アントガールズ
「ありがとうね〜詩華の友達でしょ!」
「どうだった!?あ、サトルさんリンゴジュースお願い〜」
「オーディエンス役ありがとう、参考になったわ」
「皆、ちょっと待ってよ〜柊君、福羽君改めて来てくれてありがとう〜」
最後に鹿島さんが到着しお礼を言われるが、もう他の三人に囲まれタジタジだ。
「えっと、皆さん素敵でした。自分は柊優斗と言います」
「俺、福羽光司!皆の凄さに感動しちゃったよ!」
とりあえず自己紹介をして距離を取る。
女性陣が凄い近いのだ、落ち着かない。
「ふふ、ごめんね。私はドラムでリーダーやってる黒瀬 圭子、圭子で良いわよ」
「私ベース&ボーカルの徳永 清、じゃあ私は清ちゃんで良いよ〜!」
「アタシはギターの大賀 紘子、紘子って呼んで」
「そして私がキーボードの鹿島 詩華〜四人揃ってアントガールズ〜」
「アントガールズ……?」
「そうだよ〜私達のバンド名!」
強そう、と思ってしまう。
鹿島さんは更に紹介をしてくれた。
「私達幼稚園からの幼馴染なんだ〜高校から私だけ違うんだけどね」
「へぇ〜皆同い年なんだ」
福羽は少し驚く、ドラムリーダーの圭子さんは見た目にもしっかりしててリーダーって感じで年上に見える。
対してベースボーカルの清さんは幼さがあり演奏から離れたら年下っぽい。
同年代は鹿島さんと紘子さんぐらいかと思える。
「はいはーい、君達時間あるんだから最終チェックして撤収始めなさいよ〜」
サトルさんがバンドメンバーに促す。
「っと、ほら皆繋ぎやって片付けるよ!ドラムが一番時間かかるんだから」
圭子さんの号令でメンバーはステージに戻っていく。
「全く、演奏中は大人顔負けだけど降りたらJKそのままだからね」
サトルさんは苦笑している。
そして福羽はぼーっとステージを眺める。
「……福羽?どうした?」
「皆……すげぇな、やりたい事に打ち込めて……」
自分から観てても気迫が伝わる彼女達だった、しかし福羽は何か違う感情を抱いたような感じだ。
「……福羽?」
その後福羽はただただ彼女達の動向を見つめているだけだった。
「はぁー!今回ベースキッツイなぁ!」
清さんは手を振りながらベースを担いで階段を上がる。
ステージ練習が終了、機材を撤去し皆で出てきた。
「二人とも時間合えば観においで」
ライブハウス店長のサトルさんから声を掛けてもらって見送られる。
「サトルさんからOK貰えたし後は個人練だね、ギター弾きまくらなきゃ」
「でも明日から学校なのよねぇ」
紘子さんがギターを弾く素振りを制し、圭子さんが現実を呟く。
全員がダメージを受ける。
「そう言えば圭子さん紘子さん清さんの三人は……」
「あ、私達?三人一緒なのよ音楽科が強い学校でね」
圭子さんがスマホを見せて説明してくれる。
出てきた学校は聞いたことが無い高校だった。
「三人が行ってる学校はまだ新設されたばかりの音楽専門校なんだよ、珍しいんだよ〜」
鹿島さんが補足する。
「鹿島さんは行かなかったの?……いやまあ自分達と同じ学校だけど普通校だよ?」
「私は習い事で充分音楽やれてるもの、これ以上は望まないよ〜」
「そうそう、残念だけど詩華来ちゃったら音楽死するわね……私達はバンドで繋がれてるけど〜」
清さんがぎゅーっと鹿島さんをハグする。
音楽死とは物騒な言葉だが、それだけ朝から晩まで毎日を音楽に費やす事になるのか。
「柊君に福羽君、今日はありがとう。タイミング良かったら来週のライブ来てよ〜」
「お?圭子さすがリーダー、お誘いも忘れない」
リーダーたる圭子さんを茶化す紘子さん、まだはぐしてる清さんと鹿島さん。
仲の良い四人である。
「ちょっと予定見て鹿島さんに連絡しますね」
「俺も、皆のステージすっごい気になるし観たいよ」
「あはは福羽君そんな前のめりに」
圭子さんに言われ皆で笑う、そして男性陣と女性陣に別れ今日は解散した。




