでいく。

 (……大人になっても勉強するんだな)


 タイマーが鳴りオーブンからドリアを取り出す。

 見事なきつね色になったチーズの焼き色にグツグツとホワイトソースが踊る、ふわりと甘いようなでも食欲をそそる香ばしい匂いも漂う。

「さ、皆試食してくれ。熱いから気を付けてな」

 父の号令で皆一口頂く、自分も一口。

「……っ!あつ!……あ、うま」

 想像以上の熱さだったが味はスパイスがほんのり効いてキノコの香り、中のサイコロステーキもあり食べ応えあるドリアだ。

「オーナー今回の秋メニューはガッツリ系ですよね?なんかいつもと違いません?」

 蓮が質問をする。

「ああ、始まりは九月からだが近年夏のまんまだしな。秋をイメージしながらまだ夏を持ってきたらこうなった」

 父は割と感覚派である、もちろんレシピ等はしっかり残すが新作についてはだいたい感覚を形にするらしい。

「オーナーメニュー名は決まってます?」

 フロアスタッフの一人が質問する。

「それなんだがな……優斗、お前考えてみるか?」

「へ!?」

 今食べたドリアの名前を付ける、自分が?

 そしてそれがメニューになる。

「良いじゃない、カッコいいの付けてよ」

 蓮も後押ししてくるし、他スタッフも期待の眼差しだ。

「……ちょっと考えさせてよ」

「おお、出来れば今週中にな」

「はいはい、夜営業始まるわよ〜準備準備」

 パンパンと手を叩き母が皆を解散させる。

 なんだかえらい事になってしまった。


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